針葉樹だから根が浅い?植林は土砂災害が起こりやすい?

針葉樹だから根が浅い、広葉樹だから根が深いとよく耳にします。
また、植林だから土砂災害が起こるともよく聞きます。

はたしてそれらは正しいのでしょうか?

例えば、針葉樹でいえばスギは地中深くまで張る根が発達する深根性であり、ヒノキは地表面に沿うように根が発達する浅根性と言われています。

同じ針葉樹でも違うのです。

また、広葉樹ではカエデ類やブナなどは浅根性、イチイガシやコナラ、クヌギ、トチノキなどは深根性です。

また、生育環境によって、深根性の樹木でも尾根筋や岩盤のように土壌の浅いところでは地中深くまで根が張れず、浅根になることもあります。

土砂災害への抵抗力については、根の深さや樹種の違いだけで判断できるものではなく、地形など地理的条件や、間伐をどの程度したかなど、林齢、土質など様々な要因によるなど、総合的に考える必要があります。

根の深さはひとつの指標にはなると思いますが、それだけで判断することは、上記の理由から無理があるということになります。

実際、広葉樹でも浅根性の木はあり、大辺路で倒れている広葉樹は根が横に張っていて浅かったです。

大辺路刈り開き隊の上野さんも、「広葉樹だからといって根が深いとは限らない」とおっしゃっていました。

スギ・ヒノキの森であっても、適度に間伐され、灌木が多く生えているところでは土砂災害は起こりにくいです。

土砂災害が起こっているのは放置された森です。

人が手を加えたものは、人が管理しないと脆くなります。