熊野古道英語ガイドって?(2018年12月改訂)

1.高野・熊野地域通訳案内士と全国通訳案内士
こうや・くまのちいきつうやくあんないし・・・やたらと長い名前ですが、要は高野山と高野山に関連する周辺地域、和歌山県内の熊野地域限定の英語ガイドです。
以前は、無資格者が有償で外国人を案内すると法律により罰せられましたが、2018年1月に法律が改訂され、誰でも有償で案内することができるようになりました。
高野・熊野における「特区」の具体的な市町は、高野町、橋本市、九度山町、かつらぎ町、田辺市、白浜町、上富田町、すさみ町、串本町、那智勝浦町、新宮市の11市町です。
ちなみに、高野熊野地域通訳案内士を目指している方は、これぐらいは言えるようになっておいてくださいね。

高野・熊野地域通訳案内士になるには、一定の研修(座学と現場研修)に参加し、各市町が定期的に開催している救命救急講習を受け、面接試験に合格すればOKなので、比較的容易にライセンスを取得することができます。

さらに研修から試験までは無料です。
英語は、受験年度のTOEIC750点以上を取るか、英検2級以上を取る必要があります。
募集がだいたい8月くらいから始まり、12月くらいまで座学、その後翌年2月まで現場研修を行い、3月に面接試験があります。
ですので、今年度の面接試験を受けたいのであれば、試験までに上記試験のいずれかの基準を満たしていることが条件となります。ただし、両資格とも、今年の4月~翌年の試験までの間のもののみ有効となります。
また、英検2級保持者は、別に語学研修を受けなければいけません。

また、平成29年度より、フランス語、スペイン語、中国語が追加されました。ただし、英語を含めた言語を母国語とされている方は、別に日本語能力試験のN2に合格しておく必要があります。

見事面接試験に合格した人は、交付式の後に、和歌山県が主催する「ビジネスマッチング」に参加することができます。

ビジネスマッチングは2017年度より始めた新しい試みで、旅行会社やガイド団体に自身を売り込むことができる場を設けたものです。このおかげで、当団体も今年は7名の新規入会者を獲得することができました。

詳しくはこちらをご覧ください(2018年度版)

https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/062500/index_d/fil/H30tsuuyakuannaishi.pdf

一方、国家資格である全国通訳案内士は試験が難関で、10年近くかけてようやく取得された方もいます。
国家資格なので、難しいのは当たり前といえばそうかもしれませんが。
試験内容は筆記試験と面接試験ですが、第一段階である筆記試験で大半が落ちます。
試験内容は英語・一般常識・地理・日本史・通訳案内実務(2018年度追加)の5科目。

英語・一般常識・地理・日本史については受験免除の基準があります。

英語については、以前は以下のいずれかの基準を満たしていることが条件でしたが、平成30年度より基準が引き上げられていますのでご注意を。

【改訂前】
① 英検1級
② TOEIC 840点以上
③ TOEIC SWテストのうちスピーキングテストで150点以上
④ TOEIC SWテストのうちライティングテストで160点以上

一度取ってしまえば何年でも「使いまわし」ができる。

【改訂後】

① 英検1級
② TOEIC 900点以上
③ TOEIC SWテストのうちスピーキングテストで160点以上
④ TOEIC SWテストのうちライティングテストで170点以上

受験日より過去1年のものに限る。

以前より随分と厳しくなった感がありますが、特に語学に関してはコミュニケーションができなければ案内以前の問題となりますので、当然だと思います。また、「賞味期限」を設けたのも納得ができますね。

また、2018年の法律改正により、有資格者は5年ごとに登録研修期間が行う定期研修への参加が義務付けられました。

あとは、県内在住者に限ってですが、和歌山県の主催するビジネスマッチングに参加することができます。

受験料は11,700円。
わたしは2年がかりで通訳案内士の試験に合格しましたので、23,400円かかったことになります。
2回とも受験者の数が半端なく多かったので、「JNTOと受託業者は一体いくら儲かってんだ?」と単純に思ったことがあります・・・

それはさておき、ここで高野・熊野地域通訳案内士と全国通訳案内士の受験および受験後のメリット・デメリットをまとめておきます。

【高野・熊野地域通訳案内士】

メリット

① 研修・受験が無料

② 英語の基準が通訳案内士よりも緩い

③ 筆記試験がない

④ 有資格者は、和歌山県が年に数回実施する「スキルアップ研修」に無料で参加することができる

⑤有資格者は、和歌山県が主催する「ビジネスマッチング」に参加できる

デメリット

① 知識の習得は高野・熊野地域限定となる

② 英語の基準が緩いため、低めの基準で合格した人は、すぐには使い物にならない可能性がある

【通訳案内士】

メリット

① 日本全国についての勉強をするため、地域通訳案内士よりも日本についての知識が豊富

② 国家資格である

③県内在住者は、和歌山県が主催するビジネスマッチングに参加できる

デメリット

① 11,700円の受験料がかかる

② 筆記試験が難関

③ 筆記試験の免除基準が高い

④ 5年ごとに登録研修期間が行う定期研修参加の義務

ここまで書くと、全国通訳案内士の資格を取る意味が薄れるように思われがちですが、地域限定版に比べて明らかに視野も知識も広がり、案内の幅も広がりますので、取得しておいて損はありません。むしろお勧めします。

受験料ですが、華道なんかでは「免許皆伝に云十万」なんて聞いたことがありますので、そのことを思えば安いものです。また、仕事を始めるに当たっての初期投資はほとんど必要ありません。

そして、両方のデメリットとして、「試験が1年に一度しかない」ということです。

英語の能力に関して、高野・熊野地域通訳案内士の基準ギリギリで合格された方は、はっきり言って英語の能力はかなり落ちます。
ここはもう少し基準を上げるべきだと考えています。
あと、全国通訳案内士であれ、高野・熊野地域通訳案内士であれ、TOEICを基準に入れるのはいかがなものかと思います。
・・・かくいうわたしも、TOEICで英語の筆記試験を免除にしてもらったクチですが(笑)
ですので、英語のスキルに関しては「どちらも高いが、どちらも低い」と言わざるを得ません。
ただし、免除基準にTOEICが加わるまでは、全国通訳案内士の方が間違いなく高かったことは事実です。

長くなるので一旦切ります。

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