ガイド体験談①服装

熊野古道のガイドになってから気づいたことなどをシェアしたいと思います。

まず、お客様の服装ですが、日本人では信じられない格好で参加される方もちらほらいらっしゃいます。

以下、私がご案内したお客様や、遭遇した古道ウォーカーの実例を挙げてみます。

1.Tシャツ、短パンは当たり前

驚くほどみなさん、肌を露出します。たとえそれが肌寒い3月であっても関係なしです。どうも西洋人は東洋人と比べて基礎体温が高いようで、肌を露出することでうまく調整することが狙いだと思いますが、あまりにもこのスタイルが多いので、お客様に「それ、スタンダードなんですか?」と聞いたことがあります。答えはもちろんYES。ただ、心配なのが蛇やハチ、アブといった人間に危害を加える恐れのあるやつらが古道にはいるということ。幸いにも、今まで被害に遭ったという報告はありませんが、肌の露出は上記にような生物がいる以上好ましくありません(アブに刺された方はいましたが)

そして一番恐ろしいのがマダニ。

日本人の方ならご存知でしょうが、肌の露出は「噛んでください」といっているようなもの。現に、古道中にある高原地区では地元の方がマダニに噛まれ、高熱で苦しんまれたそうです。できれば肌の露出はやめてほしいですね。

そして、中にはタンクトップというツワモノも。5月にお客様を案内してる時、タンクトップ+短パンという出で立ちの女性2人組と、女坂終点あたりで遭遇しました。

「あーあ、大変なことになるぞ」

と思いながら、本宮大社まで抜きつ抜かれつで歩いていたんですが、会うたびに彼女たちの肌が徐々に赤くなっていき、本宮大社到着時にはゆでダコ状態に。

肌が白い方々だったので、余計に堪えたでしょう。特に5月は日照時間も長く、紫外線が一番強い時季なので、日焼け対策は万全にしておかないといけません。ちなみに、オーストラリアでは数年前に日焼けマシーンが法律で禁止になりました。オーストラリアの北側は特に紫外線が強く、皮膚がんの発生率が非常に高いそうです。

お会いした時は通常の長い丈のトレッキングパンツを履いていたのに、トレッキングスタート前に膝あたりにあるファスナーを外し、短パンスタイルに変貌したお客様もいました。

やれやれ。

滝尻は蚊の多いエリア。お客様を案内している時に、これまた短パンTシャツ姿の女性2人組と乳岩付近で遭遇。蚊の猛攻に遭い、スパッツに穿き換えている最中でした。

2.サンダル

さすがに初めてこれを見た瞬間は「熊野古道をナメてんのか」と憤りを覚えた記憶があります。

旅行会社が事前に十分な情報を与えていなかったのか、それとも与えていたにもかかわらずお客様が守らなかったのかは分かりませんが、わたしだけはなく、他のガイドからも同じ報告を複数受けています。

当たった方、アンラッキーです(笑)

そういう人には、歩く前に危険であることをお伝えし、ガイドのすぐ後ろを歩いてもらうようにしています。

あと、クロックス履きの方も見ました。

「これが世界で一番のトレッキングシューズだ。ふかふかしていて濡れても平気」

とか抜かしていらっしゃった。

「だったら雨に濡れた下りの石畳を歩いてみろ」と言いたい。おそらくそんなことを自慢げに平気でいう人は頑固者なので、滑って文字通り頭を打たないと分からないでしょう。

3.チュニック

やめてください(笑)

お会いした瞬間、そのツアーに何かしらの問題が起こるのではないかという嫌な予感が的中。

滝尻から歩き出し、寝不王子で彼女がリタイヤ。彼女と共に下山しました。その最中、やはり蚊の猛攻に遭い、13か所を刺される惨事に。ふもとの「あんちゃんの店」の方がかゆみ止めをくれました。日本で近年、ジカ熱が発生していますので注意が必要です。

わたしも虫よけスプレーを持ってくるのを忘れたのは失態でした。

ちなみに、アブやブトウには虫よけスプレーは効きません。ブトウとは、ハエをもっと小さくしたような虫で、やはり血を吸います。古道では数は少ないものの、居ることは居ます。わたしがよく通っていた果無山脈にはこれが大量にいて、多い時には30匹以上群がって来ます。

4.カッパなし

日本人では「山に入るのであれば、たとえ晴れていてもカッパは持参する」が常識となっていますが、外国の方は持っていない人が結構います。

ですので、始める前に必ず持っているかを確認し、持っていなければ、古道館やあんちゃんの店などでポンチョを買ってもらうようにしています。ポンチョでもないよりはマシです。

ちなみに、バックパックのカバーを忘れた方もポンチョをお勧めしています。袖だけを通せば立派な雨除けになります。

滝尻~高原を案内していた最中、剣ノ山付近で急に雲行きが怪しくなり、道標3番あたりで土砂降りのにわか雨に遭いました。

「カッパを着ましょう」とは言ったものの、お客様4名、全員持っておらず。

始めに聞くのを忘れた時に限ってこうなります(笑)

わたしだけ着るわけにはいかないので、「じゃあ、みんなで濡れて行きましょう!」と、最後までみんなでずぶ濡れになって歩いたこともありました。夏で良かったです。

あ、自分の車には着替え一式は積んでおいたほうがいいですよ。

発心門王子~本宮大社や、牛馬童子口~牛馬童子像までなど、比較的やさしいコースでは普通の服装や靴で歩くこともできなくはないですが、茶会や成人式にジャージで行ったりする人がいないように、その場所に行くなら、それなりに着るべき服装というものがあり、理由もあります。古道も歩くのにふさわしい服装で、安全に楽しく歩けるようにしたいものです。

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