とにかく現場に出ろ!

ガイドは経験が非常に大切です。とにかく現場に出てみることです。

失敗もしますが、致命的なものはそう簡単に起こってくれませんから安心してください(笑)

失敗してもいいんです。逆にその失敗がその人のガイドのレベルを底上げしますので次に繋がります。

ただ、それを「失敗」と取るのか「学び」と取るかです。
こうやったらダメだということを学んだのですから、それも成功と言えます。

要は失敗を失敗と思わないことだと思います。

机で10時間知識を詰め込む人より、1回でも現場に出た人の方がレベルは上です。

それぐらい、現場に出るということは非常に重要です。

私も、これだけブランクがあれば行く前は正直本当に不安でしたが、終わってみれば「行って良かった」とやはり思います。

私が初めて認定試験を受けた時は、緊張して頭が痛くなり、前の夜など一睡もできませんでした。

慣れてくるとお客様と会う前に緊張すらしなくなります(笑)
前日もぐっすり眠れます。
ぜひそのレベルまで経験していただけたらと思っています。

現実を受け止められるかどうかが成長のカギを握る

当会では、新規入会者に対して新人研修を実施しています。
新人研修は動画形式の座学で実践的な基本を学んでもらい、その後現場研修と試験を受けてもらっています。

研修と試験の目的

当会では、ガイドとして活躍をしてもらう前に、研修と試験があります。

特定のコースで研修を受け、試験では研修と同じコースで、実際にお客様役を案内してもらうものです。

この研修と試験の目的は、ガイドスキルの担保です。
お客様は基本的にガイドを選ぶことができませんので、どのガイドが当たっても一定のスキルがあることが必要だと考えているからです。

また、自分のガイドしている姿を客観的に見てもらえる非常にいい機会です。
自己流で「これでいいのか?」と試行錯誤をしながらやっていくより、成長のスピードは格段に上がります。

泳ぎ方を自己流で習得するより、きちんと基本から教えてくれる方が上達が早いのと同じです。

研修から試験まで

受講コースは9つの中から任意で選んでもらいます。
研修では、試験でチェックする項目をお伝えし、試験に備えてもらいます。

研修から試験までの期間は1~3ヵ月後。
その間に試験に向けて準備をしてもらいます。

受験日は、受験者と試験官2名の都合によって決めています。

受験後1週間後に、結果とフィードバックを添えてお知らせしています。

試験は、研修でお伝えしたことができていれば受かるようにしています。
もちろんその前に、ガイドとして必要なコミュニケーションスキルと語学レベルが備わっていることが条件であることは言うまでもありません。

また、試験官の感情や試験官によって判定基準がブレないように採点方式にしています。
ただ、判定が微妙な時は試験官と話し合って決めることもありますが、そういったケースは稀です。

合格する人と不合格になる人の差とは?

実際に「試験」とはいえ、落とすためのものではありません。

しかしながら、それが十分にできていなくて不合格になる人がいます。
中には2回不合格になる人もいます。

一発で合格する人とそうでない人との差は「新人研修の座学で学んだことを実践しているかどうか」と「研修でお伝えしたチェック項目が守られているかどうか」です。
2回不合格になる人は、1回目のフィードバックを元に改善した跡がまったく見られませんでした。
なので当然の結果です。

その方には、フィードバックでお伝えしたことが改善されていなければ、何回受けても同じだということを2回目のフィードバックでお伝えしました。

1回目で不合格になる人も同じです。
研修でお伝えしたことが守られていないことが一番の原因です。

今後ガイドとしてデビューした後に、お客様からネガティブなフィードバックをもらった時の方がダメージが大きいことも考え、こちらは期待を込めて改善点をお伝えしています。

また、ガイドの技術的な項目や注意点は、座学の動画で解説をしています。

それが活かされていないと、貴重な時間を割いて動画を視聴して学んだことが無駄になります。

「失敗」か「成長」か

これまでの人生で幾度となく試験を通過してきたと思います。

その中のたった1回、当会のような小さな団体の試験に不合格になっただけで「もうやめた」となる人もいます。
さらにはその後に申し込んでいた研修やトレイニーまですべてキャンセルする人がいます。

本当にもったいないです。

そういった人は、自身の向上のための助言に対して謙虚ではなく、言い方は乱暴ですが精神的に子供です。
そして、厳しいようですが、そんな弱いメンタルでは今後ガイドとしてやっていくことは難しいと思います。

「不合格」で落ち込む原因は、それを「失敗」と取るからだと思います。
不合格は「失敗」ではなく、「成長」だと捉えれば、そこまで精神的に落ち込むことはないはずです。
そして今回は一段成長したということになりますし、成長が必要だったから「不合格」になったのです。

まだ、諦めずに3回目をチャレンジする人の方が今後伸びてくることは誰が見ても明らかでしょう。
それをたったの1回でやめてしまえば、そこで成長は止まってしまいます。
おそらくそういった人は今後の人生でも同じことを繰り返すでしょう。

フィードバックを自分の成長のために課せられた課題としてきちんと受け止め、それを改善する姿を見せてほしいと思います。

情報は多角的・自発的に②

前回の記事はこちら

確かにガイドは専門家ではありませんので、三山が決めたことに口出しをしようなどと思ってもいません。

薬師如来は現世の仏という「事実」をお伝えしただけです。

習ったことを伝えることや、他の団体と共通のことをお伝えすることは重要です。

しかし、説明を聞いて「なぜだろう?」と疑問を持ち、自分で様々な角度から調べることも重要だと思っています。

その上で、自分の意見を持つことや、他方の見解を持つこと、そしてそれをお伝えすることも重要だと思っています。

「勝てば官軍」という言葉があるように、特に歴史は勝者側の立場で書かれていることが当たり前です。

しかしながら、敗者の立場から見た時の言い分や、その時の状況から、なぜそういう判断に至ったのかということも知った上でないと、正しい判断ができない時もあります。

歴史の話だけではなく、身近でも同じようなことが起こります。

AさんからBさんの良からぬ噂を聞き、実際に本人のBさんから話を聞いた時、Aさんの解釈が間違っていたのでは?と思うこともあります。

「諸説あります」という断りを元に、お客様に判断していただくことは重要だと思っています。

逆に、一方だけの情報を聞いてそのまま受け売りすることは、ガイドとしていかがなものかと思います。

ガイドを始めて間もない時はそれでいいと思います。

しかし、経験が増え、知識が深まっていくにしたがって他の説などを含めた上でお伝えできるようにならないと、ガイドとして成長していないと思っています。

「諸説」を知っているのであれば、それもお伝えするべきだと思っています。

そして、個人としてはどう思っているのかをお伝えすることも重要だと思っています。

それさえ制限されるのであれば、もはやそれは共産主義と同列です。

特に外国の方からは「君はどう思っているのか?」と聞かれます。

天皇について、捕鯨については特に聞かれます。

自分の意見を持つことは、外国のお客様をご案内する時は殊更必要だと思っています。

一方ではこう言っている、他方ではこう言っている、自分はこう思う、ということを伝えた上で、どれを取るか判断するのはお客様でいいのではないでしょうか。

お客様に納得していただける説明をすることもガイドとして重要な役割だと思います。

「なぜだろう?わかりません」ではもちろん納得はしてくれません。

私も速玉さんが現在でも過去でもぶっちゃけどっちでもいいです。

私が言いたいことの核心はそこではないのです。

ワクチンのことについてもそうですが、マスコミや専門家?の言うことを鵜呑みにした結果どうなったでしょうか?

本当にワクチンの効果があるのであれば、まだみんな7回目8回目と打っていると思います。

「おかしい」と思って自分から情報を取らないと、今後同じようなことが起こる可能性があることの重要性を伝えたかったのです。

ガイドについても同じだと思います。

通説になっているからといって、それを自分で裏も取らずに、調べもせずにそのまま伝えるのはいかがなものでしょうか。

「上が言っているからこうです」という、あるいは「(たとえその情報が間違っていたとしても)みんなで言うことを合わせましょう」というのでは、それこそ、今の日本の社会が抱えている「同調圧力」と同じではないでしょうか?

こういった考えがある限り、また同じようなことが将来起こります。

そして、もしその通説が間違っていたなら、間違った情報を伝えた人間として、その片棒を担ぐことになります。

おかしいと思うことは「おかしい」と声を上げることも時には必要ではないでしょうか?

そういうことを言いたかったのです。

そして「今はこれが通説ですが、こんな意見もあります」という情報を提供することもガイドとして必要ではないでしょうか。

少なくとも私はそうしていました。

どちらを取るかはその情報を受け取った人の自由です。

そして、三山に立てつこうという気も、闘鶏神社が混乱を招いているなどと言って事を荒立てるつもりはサラサラないということを強くお伝えいたします。

私の言いたかったことはそこではないということをご理解いただけますと幸いです。

情報は多角的・自発的に①

「4月になったらマスクを外せるという人がいる、それだけでも喜ばしいこと」と仰る方がいます。

でも、マスクを信じているわけではないのに今は着けている人は「同調圧力に屈する人」「国が言うことにただ従う人」なのです。

他の重大な問題が起きた時を思うと、やはり憂うべきことです。

ー倉田 真由美ー

今回は「情報は多角的に、自発的に取れ」ということについてお話をいたします。

今さらですが、仏教の勉強をしています。

今はあまりガイドに出ることはありませんが、お客様にも聞かれることが多いので、もしガイドで聞かれた時に答えられるようにするためでもあります。

しかし、今回一番言いたいことは「人が言っていることや常識とされていることを鵜呑みにせず、なぜそうなのかと思うこと」そして「情報は多角的に取って判断すること」の大切さです。

こうして勉強をしていると、違うところでつながってきたりします。

以下は私の考察であり、私はひねくれているので間違っているかもしれません。

この考えを支持する・支持しないはお任せします。

薬師如来は現世利益

仏教の本の中で、薬師如来についてこういう記述があります。

****************

薬師如来はサンスクリット語で「バイシャジア(医者)グル(師)」であり、「薬師」は漢字の意訳です。

経典には、かつて菩薩だった頃、自分の名前を唱える者を病や障害などから救うなど、12の請願を立て、その願いが叶い、仏(如来)になりました。

左手には薬壺(やっこ)を持ち、左右に日光と月光の両菩薩を従え、さらにその周囲に十二神将を配します。

典型的な現世利益の仏と言ってよく、古来、日本では病気平癒や怨霊対策に霊験あらたかとされてきた。

しかし、起源はいまだに判明せず、その信仰はほぼ日本だけに限られます。

****************

薬師如来は現世利益の仏です。

今、三山の神々についてはこう言われていますよね。

本宮=来世

新宮=過去

那智=現世

「あ、そうなんだ」と鵜呑みにしていませんか?

しかし、以前この通信でもお話した闘鶏神社では

イザナミ(本宮)=現世と来世

速玉=現世

コトサカオ=過去

となっています。

闘鶏神社は本宮からそっくりそのまま勧請されてきたものなので、本宮大社も以前はこうであったはずです。

本宮=来世、速玉=過去、那智=現世となったのは、熊野三山協議会での取り決めらしく、このようになったのはごく最近とのことです。

どういった経緯でそうなったのかは分かりませんが、本宮大社では主祭神がイザナミから熊野坐神となったり、最終的にはスサノオに変わっていることや、速玉大神がイザナギとなったこともおそらく関係があると思います。

考えられる理由は2つ

こうなってしまったのには、2つの理由が考えられます。

一つ目は、主祭神が時代によって変わっていることです。

熊野では早くから神仏習合(神仏混淆)ではありましたが、仏教の影響が強く、三山の本地仏は確固たるものでずっと変わっていません。

本宮=阿弥陀如来

速玉=薬師如来

那智=千手観音

しかし、主祭神に関しては先述の通り、時代によって変わってしまっています。

仏様はずっと変わっていませんが、主祭神は「ぶれぶれ」なのです。

もう一つ考えられる原因は、明治の神仏分離令だと思います。

熊野は古くから神仏習合であったものを、明治時代に神道の神社に無理やりしてしまったため、神道の主祭神にちなんで現在・過去・未来を当てなければならなくなったからでしょう。輪廻転生は仏教の考え方であり、神道では、人は死んでからは氏神となります。現在・過去・未来という考え方も、仏教にちなんだものです。ということは、そもそも三山の現在・過去・未来も仏教の仏様にちなんだものだと考える方が腹に落ちます。

主祭神が変わったことと、神仏分離令のおかげで、神道の神様を元に現在・過去・未来を当てなければならなくなったことにより、従来の解釈では無理が出て来たことが、現在の本宮=来世、新宮=過去、那智=現世という取り決めになったのでしょう。

考察が長くなりましたが、少なくとも、速玉さん(薬師如来)は過去ではなく、間違いなく現世です。

「それでも速玉は過去だ」とおっしゃるのであればそれはそれで構わないと思います。

熊野三山協議会がそう言っていて、今はそれが通説になっているので。

でも、薬師如来は本来、現世の仏であるという「常識」は知っておく必要があると思います。

よそで話して恥をかかないために。

なので速玉さんの説明をする時には、「薬師如来は本来、現世の仏ですが、ここでは過去ということになっている」という説明でいいかと思います。

こう書くと、「ガイドによって違うことをいうとお客様が混乱する」「自分の意見は一切いれるなと市から言われた」とか「それは神社が決めることで、ガイドは専門家ではないので研究をして断定をしてはいけないと言われた」などと反論されました。

そして、「三山の宮司さんが納得されているお話をテキスト化してくれればそれを覚えて伝えるだけと思っています」とも。

でも、ちょっと待ってください。

これではまるで共産主義や昔のキリスト教徒ではないでしょうか?

「お上が言ったことを伝えるだけ」であれば、言い方は悪いですがもはや「羊」です。

話が長くなるので一旦切ります。

先に言うんだよ

幸せになりたかったら「幸せだ」って言いな。

先にだよ。

「幸せになってから言うもんじゃないんですか?」って?

違うよ。

そば屋に行っても出てくる前に「天ぷらそば」って言うだろ?

「出てきてから言います」って言ってたら絶対に出て来ないよ。

幸せになりたかったら、今「幸せだな」って言いなよ。

-斉藤 一人-

和田通信では私が個人的に印象に残った言葉を紹介しています。

日本は言霊の国と言われています。

日本語は神の言語に一番近く、言葉の力が最も強いと聞いたことがあります。

漢語が入って来てからは、元来あった大和言葉は随分と駆逐された感はありますが、依然として言霊の力は強いそうです。

言霊の力が強いということは、良くも悪くも言った通りに作用するということになります。

「あ~ガイドの時にお客様が熊野古道から落ちたらどうしよう」とか、「お客様の質問に答えられなかったらどうしよう」とか、「お客様が待ち合わせ場所に現れなかったらどうしよう」とか、ガイドの前にいちいち考えていたり言葉に出したりしていると、本当にそういったことが起こります。

もちろん、事前に対策を考えておくことは重要ですが、毎回毎回言葉にすることはやめておいた方が絶対にいいです。

私はガイド前に「絶対にうまくいく!」と言って、お客様と笑顔でお別れするところを想像してからガイドに出るようにしています。

経験を積むことの大切さ

恐怖心ってのはやる直前がピークなんだよ。

スカイダイビングでも飛ぶまでが一番怖く

て飛んでる最中は楽しさが勝つもんだ。

怖がる時間が長くなればなるほど恐怖は膨

れ上がる。

恐怖の先には快楽が待ってるのに、勝手に

不安になって自分を苦しめてる訳だ。

損でしかない。

何かやる時はビビらず速攻でやれ。

ーTestosteroneー

この言葉、そのままガイドに当てはまりま

す。

お客様にお会いするまでは不安で仕方ない

かもしれませんが、終われば「楽しかった」

となることの方が圧倒的に多いです。

まずはあれこれ考えずにやってみることです。

そして経験を積むことです。

経験を積めば恐怖心もなくなってきます。

自信も出てきます。

経験に勝るものはありません。

そして、なるべく間隔を空けずにガイドに

出続けることです。

緊張する暇もなくなります(笑)

説明も「立て板に水のごとく」覚えてしま

います。

そうなれば、別のコースも案内できる余裕

が生まれます。

チャンスはみなさん平等にあります。

お久しぶりです。

長ーい引っ越しが終わりました(笑)

個人的にも色々とあり(本当に色々ありました)、気づけば1年以上経っていました。
このブログよりも、会員向けに配信している「和田通信」に力を入れていただこともあり、ほったらかしにしていました。
先日「もうブログは更新されていないんですか?」と聞かれて「じゃあ、またやろうかな?」と思うようになりました。

しかし、PCも変わってしまい、このブログへのログインURLもパスワードも忘れてしまっていました。

ちょっと時間がかかりましたが、何とかログインすることができました。

こちらの更新頻度はどうなるかわかりませんが、気長にやっていこうと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

さて、復活1回目のトピックは「自己投資の重要性」についてです。

最近の会の動きとしては、入会希望者がひっきりなしにあり、その対応と研修に忙しいです。

その新人研修も制度を整え、以前は現場研修だけだったものを動画形式の座学も取り入れたりして刷新しました。

内容としては大まかに、座学、認定研修、認定試験、現場研修で構成されています。

座学では心構え、ガイド業務時の注意点、スキルアップ法、持ち物、安全管理、ケーススタディ、熊野古道の生き物・花など多岐に渡ります。

認定研修では、実際にガイドをする際の注意点を中心に、特定のコースから選んでもらい受講していただきます。
認定試験では、認定研修のコースで実際に案内をしてもらいます。

そのあと、現場研修でもう1コースを学んでいただきます。

料金は55,000円です。

これを高いと取るか当然と取るかはお任せしますが、私の意見としては、自己投資をせずに無料で、または無料同然のような金額で何かを学ぼうをするのは虫が良すぎるというものです。

これくらいの金額であれば、3~4回ガイドに出れば取り戻せます。

自己投資なしに自分の成長はありません。

今後しばらくの間は和田通信に記載していた内容から抜粋をして更新していこうと思っています。

お客様と打ち解けるには?

私がガイドの時によく使う手は、演技です。

とは言っても、悪意のある演技ではなく、「そのことについて知らないから教えて」という体で、質問をたくさんします。

これには国境はないとは思いますが、自分の得意な事について、人は誰かに伝えたくて仕方ありません。
この心理を利用します。

しかし、もちろん話をよく聞いておくことが大前提です。

そして「あなたが言っていることを私は理解していますよ」という意思表示をします。
たまに「こういうことなんだね」とか、相手が言った単語を強調して繰り返すだけでも効果があります。
これが相手に伝われば、もうこっちのものです(笑)

そうやって話を聞いているうちに、自分の知らなかったことを教えてもらったという経験を幾度となくしてします。

ガイドとは、こちらから一方的に自分の知っている話をすることがすべてではありません。

それでいいのであれば、音声ガイドで十分です。

ここに、ガイドとお客様が双方向で楽しめる面白さがあるのです。

そして、お客様からも学ぶことができるのです。

こちらのサイトにも、同じようなことが書かれています。
ぜひお読みになってください。

外国人と仲良くなる方法は、これ

こちらもご参考に。

熊野古道英語ガイドになろう

多角的な情報入手の重要性

先日お邪魔したあるお宅のご主人との会話です。

「実は先日、嫁と一緒に新型コロナに罹ってしまいまして・・・」

「そうか!で、ワクチンは打ったん?」

「いや、私は一回も打ってないです」

「奥さんは?」

「嫁も打ってないです」

「ははは!そりゃかかるわ!わしはもう4回打ったで」

いまだに「ワクチンは感染予防できる」と盲信している人(特に高齢の方)が圧倒的に多いようです。

この方は語り部さんなのですが、語り部さんはおそらく(私もそうですが)、色々なところから情報を引っ張ってきて勉強をされているはずなので、先出のような会話になるとは思ってもいませんでした。

ワクチンの話は本題から外れていましたので、ここで議論をしてもお互い気まずくなるだけだと思い何も言いませんでしたが、あれだけの知識をお持ちの方だっただけに少し残念な気持ちになりました。

何が言いたいかというと、これは何もワクチンの話だけにとどまらず、ガイドの勉強をする時でも、決して教えてもらった情報を鵜呑みにしてはいけないということです。

その時に説明を聞いて「へぇ、そうなんだ」と納得をしても、後から復習する時に疑問が出てくる場合があります。

その疑問を突き詰めていくと「ちょっと違うかも」と思う時があります。

私の場合で熊野に関して言えば、「熊野」の由来であるとか、速玉大神のことについてとか、八咫烏のことであったりとか、千木の話であったりとか、熊野の神々はどこから来たのかとか、その時に聞いて「へぇ!」と思ったことであっても、あとから「やっぱりちょっと納得いかない」となり、色んな情報を取り入れて考えてみると、「こっちのほうが自分の腹に落ちる」となることが多いです。

どの話かはあえてここでは言いませんが、明らかに作り話であることなどは、「ほんまでええやないですか」で済ませてもいいと思いますが、核となる部分については色んな角度からの情報を仕入れて判断することが重要だと、最近つくづく思います。

これも、新型コロナのおかげといえば語弊がありますが、今回の騒動で本当に実感しています。

低体温症とその予防

低体温症とは

低体温症と聞くと、冬のイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、夏にも起こり得ます。

低体温症とは、深部体温が35度以下になった状態を言います。

夏は汗をよくかきますが、その状態で山の稜線などで風に晒された場合や、長時間雨に打たれた時などに起こるようです。

とは言っても、発汗は体温上昇を抑える働きがあるため、夏に汗をかかない方が難しいです。

低体温症の原因としては、

①低温環境

②熱の過剰な喪失

③疲労や栄養不足

④体温調節機能の低下

が挙げられます。

低体温症の初期症状は、体の震えです。体が震えることによって体温を上げようと働きますが、症状が進行してくるとその震えもなくなります。
そうなると、歩けなくなったり反応が鈍くなったりします。

有名な痛ましい事故として、トムラウシ山遭難事故がありますが、これで亡くなった方8名は低体温症でした。
内容についてはテレビでも紹介されていたのでご存知の方も多いと思いますが、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
トムラウシ山遭難事故

軽く見るべからず

「それって、北海道の話でしょ?熊野古道ではないでしょう?」と思われる方がいるかもしれませんが、私も低体温症の一歩手前の経験をしたことがあります。

この日は大雨の中の研修でした。

前日に大雨が降る予報が出ていたにも関わらず、そのことを講師さんとお話し、当時のうちの代表に指示を仰いだところ「最悪の天気の中で行っておけば、あとはどんな天気でも行ける」のようなことを言われ、強行。

翌日は本当の大雨で、出発からすぐに靴には浸水、手は濡れてそこからどんどん寒くなってくる感覚がありました。

中間地点についてお昼を食べようとしましたが、冷たいおにぎり(3月初旬だったと記憶しています)を食べるとさらに体が冷えて震え始めました。

しかし、そこで講師さんがお湯を沸かしてカップヌードルを分けてくれたのです。
そこから見事に復活し、何とか研修を終えることができました。

一歩間違えれば事故につながったケースです。

最悪の天気の時は、絶対に行ってはいけませんよ。

最善の方法は予防すること

一番いい方法は、低体温症になる前に予防をすることです。

予防は衣服をうまく調整することで防ぐことができます。
防風機能や保温効果のあるものを用意しておくといいです。
体表の水分を外に逃がすドライレイヤーや、濡れても保温機能が高いウールなどのアンダーウェアもいいです。
先日のトレッキング研修でも、講師の方がアンダーウェアの重要性を説明してくれました。
アンダーウェアにはお金をかけましょう。

低体温症になってしまったら

それでも、予防の甲斐もなく、低体温症になってしまったら、山小屋やテントで暖を取る方法がいいのですが、熊野古道ではほとんどありません。
また、テントを持っていくこともほぼありませんが、ツェルトかブランケットくらいは用意しておいたほうがいいかもしれません。
あるいは、あづまやであればコース中にある程度ありますので、そこで暖を取るかです。
しかし、そこが吹きさらしでは意味がありませんが。

あとは着替えができればかなり違います。

みなさんも、雨に濡れた状態から服を脱いだ時、濡れた服を着ていた時よりもかえって暖かく感じたことがあるかと思います。

レインウェアの重要性

レインウェアも重要です。

ガイドともなれば透湿防水機能のついたものをお持ちかと思います。
ゴアテックスなどは本当に快適に雨の中でも歩くことができますが、普段のメンテナンスをしておかないと、その機能が十分に発揮されません。

レインジャケットの表面には細かい毛のようなものがあり、それが立った状態なのですが、これが汚れなどがつくと寝てしまいます。
「毛」が立った状態であれば水滴が落ちても水玉になって弾いてくれます。
新品のレインジャケットが雨を弾いて水玉ができるのはこのためです。

この水玉ができている状態が重要なのだそうです。

この状態の時に、体内の湿気を逃してくれるからです。

しかし、透湿防水のゴアテックスはレインジャケットの表面にあるわけではなく、レインジャケットの下の層に施されています。
せっかくゴアテックスが雨を防いで体内の湿気を体外に放出しようとしても、表面の生地の「毛」が寝た状態だとその湿気をブロックしてしまいます。

こうして行き場をなくした湿気が内部に戻り、体内が濡れてしまうのです。

ゴアテックスの苦情でもっとも多いのが、この「メンテナンス不良による汗蒸れ」だそうです。

自分の汗で濡れているにもかかわらず、「雨が通ってきたやないか!」という苦情です。

苦情の大半は、ゴアテックスがしっかりと機能している場合が多いそうです。

なので、レインジャケットが汚れてきたら、そこに書かれている指示に従って洗い、陰干しをしたあとにアイロンをかけると元通りの毛が立った状態にもどります。
面倒な人は、洗ったあと、少しぬれた状態でもいいので、コインランドリーの乾燥機に入れて少し回して乾かせば元に戻ります。

これもプロの方に教えていただきました。

とにかく、初期症状を軽く見ず、早めの対応を心がけるようにしておきたいところです。
なんでもそうですが、なってしまってからでは対処が大変になります。
常に予防を心がけることが、事故を未然に防ぎ、古道歩きを楽しむ最大の心得だと思います。

今回はこちらの記事を参考にさせていただきました。オススメのアンダーウェアやジャケットも紹介されています。
冷え・低体温症から身を守る(YAMAP STORE)