低体温症とその予防

低体温症とは

低体温症と聞くと、冬のイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、夏にも起こり得ます。

低体温症とは、深部体温が35度以下になった状態を言います。

夏は汗をよくかきますが、その状態で山の稜線などで風に晒された場合や、長時間雨に打たれた時などに起こるようです。

とは言っても、発汗は体温上昇を抑える働きがあるため、夏に汗をかかない方が難しいです。

低体温症の原因としては、

①低温環境

②熱の過剰な喪失

③疲労や栄養不足

④体温調節機能の低下

が挙げられます。

低体温症の初期症状は、体の震えです。体が震えることによって体温を上げようと働きますが、症状が進行してくるとその震えもなくなります。
そうなると、歩けなくなったり反応が鈍くなったりします。

有名な痛ましい事故として、トムラウシ山遭難事故がありますが、これで亡くなった方8名は低体温症でした。
内容についてはテレビでも紹介されていたのでご存知の方も多いと思いますが、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
トムラウシ山遭難事故

軽く見るべからず

「それって、北海道の話でしょ?熊野古道ではないでしょう?」と思われる方がいるかもしれませんが、私も低体温症の一歩手前の経験をしたことがあります。

この日は大雨の中の研修でした。

前日に大雨が降る予報が出ていたにも関わらず、そのことを講師さんとお話し、当時のうちの代表に指示を仰いだところ「最悪の天気の中で行っておけば、あとはどんな天気でも行ける」のようなことを言われ、強行。

翌日は本当の大雨で、出発からすぐに靴には浸水、手は濡れてそこからどんどん寒くなってくる感覚がありました。

中間地点についてお昼を食べようとしましたが、冷たいおにぎり(3月初旬だったと記憶しています)を食べるとさらに体が冷えて震え始めました。

しかし、そこで講師さんがお湯を沸かしてカップヌードルを分けてくれたのです。
そこから見事に復活し、何とか研修を終えることができました。

一歩間違えれば事故につながったケースです。

最悪の天気の時は、絶対に行ってはいけませんよ。

最善の方法は予防すること

一番いい方法は、低体温症になる前に予防をすることです。

予防は衣服をうまく調整することで防ぐことができます。
防風機能や保温効果のあるものを用意しておくといいです。
体表の水分を外に逃がすドライレイヤーや、濡れても保温機能が高いウールなどのアンダーウェアもいいです。
先日のトレッキング研修でも、講師の方がアンダーウェアの重要性を説明してくれました。
アンダーウェアにはお金をかけましょう。

低体温症になってしまったら

それでも、予防の甲斐もなく、低体温症になってしまったら、山小屋やテントで暖を取る方法がいいのですが、熊野古道ではほとんどありません。
また、テントを持っていくこともほぼありませんが、ツェルトかブランケットくらいは用意しておいたほうがいいかもしれません。
あるいは、あづまやであればコース中にある程度ありますので、そこで暖を取るかです。
しかし、そこが吹きさらしでは意味がありませんが。

あとは着替えができればかなり違います。

みなさんも、雨に濡れた状態から服を脱いだ時、濡れた服を着ていた時よりもかえって暖かく感じたことがあるかと思います。

レインウェアの重要性

レインウェアも重要です。

ガイドともなれば透湿防水機能のついたものをお持ちかと思います。
ゴアテックスなどは本当に快適に雨の中でも歩くことができますが、普段のメンテナンスをしておかないと、その機能が十分に発揮されません。

レインジャケットの表面には細かい毛のようなものがあり、それが立った状態なのですが、これが汚れなどがつくと寝てしまいます。
「毛」が立った状態であれば水滴が落ちても水玉になって弾いてくれます。
新品のレインジャケットが雨を弾いて水玉ができるのはこのためです。

この水玉ができている状態が重要なのだそうです。

この状態の時に、体内の湿気を逃してくれるからです。

しかし、透湿防水のゴアテックスはレインジャケットの表面にあるわけではなく、レインジャケットの下の層に施されています。
せっかくゴアテックスが雨を防いで体内の湿気を体外に放出しようとしても、表面の生地の「毛」が寝た状態だとその湿気をブロックしてしまいます。

こうして行き場をなくした湿気が内部に戻り、体内が濡れてしまうのです。

ゴアテックスの苦情でもっとも多いのが、この「メンテナンス不良による汗蒸れ」だそうです。

自分の汗で濡れているにもかかわらず、「雨が通ってきたやないか!」という苦情です。

苦情の大半は、ゴアテックスがしっかりと機能している場合が多いそうです。

なので、レインジャケットが汚れてきたら、そこに書かれている指示に従って洗い、陰干しをしたあとにアイロンをかけると元通りの毛が立った状態にもどります。
面倒な人は、洗ったあと、少しぬれた状態でもいいので、コインランドリーの乾燥機に入れて少し回して乾かせば元に戻ります。

これもプロの方に教えていただきました。

とにかく、初期症状を軽く見ず、早めの対応を心がけるようにしておきたいところです。
なんでもそうですが、なってしまってからでは対処が大変になります。
常に予防を心がけることが、事故を未然に防ぎ、古道歩きを楽しむ最大の心得だと思います。

今回はこちらの記事を参考にさせていただきました。オススメのアンダーウェアやジャケットも紹介されています。
冷え・低体温症から身を守る(YAMAP STORE)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA