「私はあなたが好きです。あなたのおかげで私はとても楽しい。あなたにお目にかかってうれしい」
犬がかわいがられるゆえんである。
私はイチゴ・クリームが大好物だが、魚は、どういうわけかミミズが好物だ。
だから魚釣りをする場合、自分の好物のことは考えず、魚の好物のことを考える。イチゴ・クリームを餌に使わず、ミミズを針につけて魚の前に差し出し、「1つ、いかが?」とやる。
ーデール・カーネギーー 人を動かすより
「最近は登山にハマっています」
「そうなんですね」
(終わり)
たまにこういう会話があったりします。
最悪、無反応で返事すらない時があります。
自分に興味がないものについてはまったく無関心で、質問すらしない人っています。
相手がせっかく打ち解けられるきっかけを与えてくれているのに、そのチャンスを逃しているかもしれませんよ。
これはどうでしょう。
「最近登山にハマってるんですよ」
「そうなんですね!登山はしたことないんですが、面白そうですね!よく行く山とかありますか?」
「最近は近所の◯◯山に良く行きます。今度屋久島に行くのでトレーニングもかねて」
「屋久島に行くんですか!いいなぁ!私は行ったことはありませんし、体力もないので行きたくても行けないでしょうね」
「私も今回初めてなんですが、体力的に不安で・・・雨も多いと聞いたので、安全面を考えてガイドをお願いしようかと思っています」
「そうなんですね。登山に行く時はいつもガイドをお願いするんですか?」
「いやぁ、実は今回が初めてなんですよ。初めてづくしで不安でいっぱいですが・・・〇〇さんは、何か趣味とかあるんですか?」
相手に「ミミズ」を与えている会話ですよね。
これは極端な例かもしれませんが、何を言いたいかと言うと「私はあなたに興味を持っていますよ」ということを相手に分かってもらうことの重要さです。
色んな話題を提供してくる人も、結局は「自分に興味がある話題」であったりします。
自分視点なんです。
人は自分の話をしたがるものです。
自分の話を聞いてくれる人、共感してくれる人には、返報性の法則が働きます。
返報性の法則とは、何か相手にしてもらった時に「こちらも何かお返ししなければ」という心理が働くことを言います。
スーパーの無料試食や、駅前で無料で安い景品を配りまくっておばちゃんたちの心をつかんだあと、会場に連れて行き、高価な羽毛布団を売りつける詐欺なんかも、この返報性の法則を利用しています。
相手の話を聞いてあげ、返報性の法則が働くと、こちらの話も聞いてくれるようになります。
すると、お互いの会話が弾み、お客様との距離が縮まります。
中庸であることも大切
そして、いかに業務を真面目に遂行しても、ただ真面目に淡々とやっているだけでは相手に喜んでもらえません。
チャランポランはいけませんが、真面目すぎるのも相手に魅力がないと感じられてしまいます。
真面目ジメジメ・・・(斎藤一人さんの言葉ですよ。私が言っているのではありませんよ)
硬すぎるのは良くありません。
緩すぎるのも良くありません。
何でも中庸です。
人間、少しくらい緩い方が魅力的になるものなんですよ。
隙のない、完璧な人とは距離を置きたくなりませんか?
相手も気持ちは同じ
さて、これは実際にあった話ですが、お客様から何かスポーツをやっているのか?とよく聞かれました。
熊野古道を歩きに来るような健康志向の強い、トレッキング好きのお客様からすれば、当然の質問です。
「私は空手と古武道をやっています」と言ったら、本当に色々質問してきます。
もう鬱陶しいほど(笑)
逆にうちの会員さんや、周りの人は、質問はおろか、まるで聞いていなかったかのように無反応を決め込む人もいます。
空手について質問されたことはまったくありません(笑)
あ、一人だけいました。
みなさん、よくご存知なんですね!(笑)
だから質問しないんですよね?
ガイド中、空手のことについて聞かれた事がある人もいると思います。
その時にどう答えたんですかね?
話がそれましたが、質問をしてくるということは、お客様も私と打ち解けよう、知ろうとする努力をされているからです。
相手もこちら側と同じ気持ちです。
それを、自分が興味ない、あるいはその知識がないからと言って「そうなんですね」とか、最悪な場合、無反応な対応で終わる人に限って、知識に偏りがあるがゆえに騙されたりします。
「その話は怖いから、聞かなかったことにしよう」などと言って、知らない情報にフタをすると、後でとんでもないことが起こったりします。
なぜなら、その話が詐欺の情報であったなら、人を騙そうとする手口を知らないことになるからです。
無知ほど怖いものはありません。
知らなければ、知ろうとしてください。
・・・何も「私のことをかまってください!」と言っているのではありませんよ(笑)
業務をただするだけでは極論、オーディオガイドで事足ります。
あるいは「道中にある説明板を読んでください」で事足ります。
相手が人間である以上会話があり、その人にしかないストーリーもあるからガイドとしての価値があるんです。
AIが最近幅を利かせていますが、ガイドがAIに取って代わるようなことはないと思っています。
なので、相手の興味のあることや主張も聞いてあげてください。
たとえお客様の主張が間違っていても、まずは共感してあげることです。
ここでいう共感することとは、同意するということではありません。
「あなたはそう思っているんですね。あなたの言っていることを理解しましたよ」という意思表示をしてあげてください。
「でも」「だって」を使って頭から否定すると、相手は自分の人格まで否定された気分になり、心を閉ざします。
否定と議論(特に論破)はご法度です。
「負けて勝つ」という気持ちが大切です。
それでも地球は回っているんです。
間違っている人には、そのうち気付きを得るようなことが起こります。
相手に失礼のないように
「お前は懐いてけーへんからな・・・」
高校を卒業して和歌山市で就職した時、同じ郷里の大先輩からボソッとこう言われたことがあります。
もうかれこれ30年以上前の話ですが、今でも鮮明に覚えています。
私はスナックなどに酒を飲みに行くことが嫌いだったので(食わず嫌いです)そういうところに連れて行かれるのが本当に嫌でした。
ある日、誘ってくれたその先輩に向かって「もう帰ります」と言って、店から歩いて帰ってしまいました。
もう時効なので言いますが、その先輩とは同じ寮に住んでいて、すでに仲間と飲んで出来上がった状態で誘われ、フラフラの飲酒運転でスナックに連れていかれ、店では大騒ぎ・・・
こんなこともあって「もう嫌や!!」となった背景はありますが、やはり長い目で見れば本当に失礼なことをしてしまったと反省しています。
ここまでとはいかなくても「早く帰りたいオーラむき出し」も同列です。
相手にはそれが伝わっています。
伝わっている時点で失礼にあたります。
そのうち誘ってくれなくなります。
お酒の誘いを断るなんて私には信じられないことです。
単に酒好きだから言っているのではありません。
目上の人から酒の誘いを断ることはみすみす自らチャンスを逃しているのと同じことだからです。
「成功できなくても構いません」と言っているようなものです。
酒の誘いを一回断ったくらいでそこまで大袈裟に言わなくても、と思う方もいるかもしれません。
では伺いますが、あなたが誘う立場だったとして、一度断られた相手をもう一回誘う気になりますか?
ならないでしょう。
つまり、一度でも誘いを断ったらその人との親密な関係が、その瞬間になくなることを覚悟しなければならないということです。
ー國分 利治ー 地道力より
当時は「何で仕事の仲間とプライベートの時まで付き合わんとあかんねん。仕事だけやっといたらええやろ」とか「こんなことよりギターの練習したいねん」とか思っていました。
しかし、今思えば「あの時、もっと先輩の好意に甘えておけばよかったな」と後悔しています。
先輩も、やはりこちらと打ち解けたかったのだと思います。
特に同じ郷里だったので特別可愛がってやりたいと思っていたのでしょうね。
何も嫌いな人間をわざわざ誘ったりはしませんから。
自分のことや、その先輩の色んなストーリーを話したり聞いたりして打ち解けるチャンスを自ら断ってしまったことは後悔しかありませんでした。
仕事ももっとやりやすくなっていたでしょうね。
あの時は、ギターの練習とか、ドラクエとか、目先のことだけしか考えておらず、長期的な視点を持つことに欠けていました。
それからその先輩は二度と私を誘ってくれなくなりました。
今度は上の立場になって、つくづくその先輩の気持ちを実感しています。
ガイドでは、お客様といられる時間は非常に限られています。
その中で、いかにここ(和歌山)での体験を印象付けるかは、ガイドにも大きな役割があります。
自分ばかり話すのではなく、ぜひ相手にもしゃべらせてあげてください。
そして共感しながら聞いてあげてください。
話の切れ間にお客様が話した単語を繰り返すだけでも効果はあります。
そして、できればお客様が話されていることについて質問を入れてください。
話がさらに深くなって理解不能になる時がありますが(笑)
でも、「相手を理解しよう」「打ち解けよう」という姿勢は必ず相手にも伝わります。
「嫌やし興味のない話やけど、付き合ってあげよう」とか
「お客様と晩ご飯かぁ、面倒くさいなぁ」
という気持ちも相手に伝わります。
人間関係は、形だけで相手を満足させられるような、そんな易しいものではありません。
気持ちも非常に重要です。
無反応は最悪です。
「面倒くさい」という言葉も私は大嫌いです。
しゃべりっぱなし、聞きっぱなしはどちらも疲れます。
適度にその役割を交替しながら、お客様との距離を縮めていってください。
そして「私はあなたと一緒にいられて嬉しい」という気持ちを持って接してください。
・・・「犬のように相手の顔を舐めろ」とか「体と摺り寄せろ」とか言っているのではありませんよ(笑)
そして、「説明そっちのけでお客様と会話をしろ」と言っているのではありませんよ、念のため。






