名選手、名コーチにあらず

花粉の飛散が始まりましたね。昨日は特にひどかった・・・雨上がりは要注意です。

さて、3月の声を聞くと、高野・熊野特区通訳案内士の口述試験が間近に迫ってきます。

最近の傾向として、問題の内容が1期、2期に比べて難しくなっているせいか、ここ近年の合格率は60%台で推移しています。

私が受けた2期では70%台だったと記憶していますので、段々「狭き門」となって来ている感があります。

現在Mi-Kumanoでは、口述試験対策講座を開催していますが、参加人数が少ないことが功を奏し、よく目が行き届いたおかげで、受講者のレベルが確実に上がってきているという実感があります。

口述試験に特化したものですので、余計な贅肉は一切省き、ひたすら面接形式での訓練をしていますので、終了後、受講者はかなり疲れて帰っていると思います。

何事にも言えることですが、大切なのはやはり目標設定です。

これがぼやけたままだと、受講者も達成感がなく、いくら走ってもゴールが見えないのと同じ状態となり、ただただ苦痛になるだけです。

ですので、まず受講をするにあたって目標を一緒に立てて、その目標に向かって一緒に頑張るようにしています。長いマラソンも、伴走し、励まし、給水してあげれば精神的にも肉体的にも随分と楽になり、完走できる確率が高くなるのと同じです。

目標にも立て方があり、これを間違うとせっかく立てた目標が意味をなさなくなります。

「死ぬ気で頑張る」「必死で頑張る」

これはただの「精神論」であり「目標」ではありません。

また、「口述試験に合格する」は受験者なら当たり前に持つ目標ですので、「合格するためには自分に何が必要か」をはっきり認識し、数値化することが大切です。数値化は何においても非常に重要で、継続する意思を持ち続けるためには必須事項です。

すでに受講者はその数値をクリアしていますので、あとはそれをより確実にしていく「仕上げ作業」をし、万全の態勢で臨む準備ができています。

また、客観的に自分を見てもらうことで、自分では気付けなかった弱点も洗い出せ、修正することができるので、穴を限りなく小さくすることができます。

今年はこれが初めての試みでしたが、年を追うごとにその内容は充実したものになると思います。

来年受けられる方は是非、この講座を検討に入れてみてください。

下手な英会話の教室に行くよりよっぽど効果があると思いますよ。わたしの英語のレベルはさておき(笑)

ぶっちゃけ、ある一定のレベルがあれば、あとは「教え方」だと思います。

極端な例では、某高校のダンス部は毎年全国優勝するほどの実力校ですが、監督はダンス経験ゼロで就任し、そこから全国一に導いた「実力者」です。逆に、わたしが講習で習った武道の先生は、大会では優勝するほどの実力者でしたが、教え方が下手で、結局何を教えたかったのか混乱したまま不完全燃焼で終わったことがありました。

「名選手、名コーチにあらず」です。

英語の世界も同じだと思います。いくら英語が出来ても、教えるのが下手な人から教わって上手くなるはずはありません。それがたとえネイティブでもです。

今、私は日本語教育の講座に通っていますが、日本語の教え方を教わることで、それが確信へと変わりました。

私たちは当たり前に日常生活の中で日本語を話せ、理解できます。しかし、きちんと教え方を知らないと外国人に日本語を教えることができないのと同じです。

例を挙げましょう。

1.教室「を」出る。

2.弁当「を」食べる。

私たちは何の疑いもなく「を」を助詞として使いますし、国語の授業で習うこともありません。でも、習慣的に「を」を当然として使います。しかし、外国人には「なぜ両方に『を』を使うのか?」が理解できないそうです。この使い方をはっきり説明できなければ、外国人は「迷宮」に入ってしまいます。

何かを誰かに習う際には、教え方を熟知している講師を慎重に選ぶ必要があると思います。

ご参考にされてください。

p.s.

昨日、おとといと日本人の方をご案内させていただきました。全国通訳案内士さんで、今度熊野古道を案内することになり、コースの下見と知識の吸収に来られたそうです。それを聞いたとたん、「研修モード」に入ってしまいました(笑)

こういった「本気の人」は大好きです。

ツアーの成功をお祈りしております。

目的の所在はどこですか?

厳しい寒さもようやくひと段落し、春めいてきましたね。

遅れていた梅の開花も進み、少し遅い春がようやくここ南紀に訪れようとしています。ガイドとしてはこの時季は閑散期ですが、団体代表としては将来のことをじっくり考え、実行に移す最大のチャンスでもあります。今後どうなっていくのか、是非温かく見守っていただけたらと思います。

さて、先日2月10日のスキルアップ研修を以って、現場研修すべてを終えることができました。

とにかく事故もなく無事に終わってホッとしています。

今回は他の言語が追加されたということで参加者も増え、各研修40名ほどの参加がありました。

40名もいれば様々な人もいるわけで、常に列の先頭でわたしと話をしながら歩く方もいれば、中には説明も聞かず一体何をしに来たのかよくわからない人もいましたね。

ただ、一通りの研修を終えてひとつ気になったのが、「しっかりと目的を持って参加しているのか?」ということです。目的を設定しないまま研修に参加して「ああ、楽しかったな」で終わってしまえば何の価値もありません。

「○○について分からないから、それをはっきりさせたい」とか、「距離や所要時間が分からないから今日はそれを把握しよう」とか、「講師のいいところ、悪いところを見て今後の自分のガイドに活かしたい」など、しっかりと目的を持つことが必要です。

同じように、研修の最後にお話させていただきましたが、ガイドを通して何をしたいのかを是非考えていただけたらと思います。

このブログの一番最初の記事にも書かせていただきましたが、ガイドを通して自分は何をしたいのかを明確にさせることが大切です。ガイドになることは、その気があれば誰でもなれる可能性はあります。ただ、それを今後どう活かしていくかが最も重要で、ガイドになることを目的としてしまっていれば、必ず将来消滅してしまうでしょう。

ですので、目的の所在をはっきりとさせておくことが重要です。

「自分は本宮まで行きたい」という人は、その手段を探し、バスに乗って本宮にたどり着くことができます。

目的を持っていない人は、行き先の分からないバスに乗るようなものです。絶対に目的地にはたどり着くことはできません。

これからガイドを目指す方は、是非このことを念頭においてください。

大辺路・八郎峠(古座川~太地駅)

今年も早2月。さすがに新年気分は完全に抜けていますが、時がたつのは本当に早いですね。

みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

さて、更新が遅くなりましたが、先月半ばに古座駅からのもう一つの大辺路ルート・八郎峠を歩いてきました。

八郎峠は古座からの近道としてお代官様も籠で通ったことから「代官みち」の名が残っているそうです。

まず古座駅から古座川を渡り、左(山側)にルートを取ります。途中、河内祭りで獅子舞を披露する3地区の中の一つ、高池下部の氏神・神戸神社があるのですが、どこか分からずどうやらそのまま通り過ぎてしまったようです。

出発からしばらくはアスファルト道を進みますが、途中「高池の虫喰岩」があります。初めて見たんですが、気持ち悪いので写真はアップいたしません・・・

池の山環境衛生センターから昔の古道に入りますが、案内の看板があるにも関わらず入り口がはっきり分からず「ここか?」「これか?」としばらく周辺をウロウロ・・・まるで不審者でした。しばらく歩くと眺望のいい場所に出ます。

ちょうど眼下に池の山環境衛生センターが見えます。

いがみ滝で休憩をした後、ふたたびアスファルト道を歩きます。車道ですが車の通行はほとんどありませんでした。ただ、出会った車はみな相当スピードが出ていましたので要注意です。おそらく歩行者も車両も出会うことが稀なのでそういう運転になってしまうのでしょう。

しばらく車道を歩いたあと、いよいよこのコース最大の難所・八郎峠です。難所といっても高低差は300m程度です。山頂までは2.7kmなので勾配もさほど急ではなく、滝尻のように370mの勾配を1kmで上るものとは全く違います。

八郎峠からの眺望は素晴らしかったです。一番向こうに見える半島のようなものは大島です。左に目をやると新宮方面、背後に目をやると那智の阿弥陀寺の「卍」が見えます。

ただ、峠直前は要注意です。ロープを頼りに上ることになりますので、雨の日などはやめておいた方がいいでしょうね。

八郎峠を過ぎると分岐が出て来ます。これが分かりにくかった。「中里」と書いているが、地図には一切「中里」という文字がありません。「ほんまにこっちやろか?」と不安になりながらしばらく下りました。

下り切ったところに再び道標があり、そこに張り紙がありました。

「10月21日串本町田原付近で熊が目撃されました。山へ入られる方は十分注意してください」

おいおい、もう入った後やっちゅうねん。だいたい平成何年の10月21日やねん。

道中分かりにくいところがありますが、ウォーキングを楽しむのであれば文句なく素晴らしいコースでした。

大辺路を歩いていていつも気になることが昼食場所とトイレが整備されていないこと。特に雨が降った時は屋根のある場所がありません。今回のコースではきちんと使えるトイレが虫喰岩くらいしかなく、女性が歩く時は困りものです。

そんなこんなで古座駅から太地駅まで19.29kmを6時間07分(私のアプリの記録)で歩きました。

迷った時間も入れてこの時間ですので、ちょっと飛ばしすぎました。

大辺路(古座駅~浦神駅)

先日(と言ってももう昨年になりますが)、大辺路刈り開き隊さんの主催する大辺路踏破ウォークに参加してきました。

コースは古座駅~浦神駅。2016年に世界遺産に追加登録された清水峠を含むルートです。

案内してくださった事務局長さんの説明がすばらしく、本当に価値のあるウォークとなりました。古座の中州の話、捕鯨の話、田掻きの話・・・古道沿いにまつわるたくさんのお話を聞くことができ、改めて語り部と共に歩く価値・必要性を感じました。

語り部と歩くことにより、何でもない道が、ものすごく価値のある道へと変わります。

また、途中で浜歩きもありました(結構堪えました・笑)

浜の漂着物についても興味深いお話をしていただきました。

最後は清水峠を越えて浦上駅に到着。

帰りの電車で神保さんに大辺路のことについてさらに色々お話をお聞きしました。

「大辺路エキスパート」の方々からたくさんのお話を聞くことができ、大満足の一日でした。

みなさん、同業者がいうのも何ですが、語り部は必要ですよ。古道沿いのお話もそうですが、特に大辺路は国道42号線と同化している箇所があり、古道の出入り口が分かりにくいところがあります。そういった意味でも、地図をひたすらにらめっこしながら余計な心配をしなくて済む価値は非常に大きいです。大辺路をこれまで何度か歩いて、散々迷った人間が断言します(笑)

次回は古座駅からのもう一つのルート、八郎峠です。

目先の少額を取るか、長期的利益を取るか

寒い日が続きますね。

わたしは年末に体調を崩してしまいました。

シーズンが終わって気が抜けたんでしょうね。

さて、今日は「目先の少額を取るか、長期的利益を取るか」のお話をしたいと思います。

みなさんの中で、どのガイド団体に入ろうか考える時に、入会金と年会費を考慮に入れる方がいらっしゃるかと思います。

うちの入会金はともかく、年会費については決して安くはないと思います。

ただ、入会基準を単に「こっちの方が安いから」と考えるのは必ずしも得をするとは限りません。

仮にガイド団体のA年会費を12000円、ガイド団体Bを3000円としたとします。

そして、いずれも年度変わりを3月とし、年度が変われば新たに年会費を納めなくてはならないとします。

これだけを見るとBの方が得だと感じるかもしれません。

しかし、この場合はどうでしょう?

Aは年度の途中で入会すれば月割計算、Bは年度中のいつ入会しても3000円。

仮に1月に入会すれば、Aは2000円、Bは3000円となりますよね?

「でも、年度が変わればAは12000円を払わなくてはいけないのではないか?」という声が聞こえてきそうですね。

今年1月に入会したとすると、来年3月までの年会費は、

Aは2000円+12000円=14000円

B=3000円+3000円=6000円

が必要となり、その差額は8000円です。

では、次に年間に現場研修がAB各5回あるとします。

Aに入会すれば研修費用が無料、Bは1回ごとに2000円必要とすると、Bの場合すべてに参加すればそれだけで年間1万円が必要になるので、年会費を足した年間費用は

A=14000円

B=16000円

ここでBの方が2000円高くなってしまいます。

「でも、研修に出なければその金額は必要ないですよね?」

という声がまたしても聞こえてきそうですが・・・

プロによる現場研修は絶対に必要ですし、実際にお客様を案内できるようになるまでは相当時間が掛かる上、経験値の少なさはそのままガイドスキルに直結します。

もちろん研修でもある程度のスキル向上は望めますが、研修ばかりでは頭でっかちになるばかりで、現場で必要な対応能力は磨かれません。いろんな人間がいるように、お客様も千差万別で様々な対応が要求されますし、質問も似通ってはきますが、この3年で述べ300回以上の経験がある私でさえ、お客様からの突拍子な内容の質問に悩まされる時があります。ガイドはただ単に説明ポイントで流暢に説明さえできればいいというものではありません。研修と実践は別物です。

また、依頼件数を増やそうと考えているなら、案内できるコースを増やすことが必要になってきます。そうなると、現場研修をその分多く受ける必要があります。

さらに、1件1万円の仕事の依頼件数が、Aは年間10回、Bが年間3回だとするとどうでしょうか?

こういったことを考えると、目先の年会費の安さだけを基準に考えることは危険だということです。

ですので、入会される際には入会金・年会費と合わせて、研修にかかる費用、仕事の依頼頻度、ガイドの依頼方法なども考慮に入れ、長期的・総合的に考えたらどうなるか?を考慮に入れるといいと思います。

「入会はしたけど、ほとんど仕事が回ってこない」ということがないようにしてくださいね。

特に、同じエリアで同じような活動をしている団体に入会すれば、「鞍替え」は非常に難しいと思います。

以上をよく考えた上で入会するようにしてくださいね。

あ、ちなみに、上記の設定金額は、分かりやすいように設定したものなので架空のものです。うちの年会費は12000円ではありません(笑)

p.s.

Mi-Kumanoでは、同じエリアで、日本語以外の言語で、同じような活動をする団体との掛け持ちは禁止しています。当たり前ですよね?

ただし、性質やエリアの違う団体、たとえば日本語の語り部団体、ジオガイドの団体、高野山で活動している団体や他の通訳案内士の団体などとの掛け持ちはOKです。どうも勘違いされている方がいるようなのでお知らせしておきます。

記事のパスワード保護について

あけましておめでとうございます。

このブログを読んでくださった方、昨年はありがとうございました。
今年も有益な記事を更新していく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日は発心門王子~本宮大社間を友人たちと初歩きしてきました。
時折雪がちらつく中のウォーキングでしたが、仕事とはまた違った雰囲気を楽しむことができました。
・・・まぁ、結局は案内になってしまったんですがね。

古道のハイカーはまばらでしたが、本宮大社は長蛇の列だったので、本殿参拝は諦めました。
昼食を取るにもレストランでは席が空くまで待たなければならず、いつもとは違った本宮を見ることができました。

いつも三が日は避けていましたので、今回が「本宮の正月初体験」でした。

本題です。
昨年から「ガイドをするにあたって気をつけること」と題して数回に分けて掲載している記事を、本日を以って「パスワード保護」にします。
というのも、掲載中の記事は、私が執筆した電子書籍「熊野古道英語ガイドが行く」の内容が含まれているので、お金を出して書籍を買っていただいた方にその価値を正しく提供したいと考えたからです。

ですので、上記記事の内容をお読みになりたい方は、ぜひ書籍をご購入ください(校正作業をしたため、販売は1月5日以降になろうかと思います)

パスワードは基本的にお教えいたしません。

ただし、書籍と関係のない内容につきましては、従来通りいつでも閲覧可能です。

どうぞよろしくお願いいたします。