5.すべてのお客様にまんべんなく話す
よくしゃべるお客様がいらっしゃいます。そういったお客様は、冗談を言ってその場を和ませてくれたり、たくさんの楽しい話をしてくれたりしますので、私は好きです。
ただし、そこで注意すべきことがあります。
それは、そのお客様とばかり話してしまいがちになるということです。
ある語り部さんから聞いた話では「あの語り部は特定のお客さんとしか話さない」というクレームが入ったことがあったそうです。
語り部さんは、お客様からの矢継ぎ早に尋ねてくる質問に一生懸命答えていただけなのですが、そういった場合は「今こんな質問が出ましたのでお答えします」と言って、みんなに聞いてもらうようにしているそうです。
私も毎回ではないですが、時間の許す限りそれを使っています。
また、熊野古道の案内は基本的にFITが多く、人数は多くても5~6名なので、お客様の前で説明する際には、全員の目を見ながらまんべんなく話すことが必要です。
あなたも経験があると思いますが、何人かで話をしていて誰かが話を始めた時、一人の人ばかりを見て話す人がいます。
一方、そこにいる人全員に目配せをしながら話す人もいます。
後者の方が明らかに話者の話を聞く姿勢を取るはずです。
なぜなら、自分にも話をしてくれていると感じるからです。
道中で説明ポイントがない場合には、世間話やお客様についての質問、私自身の話などをしますが、その時は可能な限りすべてのお客様と話をするように心がけています。
そうすることによって、「あなたは私の大切なお客様ですよ」という意識付けができ、信頼関係も生まれ、好感度も上がります。
6.知識もまんべんなく
人には「得意分野」というものが誰しもあります。
それは知識においても同じで、私の場合は神道の神々や神社仏閣の参拝作法、昆虫をはじめとする生き物については得意分野です。おそらく昆虫についてはそこら辺の人には負けないでしょう。
これが他の人になると、植物や花だったり、歴史だったり、仏様の話だったりするわけですが、やってはいけないことは「知らない分野を作る」ということです。
中には「私は、○○は苦手だからそこは一切説明しない」と自慢げに言っている人もいますが、ガイドとしては恥ずかしいことであり、公表するべきことではないことです。
仮にそれが自分のよく案内しているコースであればなおさらです。
怠惰以外の何物でもありません。
また、お客様の質問も自分の知識を高めてくれる重要な要素です。
うまく答えられなかったことは帰ってから調べ、次に同じ質問が出た時にはうまく説明できるようにすることが、自分のスキルを高める一番の方法です。
「終わったー。やれやれ」で終わっている人に、つまずきはあっても成長はありません。
7.時間厳守
外国のお客様はおおむね時間にルーズです。
日本人のように「5分前精神」なんてものは存在しません。
朝の出発時間が遅れることはザラにあります。
特に南国の方々(フィリピン、シンガポール、メキシコ等)はその傾向が顕著にみられ、その方々を案内しているとゆったりとした時間の世界に引きずり込まれがちになります。
そこで、最終バスの時間や、宿の最終チェックイン時間がある場合は、まず一日の始めにスケジュールを説明する際に「○時○分が最終のバスですので、これに間に合うようにしなければいけません」と釘を刺しておく必要があります。
そうすることでお客様の中で時間に対する意識が生まれ「今私たちは遅れている?」とお客様の方から質問してくるようになります。
どの国の方もバスや電車に乗り遅れるのは嫌ですからね。
ガイドの遅刻は論外です。
8.公共交通機関は必ず把握
熊野古道のガイドの強みとして、公共交通機関に強いという面があります。
バスや電車の時刻、タクシー事情・・・
最低限自分の案内するコースはもちろん、お客様の翌日以降の行程の情報を入手しているなら、お客様の身になって、どうすれば目的地に行けるのかを考えておけば、突然の質問にあたふたしなくて済むようになります。
また、時刻表はスマートフォンに入れるのではなく、プリントアウトしてすぐに見ることができるよう、ファイルに入れて持ち歩くといいです。
いちいちスマートフォンで検索をしながら確認することは「スマート」とは言えません。
また、一年に一度のサイクルで時刻表が変わる場合がありますので、特に3月は注意が必要です。
自分の持っていた時刻表が古くてバスに乗り遅れた・・・なんてことがないようにしたいものです。
