3.自分ばかりしゃべらない
これは特に初心者の方や、普段人の話を聞かない人が陥りやすいことですが、ガイドは「知識を売る仕事」であると同時に「お客様とコミュニケーションを図る仕事」でもあります。
知識だけを知りたいのであれば「Self Guided」で事が足ります。
ガイドは、自分の持っている知識をすべて発表する場ではありません。
ベテランの人でさえ、そういった方が見受けられます。
話した本人は満足気ですが、終始聞いている方は最後には聞く気力が残っていませんでした。
人は自分の話をすることは好きですが、人の話を聞くことは苦手です。
お客様も同じで、こちらが一方的にしゃべってしまうと、お客様は疲れてしまいます。
説明中にクイズを入れたり、道中はお客様のことについて質問したりするなどして、双方をバランス良くし、お客様を飽きさせない工夫をする必要があります。
お客様自身のことを質問し、その話を聞くことによって「このガイドは私の話を聞いてくれるし、興味を持ってくれている」と気分を良くします。
そうすると、こちらの話も聞いてくれるようになります。
また、相槌も重要です。
お客様が言った単語を繰り返すだけでも効果があります。
さらに、聞いた話を要約して確認を取ることができればなおいいです。
たとえば「うちの息子は結婚して今サンフランシスコにいるんだ」と聞けば、「息子さんはサンフランシスコにいるんですね」といった具合です。
これをすることで「このガイドは私の言っていることを分かってくれている」と、さらに気分を良くします。
ここで注意しなければならないことが2つあります。
一つ目は、お客様の話を最後まで聞くこと。
話を聞かない人の傾向として、人が話している最中に強引に中断して自分の話題を始める人がいます。しまいには自分が言いたかった話からはるかに遠ざかってしまい、元の話題に戻ることができなくなってしまいます。これをされると、された側は「私の話はどうでもいいのか」と思い、心を閉ざしてしまいます。
人は結論を言う前に、その前振りの話をします。
その結論を言う前に話を遮られた経験のある方ならお分かりかと思いますが、それをされるとものすごく気分が悪くなります。
せっかくこの話をして相手を喜ばせてあげよう、自分のことを知ってもらおうと思ってくれている気持ちを踏みにじることになり、それと同時にお客様と打ち解けるチャンスまで摘み取ってしまいます。
中には聞いているうちに結論が分かってしまう場合がありますが、その時も一緒です。
お客様が言う前に結論を言ってしまうのは言語道断です。
話は最後まで聞きましょう。
二つ目はお客様の仕事についてです。
私は、お客様自身から仕事の話をしない限りは、お客様がしている仕事についての質問はしないようにしています。
なぜなら、中には仕事を忘れて来ている方がいらっしゃるからです。
現実から離れて今を楽しんでいるお客様がいらっしゃることを頭の片隅に入れておいてください。
4.お客様の間違いを指摘しない
あなたは、人の間違いをチクチク指摘してくる人をどう思いますか?
お客様は楽しみに来られているのであって、教育を受けに来ているわけではありません。
お客様が間違ったことを言っていても、また、自分の意見と違うことを言ったとしても、それを正してはいけません。議論なんてもってのほかです。
私たち人間は自尊心の塊です。それはもちろんお客様にもありますので、間違いを指摘されることで、たとえそれが本当に間違っていたとしてもお客様は気分を害されます。
人は間違いを指摘されることが嫌いです。
間違いを指摘されることにより自尊心が傷つけられ、やはりお客様は心を閉ざしてしまいます。
また、たとえ議論で相手を論破しても、相手は納得しているようで絶対にしていません。そこでは納得したように振舞っていても、自分の考えは曲げてはいません。
それどころか、相手は自尊心を著しく傷つけられ、あなたに対して反感を持つこととなるでしょう。議論は何も生みません。時間の無駄になるばかりでなく、お客様の気持ちも離してしまいます。
このことは、お客様にだけではなく、普段の生活においても同じことが言えます。
誤解を招かないように言わなければなりませんが、これはお客様との会話の中でのお話であって、もちろん翌日の集合時間や乗るべきバス停など、絶対に正さなければならないことははっきりと言う必要がありますし、自分が説明したことについて、お客様が確認を取るように質問をしてくる場合があります。この場合は、お客様は正しいことを知ろうとされているということですので、やんわりと正してあげると良いです。
また、自分の知識を話そうとされるお客様がいらっしゃいます。
そんな場合も最後まで興味深く聞いてあげましょう。
相槌を入れ、時には確認をし、聞き終わったら「教えてくれてありがとう」という気持ちを伝えましょう。
実際、わたしはそれで多くの知識をお客様からいただきました。
それが結果として自分の知識となり、次以降のガイドに活かせることとなります。
仮にそれが自分の方が詳しいものであっても「あ、そのことなら私の方が詳しい」みたいな、上から出るような態度はご法度です。
知識に対して知識で対抗することに意味はありません。
話を聞くことで、たとえそれが自分の得意分野であっても、自分の知らなかったことを聞くことができる場合だってあります。
