しめ縄の意味

今回は「しめ縄の意味」についてお話しようと思います。

お客様をご案内していると、よく聞かれるのが、しめ縄の意味です。

ガイドをしていて思うことは、日本人にとって当たり前で、考えもしていなかったことについての質問が多いということです。
目に止まった不思議なものについて疑問を持つことは、私達が海外に行った時も同じですよね。
ただ、あまりにも当たり前過ぎて、考えることすらしません。
逆にいうと、下見などをする際は、「日本の当たり前」に目を向けてみれば、だいたいの質問を予測することができます。

結界

みなさんご存知のように、しめ縄は神域と俗世間とを分ける結界とされています。
起源については、同じようなことがネットに書かれていますので省略しますが、日本の神話がその起源だとされていますよね。

また、しめ縄には、封じるという意味もあるそうです。
大国主命が国を譲った際、例えば腕は〇〇、足は△△など、それぞれの部分に名前をたくさんつけられて、自分が誰かわからなくなるようにされ、再び力をつけられないようにしめ縄で結界を張って封じられた・・・という内容の話を聞いた(読んだ?)ことがあります。

あのでっかいしめ縄には、そういった意味が込められていると聞いた(読んだ?)ことがあります。

確かに、大国主命には、大穴牟遅神、大己貴命、葦原色許男、宇都志国玉神など、たくさんのお名前があります。
これは、「一人の神ではなかった」とされる説もあるようですが、仮に大国主命が一人だったとして、色んな人から違う名前で呼ばれれば、「私は誰?」「本当の名前は?」となりますよね。

話はそれますが、出雲大社の参拝作法は、柏手を4回打ちますが、あれにも「封じ込め」の意味があるとか。

それはさておき、この「別名を与えられて自分が誰か分からなくなる」という話、「千と千尋の神隠し」ですよね。

しめ縄から垂れ下がっている紙の意味は?

しめ縄については「結界です」と説明すれば納得はしてくれますが、では、あの白い紙についてはどうでしょうか?

あの紙は「紙垂(しで)」と呼ばれるもので、神の降臨を表すとか、雷を表すとかいう意味があるそうです。
「四手」とも書くようですが、いずれにせよ、当て字でしょうね。

でも、「結界」「神の降臨」「雷」と説明されても、「では何で雷なんだ?」という、新たな疑問が湧いてきます。
それを解決してくれるのが、しめ縄、〆の子、紙垂をセットで説明する次の説です。

雷と豊作

宮沢賢治が花巻農学校で教えていた時に説明していた説と、古来の日本の稲作文化を考えた時、これからお話する説が、一番納得がいくように思えます。

しめ縄の縄の部分が雲、〆の子(縄から垂れ下がっている藁の飾り)は雨、紙垂は雷を表しているそうです(これは宮沢賢治の説ではありません)

ここからが宮沢賢治の説明ですが、雷が落ちたところは、お米がよく育つと言われています。
宮沢賢治はその理由として、自身が教鞭と取っていた花巻農学校で

①雷が害虫を殺す
②雷が空気中の窒素を分解して、雨と一緒に徐々に地中に染み込ませる

と教えていたそうです。

稲作文化

日本は、弥生時代から稲作が始まったとされていますが、古来より、日本は稲作文化で今日までの繁栄を築いてきました。
米の豊作は、当時の人々にとって、非常に重要であったことは想像に難くありません。

また、昔は神社にお参りした際、お賽銭の代わりに米を供えたり、撒いたりしていたという話を聞いたことがあります。
米は日本人にとって欠かせないものであり、その年に穫れたお米をお供えすることで、神に感謝を捧げていたのでしょう。

藁で出来たしめ縄は、「来季の豊作」という意味でお供えされていたものが、時代が下るにつれて神聖化し、結界を意味するようになったのだと、私は思っています。

小難しい説明は抜き

お客様に説明する時は「窒素が云々」とは言いませんが、だいたい以下のような説明をしてます。

①縄は雲、〆の子は雨、紙垂は雷を表す
②雨と稲作は重要な関係にある
③お賽銭の習慣が始まるまでは、昔の人々はお米を供えていた
④人々は、藁で出来た縄を、豊作の願いを込めて供え始めた
⑤時代が下ってそれが神聖化し、結界を意味するようになった

外国のお客様は当然、日本国内を旅して回ります。
そして、熊野だけではなく、他の地域でもガイドを雇う場合が多いです。

ある日、しめ縄の意味を聞かれて上記の内容で説明すると、「今まで色んなガイドに聞いたけれど、その意味を答えてくれたのはYoshiが初めて」と、納得してもらえました。

まあ、「これが正しい」とは言い切れませんので、「一説として」という断りは入れてはいますが。
正しい、間違っているを抜きにして、あらゆる質問にお客様にいかに納得してもらえるかが、「名ガイド」に必要な一つの能力だと思います。

常にアンテナを張り巡らせる

冒頭の話に戻りますが、下見などをされる際は、特に目に飛び込んでくるものについて、外国人目線でものを見る癖をつけておくと、質問されそうなところが予測できるようになってきます。

経験としては、神社にある提灯、絵馬、幟(のぼり)、お墓の卒塔婆、お寺の千社札などはよく聞かれます。
予めご自身で答えを用意しておくといいと思います。

頑張ってください。

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