熊野古道の神社⑦

阿須賀神社

創建は皇紀238年と伝わります。

皇紀とは、神武天皇が即位されてから数えるもので、今年(2024年)が皇紀2684年です。

ということは、このお社は2446年前の創建ということになりますので、熊野三山のそれよりも古いということになります(本宮で約2050年、速玉で約1900年、那智で約1700年)

弥生時代の土器が境内以外からも出土したことから、そのころから大きな集落があり、建物はなかったにしろ、この場所に宗教的な祭祀場所があったと考えられています。

古来は白木で、朱塗りになったのは1952年(昭和27年)、米軍の空襲により焼失して以後のことです。

・・・民間人を大量に殺傷した無差別爆撃の被害は、ここ新宮市にもあります。

話せば長くなりますのでまたの機会に。

中右記(1109年)には「参阿須賀王子奉幣」との記述があり、九十九王子の一つとしての扱いを受けていました。

藤原定家の日記には記載がなく、単に「明け方、新宮の宿所を出発し、また那智への道を進んだ(中略)山や海の眺めは、趣があった。この道中にもまた王子が数多く鎮座している」としか書かれていません。

懸け仏とご祭神

懸け仏とは、現在でいう絵馬のようなもので、願いを込めて神社に奉納していました。
高原熊野神社ではご神体になっています。

1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で境内の大木が倒木した際、その地下から懸仏200体以上が良好な保存状態で発掘されています。

その半数が本地仏の大威徳明王(勝利の仏)だが、そのほとんどが元寇(文永の役・弘安の役)の時に作られたものとされ、戦勝祈願で納められたものではないかと言われています。

阿須賀神社が火事で焼失した際に、傷んでしまった懸仏を埋納したのではないかと言われています。

このような数・保存状態で発掘された例は日本に3例しかないそうです。

私的な意見ですが、1281年に亀山上皇が熊野に来られた年がちょうど弘安の役と重なるため、おそらく伊勢にお参りされた後に熊野にも来られたのではないかと思っています。

なぜ、ここにそれほどまでの信仰があったのか?

おそらく、こちらの神様に由来するものと思われます。

ご祭神はコトサカオ様(事解男命)
熊野は神仏習合(神仏混淆とも)なので、熊野の神様は神様と仏様の名前をお持ちです。

その仏様のお名前が「大威徳明王(だいいとくみょうおう)」

この大威徳明王様は水牛に乗り、6つの顔、手6本、足6本の恐ろしい形相をした戦いの神様(仏様)とされています。

なので、多くの方々が必勝祈願で来られたのでしょう。

水牛に乗っているということにも意味があり、陸はこの世、水中はあの世を表しあの世とこの世を行き来する特殊な力を備えています。

こちらのご神体は、社殿の後ろにある山・蓬莱山です。
ご神体なので禁足地ですが、西宮司さんが子供の頃は、よくこの山に入って遊んだということを聞いたことがあります(もう時効だからバラしてもいいですよね?笑)

神奈備の定義

神奈備(かんなび)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

神奈備とは、神道では神の依り代とされる場所などを指す言葉です。

阿須賀神社のご神体・蓬莱山は、その神奈備の定義に当てはまるそうです。

神奈備の定義とは、

①そんなに高い山ではなく、ちょうどお椀を伏せたような形をしたもの
②山深いところにあるものではなく、人里に近いところ、または人里の中にあるところ

蓬莱山を遠くから見てもらったら一目でそれが分かります。
神倉神社からも見えますので、登った際には探してみてください。

蓬莱山とは、チャイナ古来から伝わる東方絶海にある3つの山の1つで、そこには不死の薬を持った仙人が住むとされています。
その3つの山とは、蓬莱、方丈瀛州 (えいしゅう) とされています。

非常に珍しい立地条件

なぜ、この地なのか?

それは、色んな条件が重なっているからと宮司さんからお聞きしたことがあります。

1つ目は、この辺りは昔は水葬の場所だったらしく、ここから約80m下流の宮井戸遺跡がちょうどあの世の入口とされていたそうです。

なので、生と死の交わる場所であり、陰と陽の交わる場所。

2つ目は、この裏を流れる熊野川の水にも陰と陽があり、川の飲用可能な水は陰、禊をする海水は陽とされていること。

3つ目は、その陰と陽が交わる場所に神奈備があること。

このような条件がそろっていることは、非常に珍しいのではないかというのが学者の見解なのだそうです。

神社は、適当なところに建っているものではなく、きちんとそこに建つ意味があり、簡単に移転するものではないとも聞いたことがあります。

まさに、この阿須賀神社は、きちんとした意味がありますよね。

「なぜ、ここなのか?」そういったことを考えながらお参りするのも面白いかもしれません。

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