
ガイドというと、「知識を売る仕事」というイメージがあり、スポットについての知識を覚えることだけに目が行きがちですが、それだけでは不十分です。
これが行き過ぎると、「知識の押し売り」になり、よくある「俺の話を聞け」と言わんばかりの、自己陶酔型のおっさんのようになりがちです。
逆ギレ
今回は、知識面ではなく、技術面での注意事項をお伝えいたします。
これは、当会の認定試験でのチェック項目にもなっています。
1.全員とアイコンタクトを取るように心がける
まずはアイコンタクトです。
たとえば、お客様が5人いたとします。
説明をする時には、その5人全員の目を見ながらします。
大切なのは「ここにいる全員、私の大切なお客様ですよ」ということをアピールして、お客様にも自己重要感を持っていただくためです。
中には一人だけを見て説明をする人もいますが、これをしてしまうと周りの人は「私は別にどうでもいいのか」という気持ちにさせてしまう恐れがあります。
大人数の場合はなかなか難しい部分はありますが、説明をする時は全員の目を見ながら話すよう心がけましょう。
2.特定の人とばかり話さない
これはよく苦情であがってくる項目です。
特に、熊野古道のガイドは、歩きながらお客様と会話する時間が多いため、少人数であれば問題ありませんが、大人数になると、後ろの人までその会話の内容が聞き取れないという状態になります。
なので、どうしても自分の近くにいる人と話をしてしまう傾向にあります。
これはある程度仕方のないことですが、一点だけ注意が必要です。
それは、お客様から質問が出た時です。
その中でも、「これは全員に共有したほうがいいな」と感じた質問に対しては、全員に共有するようにします。
例えば「そんな昔に、どうやって熊野古道は有名になったのか?」という質問が出たとします。
もし自分がお客様だったら、答えを聞きたいと思いませんか?
こういった質問は、その人だけに答えるのではなく、一旦「これは他の方にも共有しますので、後でお答えします」と言って、広い場所で止まってから「今こういう質問がありました」と、質問とあわせて回答をするようにするといいです。
これは熊野古道のみならず、バスツアーでも同じです。
前列の席に座っている人から質問を受けた場合、後ろに座っているお客様には、その質問が聞こえません。
ガイドはマイクを使って答えるので、回答だけが聞ける状態です。
こういう場合も「今こういう質問がありましたのでお答えします」と言ってから回答をします。
特定の人とだけ話さないように注意しましょう。
3.お客様の方を見て話す
これも試験中によくあるのですが、例えばお地蔵さんの説明をする場合に、お地蔵に向かって話す人が多いです。
話を聞いてくれるのはお客様です(笑)
お客様に向かって話しましょう。
声は、顔を向いている方向と、上方向によく届きます。
バスに乗っている時に後ろの人の会話がよく聞こえるのも、このためです。
お地蔵さんの方を向くと、その声はお地蔵さんに届きます。
また、歩いている時に前を向いたまま説明をする人がいますが、これでは後ろの人はまず聞こえません。
特に危険箇所などで注意喚起をする時には、一旦立ち止まって、お客様の方を向いて話してください。
歩きながら後ろを向くことは避けましょう。
4.通路を空けて説明をする
先日の認定試験の時は、団体が多く歩いていたので、語り部さんや英語ガイドさんが結構いました。
その中で、ある英語ガイドさんがスポット説明をしている時に、お客様を道いっぱいに広げて説明をしていました。
私たちが近づいたことにも気付かず、ずっと説明をしています。
気づいたツアーリーダーさんが道を空けるように促し、やっと通ることができました。
それでも、そのガイドさんは私たちが目の前を通るまで説明に没頭し、全く気付いていませんでした。
お客様の人数が多いと、こういったことがよく起こります。
私は一度、研修の時に、他のハイカーが近づいてきたのを知って道を空けるように参加者に促したのですが、時すでに遅しでした。
道を空けておけよ!
普通、旦那がこういうと、奥さんは「まぁまぁ、あなた」みたいに、その旦那をなだめる役に回ることが多いのですが、
あなた、ガイドでしょ!?
と追い打ちをかけられました(笑)
ちなみにこの夫婦は日本人です。
話はそれますが、私は日本人の方がやりにくいです。
結構「文句言い」が多いからです。
あとはそのくせ反応も薄く、何を考えているのか分かりにくいという点も挙げられます。
欧米人は言葉と態度にそのまま出るし、リアクションが大きいので本当に分かりやすいです。
まあ、これは私の力量が足りないのでしょう。
旦那のことを「あなた」と言っている人を聞いたことはありませんが(笑)
5.写真はお客様全員に見えるように工夫する
説明の補足としてファイルに写真などを入れておいて説明することを当会会員にも勧めています。
そのファイルを活用することはいいことなのですが、見せ方が残念な人がいます。
これも先ほどの声と一緒で、お客様に向けて見せないと、全員が見ることができません。
中にはファイルを水平に持って、自分の方に向けている人がいます。
もうこれでは「自分に説明している」という、シュールな光景になってしまいます。
大人数の場合は、ファイルを正面に持って、左右にゆっくり振りながら見せるなど、全員が見られるように工夫をすることが大切です。
6.時折後方に注意をする
熊野古道を歩くと、お客様によって体力もまちまちなので、ペースが違うということがよく起こります。
中には遅れがちになる人もいます。
そういう人に限って「周りに迷惑をかけたくない」という心理が働き、列の後ろを歩きたがります。
後ろを歩くので余計に遅れます。
結果、どんどん遅れてきます。
ガイドは常にそういったお客様を気にかけて歩く必要があります。
中には「行軍」のように後ろも見ずにガンガン歩くガイドがいますが、これではお客様に何かあった時に発見が遅れてしまいます。
また、そればかりではなく、お客様の急な異変に気付けない時もあります。
そうならないためにも、後ろは時々振り返って注意を払うようにしましょう。
あと、遅れがちにな人は嫌がりますが、ガイドのすぐ後ろを歩いてもらい、周りの人はそのペースに合わせてもらうという方法もあります。
7.他のガイドさんとかち合ったときは先の人が優先
他のガイドさんとかち合った時には、先に説明をしているガイドさんの説明が終わってそこを離れてから入るようにします。
待機している間に、先に入っているガイドさんに声が届かない範囲でおおかたの説明をしておくといいです。
そのガイドさんが立ち去った後に、その「現物」を確認していただき、補足の説明や質問を受けるといいでしょう。
あるベテランガイドさんからこのように言われたことがありました。
〇〇さん、私が説明をしているところに来て、マイクで説明を始めた
先に来ている人の説明の上から、マイクで説明を被せる・・・もうこれは最悪です。
お互いプロとしての意識を持って、譲り合いの精神を忘れないようにしていただきたいものです。
熊野古道であれば、先に説明スポットに入っている人が優先になりますが、たとえば神社の境内などではどうすればいいと思いますか?
神社の境内であれば、他にも説明スポットがありますので、先にそこを説明しておくということもできます。
「ストーリー的にこの順番でなければ」という場合は別ですが。
まとめ
以上、ガイド時の注意事項7選についてお話をしました。
1.全員とアイコンタクトを取る
2.特定の人とばかり話さない
3.お客様の方を見て話す
4.通路を空けて説明をする
5.写真はお客様全員に見えるように工夫する
6.時折後方に注意をする
7.他のガイドさんとかち合ったときは先の人が優先
以上、ご参考になれば幸いです。
和歌山地域通訳案内士会では、ガイドになりたい方を募集しています。
ガイドに興味のある方は、こちらからお問い合わせください。
一般社団法人 和歌山地域通訳案内士会
