熊野古道の神社

熊野古道沿いには王子をはじめとした神社が点在しています。

今回は、熊野古道中辺路沿いの、社殿がある神社のみに的を絞ってご紹介いたします。

王子とは?

熊野古道沿いには王子(神社)が点在しています。

王子とは、かつての上皇・法皇たちがこぞって熊野詣に来られた時に、道中の安全を祈願するお社のことを言います。

王子では奉幣、里神楽、読経、和歌会(わかえ)、相撲など、様々な催し物が開催され、それらが神前への奉納とされていました。

王子は修験者(「山伏」とも。修験道の行者)によって整備されたものです。

王子のコンセプトは、修験者の修行の道・大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)に見える「靡(なびき)」のコンセプトそのものであり、修験者は靡で読経などをしながら本宮(または吉野)を目指しますので、それを熊野古道に当てはめたと考えるのが自然ではないかと思います。

他にも、王子の役割としては、次のことが言われています。

1.道しるべ
2.熊野三山(本宮、速玉、那智)の遥拝所
3.休憩所・宿泊所

王子は道しるべ的な役割もあり、きちんと道を逸れていないことを示す役割もあったようです。

よく「王子は遥拝所だった」という話も聞きますが、そういった資料は確認できていないようです。
なので、「王子は遥拝所」という解釈は違うかもしれません。
または、当時はそう思って参詣していた人もいたかもしれませんが、記録としては残っていないのかもしれません。

王子周辺には宿があるところもあり、結果的に王子周辺で宿泊することもありました。

あとは、「休憩所であった」とも聞きますが、王子では様々な儀式をするので、その結果休憩ができたのであり、本来の目的ではなかったかと思います。

「王子」の由来

王子の由来については諸説ありはっきりしていません。

「熊野三山の御子神が祀られているから」とか、

「インドのマガタ国から飛来した王一族が仏となり、その仏が熊野の神と習合し、その子息のことを言っているから」だとか、

「修験者を守護する神、王子に祀られている神が『金剛童子』であり、その「童子」が転訛して『王子』になったから」などと言われています。

2番目の「インドのマガタ国云々・・・」という説は、1163年の長勘寛文(ちょうかんかんもん)の一部である「熊野権現垂迹縁起(くまのごんげんすいじゃくえんぎ)」に記載されているとのことですが、私はこの「熊野権現垂迹縁起」は胡散臭いと思っています。
本宮大社の成り立ち(三体の月がイチイの木に降りてきて・・・という話)についても、この熊野権現垂迹縁起からのものですが、私個人的には腹に落ちていません。

あくまでも個人的な意見ということをご理解いただいた上でですが、これらはホツマツタヱを読めば腹に落ちると思います。
はじめてのホツマツタヱ 天の巻

ホツマツタヱを読むと、新宮市の「新宮参詣曼荼羅図」で、インドから神々がやって来る姿が描かれていますが、個人的にこんなことを伝えていいのか?と疑問に思っています。

日本の神々がインドからやってきた・・・

いい加減、「今の日本があるのは海外のおかげ」という認識、やめませんか?

もちろん、海外のおかげもありましたが、それは、日本に元々あったものにうまく取り入れて発展したのであって、「日本には元々何もなく、文明的に遅れていたから海外の力が必要だった」的な解釈は、私は違うと思います。

これを語ると長くなりますので、またの機会に譲ります。

熊野御幸の転機

上皇・法皇による熊野詣(上皇・法皇の熊野詣は「御幸」と言います)は、907年の宇多法皇に始まり、1281年の亀山上皇まで、374年に渡り、約100回も行われました。

しかし、承久の変(乱)の後は後嵯峨上皇の2回、亀山上皇の1回と、急激に少なくなります。

理由は、承久の変以降は戦乱に代になったからということと、熊野御幸には莫大な費用がかかるからだと聞いたことがあります。
私は、この変を境に、朝廷と幕府の力関係が逆転し、鎌倉幕府に荘園を没収され、朝廷の財力がなくなったことに起因するものと思っています。

最後の亀山上皇の御幸の年は、元寇(弘安の役)があった年で、亀山上皇はこの国を守ってもらうための祈願を伊勢の神宮でされているそうです。

おそらく、そういった意味合いで熊野にも来られたのではないかと思っています。

上皇・法皇による熊野御幸がなくなってからは王子も廃れ、五体王子の一つでもある滝尻王子でさえもかなり荒廃が進んでいたといいます。

その後、1723年に時の紀州藩主・徳川宗直が、かつて王子があったとされる場所に緑泥片岩製の石碑を建立します。

現在、多くの王子は「跡」として残っている状態で、社のあるところは限られています。

次回は主要な王子や、熊野古道沿いにある神社をご紹介いたします。

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