俺の話を聞け-ガイドとして慎まなければならない行動-

今回はガイドとして慎まなければならない行動、「俺の話を聞け」についてお話します。

ベテランと初心者が陥りやすい

これを読んでくださっている方は想像できたと思いますが、ガイドとは知識を売る仕事ではありますが、それイコール自分の持っている知識すべてを話さなければならないということではありません。

よくベテランの語り部さんや初心者の方が陥りやすいところなのですが、ベテランの語り部さんでこれに気づいていない方が多いことに正直驚かされます。

来てもらったからには、なるべくこの地域のことを知ってもらおうという気持ちは分からなくはないですが、人間、一度に学習できる能力は限られています。

そうであれば、特に日本のお客様ならまた来てもらうように、「また次回にもう少し深いお話をさせていただきます」などと言って繰り返し来てもらうように仕向けた方がいいように思います。

しかし、海外のお客様はなかなかそういうわけにはいきませんので、悩ましいところではあります。

ベテランさんは特に「俺の話を聞け」というタイプの方が多いように見受けられます。
日本人ならこの方法でもほとんどが黙って聞いてくれると思いますが、海外のお客様は、あからさまに退屈な態度を取ります。
日本人だけを案内していると、日本人の性格の問題と相まってこのことに気づかず、「俺の話を聞け」という方法が「成功例」として固まってしまったのかもしれません。

もちろん、その人の基礎的な知識量によって、話の内容を変えていかなくてはならないことは、日本人でも外国人でも同じです。

ただし例外もあり

ただし、相手に興味のあることだけを話していると、ネタが尽きることが起こります。
その日だけのデイガイドなら大丈夫ですが、同じお客様と3日、4日と一緒にいると、流石に話すことがなくなってきます。

特に長年連れ添った夫婦はやりづらいです。
お互いの会話が少なく、沈黙が多いので気まずい雰囲気になりがちです。

そんな時は、新たな興味を引き出す(または持ってもらう)ために、その土地にまつわる話をすることが多くなります。
いわゆる話題作りです。
そこから話が広がることがあるからです。

逆に、募集型ツアーで集まったお客様は、お客様どうしで会話が弾むことが多く、話題作りの点では、募集型の方がやりやすかったりします(ソリが合わないお客様がいると別の問題で大変になりますが)

学校の先生は要注意

お客様には当然、様々な職種の方がいますが、その中で学校の先生は要注意です。
何が要注意なのかというと、こちらの説明をよく覚えているので、下手なことは言えないという点です。

おそらく、長年教育の現場に携わっている関係からだと思いますが、話を聞きながら要点を整理する能力に長けており、聞き終わったころには自分が説明できるくらいまで要点を整理できている方が多いように思います。
また、不明な点は質問をして解決しようとする意識が強いので、一日のガイドが終わったら、次からそのコースを案内できるのではないかと思うほどの方がいます(笑)

そういった方は、さらに深い内容に入っていけますので、ガイドとしも歯ごたえがある案内になる傾向にあります。

なので、私は先生が大好きです(笑)

おそらく、「俺の話を聞け」タイプの人とも歯車が噛み合うかもしれません。

「俺の話を聞け」タイプは研修講師向き

そんなどうしようも無い「俺の話を聞け」タイプの人が、学校の先生以外でハマるのが研修の講師です。

「名選手、名コーチにあらず」とはよく言ったもので、評価の高いガイドが、研修で高い評価を得られるかというと、必ずしもそうとは限りません。

あなたは、研修終了後、講師が話したことをどれくらい再現できますか?
半分も再現できればかなりいいほうです。
ということは、研修が終了した時点でのあなたの実力は、知識面でいうとそこまでしか出せないということです。
あとは悲しいかな、ほとんどすでに忘れてしまっています。

仮に100の知識を教わったとして、50再現できれば、あなたの知識量は50です。
しかし、50の知識を教わってその半分しか再現できなければ、あなたの知識量は25しか出せないことになります。

もちろん、知識の吸収には個人差がありますが、単純に数字を見てお分かりのように、研修では大量のインプットが必要です。

そのインプットの量が少ない研修では、自ずと得られる知識も少なくなってしまいます。

「評価が高い」というのは、知識の他にもエンターテインメント性があったり、人柄が良かったりといった評価も加味されますが、研修ではそれらは参考にはなれど、すべての人に当てはまるわけでは当然ありませんのでさほど必要なことではありません。
例えば、エンターテインメント性の高い人が講師だった場合、「楽しかった」と、お客気分になって満足して帰るのがオチです。

研修で必要なのは、そういった面を真似することではありません。

無理に講師のエンターテインメント性を真似しても、その人の性格上無理があればお客様からは高い評価を得ることができませんし、あなたもしんどくなってきます。

研修で必要なのは、その現場でしか得られない知識です。

それを教えてくれるのが「俺の話を聞け」タイプの人です。

研修は研修、ガイド時はガイド時で割り切って対応することが大切ですが、ガイド時はくれぐれも「俺の話を聞け」タイプにならないようにしたいものです。

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