研修の有料化、その理由

当法人では現在、外部講師にお願いをして現場研修をシリーズで行っています。
今年から、参加者には受講料をいただいています。
今までほぼ無料でやっていた事自体驚きかもしれませんね。

有料化の大きな理由が2つありますので、その理由についてお話をします。

1.本気度が増す

一番大きな理由は、お金を払うことによって本気度が増すということです。
「お金を払った以上は」という心理が働き、研修に対する姿勢が変化します。

あなたも「無料で本をもらったけど読んでいない」とか、「何かを購入した時についてきた無料の粗品を全く使わずに捨ててしまった」という経験はありませんか?

人は「得をしたい」という感情より「損をしたくない」という感情の方が強く働きます。
「無料」というのは「得をした」という感情であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
別に捨ててしまってもそもそも無料で手に入った物ですから「損をしたくない」という感情はそこには一切生まれません。

ある研修で講師をしていて常々思うことがあります。
その研修では無料で誰でも参加できるため、ちょっと物見遊山的な人から真剣にガイドを目指している人まで色んな目的を持った人が来ます。

研修の参加者が真剣な人ばかりであれば問題ありませんが、この「物見遊山的な人」が来ると少々厄介になります。
「自分はガイドになりたい」という想いが低いためか、どうしても旅行気分の感覚で来ており、その波長が周りに「感染」します。
そうするとどうしても場の雰囲気が「旅行の延長で研修をしている」というような雰囲気になってしまい、場の緊張感がなくなってしまうことも少なくありません。

また、モノを教わっている立場ではなく「客」として振る舞うこともあり、こういった人が来るとなかなか厄介です。
ガイドに少しでも興味がある人ならまだ分かりますが、毎回毎回、何の目的で来ているのかわからない「皆勤者」もいます。

有料で受けるのであれば「なるべく少ない回数でモノにしてやろう」という心理が働くので、毎回参加することによる費用と時間の損失を考え、「皆勤」になるようなことはまずないでしょう。

研修を有料にすると、そういった人はまず来なくなるでしょう。いや、なくなります。
講師としても余計なことで気を遣うことがない上に、真剣な人の密度が濃い分、張り合いが出ます。

「お金を出して教えを乞うている」
「なるべく少ない回数でモノをにする」
そういった環境・考えで参加してもらうことに意義があると考えています。

2.研修はサービスではない

もう一つは、現実的な話ですが、身を切ってまでサービスで研修できないという点です。

他の名だたる通訳案内士団体さんが主催している研修などは、無料で研修会を行っているようなところはまずありません。
あなたがもし、そこの社員で新人研修を受けるというのならともかく、現場研修を無料で開催できるような体力のある団体はそうありません。
講師代や団体の運営費も必要です。
ある程度利益を出していかないと、団体の存続ができなくなります。

その団体が、背後に大きな組織(観光協会など)がついていたり、身内だけで研修するのであれば別ですが、当法人のような、バックになにもない組織が外部講師を雇って無料で身を切り続けて研修するということは、「破滅に向かう愚かなボランティア団体」以外の何者でもありません。

外部講師を雇う意義

では、なぜそうしてまで外部講師を雇うのでしょうか?
結論としては「知識の近親相姦」をなくし、柔軟な知識・スキルを身に着けてもらうためです。

私もそこそこの経験をこれまでさせていただいたので、ある程度の知識とスキルはあるかとは思います。
現場研修を受けている中で「私のほうが詳しく説明できる」という場合もありますが、あえて当法人では外部講師にお願いをしています。

組織内での認識の統一という意味では、内部の講師で研修を行ったり、勉強会を開催するなどは意義があるかとは思いますが、やはり内部だけでの知識では「井の中の蛙」になる可能性が大いにあります。
外部講師にお願いをすると、必ず新しい知識が入ります。
また、他人のガイディングを生で見ることができる非常にいい機会でもあります。
それが良くも悪くも、自分と照らし合わせてみた時に、自分はどうあるべきかを考えることができるからです。

そんな私も、「初めて聞いた」とか「なるほど、こういった場面ではこうすればいいのか」ということが少なくありませんし、逆に「これはいかんなあ」という場合もあり、非常に勉強になっています。
研修に参加される時には、是非この事も念頭に入れて参加されてください。

目的意識も重要

また、どういった目的を持つのかも重要です。

たとえば、あなたが初めて歩くようなコースの場合は「お客様だったらどこに興味を持つことが考えられるかを検証しよう」とか「きっちりとトイレの場所とスポット間の距離と所要時間の把握をしよう」とか「講師のいい所、悪いところをよく見ておき、取り入れるべきところはどんなところかを学ぼう」など、目的を持って参加することで学びもより大きな物になります。
ただ単にスポットにまつわる知識を習得すればいいというわけではありません。
それならば、オンラインの勉強会で事足ります。
ガイドとして、どうすればお客様が喜んでもらえるのかを第一に考え、講師のガイディング全体を俯瞰してそれを学ぶことができるのが現場研修です。

ガイドは先生ではありません。
お客様に楽しんでもらうために存在するものです。

先程もお話した通り、外部講師を雇うには講師代、昼食費、交通費などがかかります。
それをすべて法人で賄うことは、よほど儲かっている組織でもない限り、まず不可能です。

利益は絶対に必要です。

また、お金を払って講師をお願いしている関係上、講師となる方はベテランであったりレベルの高い方が多いことは当然のことです。

以上、今回は研修の有料化についてお話しました。
ちょっと内部に向けての内容になってしまった感がありますが、もしあなたが何かの研修に参加される際には、有料なのか無料なのか、またその金額が妥当なのか、その研修に参加する目的は何かなども考慮に入れて参加されるといいと思います。

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