発心門王子~本宮大社⑤

祓殿王子

京都城南宮を10月5日に出発した後鳥羽上皇一行は16日、いよいよ本宮大社に到着します。
その前に、ここで本宮の聖域に入る前にこれまでの旅の汚れを清めるところ、それがこの祓殿王子でした。

これまでの王子といえば、旅の安全を祈願のために様々な「供物」を捧げるところでしたが、この王子は性格が違っていました。

今は祠しか残っておらず、どんな潔斎をしたのかは分かりませんが、京都の城南宮では、かなり厳しい潔斎がなされていたことが「熊野代官見聞」に残っています。

一、産穢(さんえ)之事 同人、夫も養生七ヶ日の間これを憚るべし。
一、葱蕜(にらにんにく)之事 葱は他所にて食して来る事は苦しからず。但し奉幣の日は憚るべし。精進中食せし者は三ヶ日、蕜は七ヶ日憚るべし。
一、蒜(ひる)之事 青三十三日憚る、辛は七十五日。
一、鹿之事 猪三十三日、鹿七十五日
一、月水人事 精進の日は憚るべし、本人は七ヶ日。
一、重軽服之人 憚りなし。
一、鳥、兎之事 精進中取るべからず。
一、死穢之事 別に法を守らず。
一、堂舎(寺)参詣之事 参詣せし本人は当日憚るべし、但し地蔵堂(有骨堂)は七ヶ日憚る。
一、犬死、犬産之事 
一、死穢所へ人を遣す事 門前までは苦しからず。

このうち過ちがあると、精進のし直しをさせられたそうです。

産穢:出産の際に受ける穢(けがれ)のこと。江戸時代では、父は7日間、母は35日間。

それだけではとどまらず、こうしたなまぐさ物を絶ちながら御精進屋で熊野曼荼羅の前で般若心経を読み、立ってはひざまずき床に額を打ちつける「額突(ぬかづき)」を繰り返したそうです。

ここではそんな厳しいことはしなかったでしょうが、少なくとも私たちが三山にお参りする時よりは厳しかったと思います。

・・・今、私たちは朝起きて顔を洗って歯を磨く程度です(笑)

この境内にはイチイガシの巨木が目を引きます。
樹齢300年あるそうですが、ここは本宮大社の聖域内にあるとして、明治の神社合祀の際にもこの木は切られずに済んだそうです。

イチイガシと言えば、昔の本宮界隈の方々の主食がこの木のどんぐりだったそうです。
本宮界隈では、地形的な理由からお米を作ることが難しかったため、稲作が普及するまではそれが地元の人々の主食だったという話を聞いたことがあります。

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