先日お話した「研修生からの質問」という記事の中で少し触れましたが、 今日は「知識の習得は日本語で」に関してお話します。
これまで「高野・熊野地域通訳案内士」の使用言語は英語のみでしたが、 2017年より、 スペイン語、フランス語、中国語が追加され、他の言語での通訳案内士への門戸が開かれました。
それに伴い、県が実施する現場研修も、これまで英語だったものがすべて日本語となりました。
わたしは、このことは研修生にとっては幸運だと思います。
理由は3つ
1.知識に対する理解度が高くなり、より深い知識の習得が可能になる
2.メモを日本語で残すことができる
3.ガイドに関する知識の習得のみに集中できる
具体的に解説します。
1.知識に対する理解度が高くなり、より深い知識の習得が可能になる
これを読んでいるみなさんは、恐らくほとんどが 生まれも育ちも日本人だと思います。
日本人である以上、みなさんはどの言語よりも日本語が得意なはずです(笑)
学校でも特別な場合を除いて、すべて日本語だったはずです。
現在は、悲しいかな学校での英語教育は英語で教えるとなっていますが、これは「語学の習得」が目的だからです。
また、現場研修には、あまり英語が得意でない方も一定数いらっしゃいます。
その方に向かって英語で話して、一体どれだけ理解されているか、大いに疑問でした。
以前、前のNPO法人Mi-Kumanoに在籍していたとき、「研修は英語の方がいい」という代表の思いつき?で、一度だけ全編ネイティブによる研修会を開きましたが、やはり理解度は日本語に比べて落ちます。
この時、「この研修は失敗だな。研修は日本語の方が絶対にいい」という結論にいたりました。
これは後でお話する「 ガイドに関する知識の習得のみに集中できる 」に関係してきますが、「研修の目的」がズレていることが原因です。
何を目的としているのか、それが明確になっていなかった(思いつきだったから?)ので、「英語で」となったのでしょう。
現場研修は語学の習得が目的ではありません。
また、日本語で学ぶことにより、日本人なら知っている基礎知識を踏まえた上で、さらに深いところにまで入っていくことができます。
もちろん、英語でそういった説明をすることも可能ですが、英語力があまりない方にとっては「なんとなくあんなことを言っていたんだろうな」程度にしか理解してもらえてません。
2.メモを日本語で残すことができる
わたしは高野・熊野地域通訳案内士研修の2期生です。
この頃は、もちろん英語以外の言語はありませんでしたので、そのほとんどが英語で行われていました。
あなたは、英語で話された内容を、英語でメモを取りますか?日本語でですか?
結論から言うと、「英語は英語で、日本語は日本語で」が理想です。
いや、そうしないと効率が悪すぎます。
とてもではありませんが、メモをする時間が追いつきません。
英語で話されたものを日本語でメモをすると、要約する作業に加えて翻訳の作業がついてきます。
これが厄介で、上級者でないとはっきり言って無理です。
その上、英語でメモをしたものを後から見ても、何のことを書いているのかさっぱり分からないことがよくあります。
メモは自分の得意とする言語でするべきです。
日本語で書いたメモでさえ、時々何を書いているのか分からないことってありませんか?
英語ならなおさらです。
日本語で要約しながらメモした方が、よっぽど効率がよく、正確にメモができます。
3.ガイドに関する知識の習得のみに集中できる
もし、研修が英語の習得が目的のみであれば問題ありませんが、現場研修はそこにまつわるお話、歴史、文化に始まり、危機管理、時間管理と多岐に渡ります。
それだけでお腹いっぱいなのに、その上から「英語のシャワー」を浴びせられたらどうなるでしょうか?
語学の習得は別にするべきです。
そうでないと、研修の焦点がぼやけてしまいます。
「そうは言っても、英語の表現も勉強したいし、話す機会がないので研修は英語でして欲しい」という声が聞こえてきそうですが、それは単なる「欲張り」です。
今や、英語を使う機会はオンラインレッスンで安価で受けられます。
日常会話からビジネス英語にいたるまで、ありとあらゆるジャンルが用意されています。
また、最近はちまたに外国人がたくさんいます(今はコロナでいませんが)し、お住まいの市町や近隣に国際交流センターのような機関があれば、ボランティアで日本語を教える代わりに、交渉次第では無料で英語を使う機会ができるかもしれません。
その気になれば、機会はいくらでも作れるわけです。
それでも、「専門の英語表現を学びたい」というのであれば、研修の時に質問すればいいのです。
あらかじめ質問を用意しておくことが前提ですが、逆にそういった心構えがないと、結局「いい研修だったなあ」で終わるのがオチです。
最初から漠然と受けていれば、結果がそうなることは目に見えています。
英語は他でも学べます。
しかし、現場研修だけは誰からでも学べるものでもありませんし、以前の記事でも書かせていただきましたが、ガイドを一日雇えば8時間で3万円かかります。
またとない機会を、英語の習得に使うことはもったいないことです。
ちなみに、英語勉強は基本、自宅でするものです。
英会話教室は、自宅で学んだことを実践する場と心得てください。
英会話教室に通っていても受け身一方だと、絶対に上達はありません。
講師がペラペラ話すのを聞いているだけ、あるいは、発言の機会が少ない教室は、行くだけ時間とお金の無駄です。
まとめ
今回は、「知識の習得は日本語で」についてお話しました。
今日お話したことを簡単にまとめます。
1.知識に対する理解度が高くなり、より深い知識の習得が可能になる
知識の理解は、日本語だからこそ、より深いところまで入って行くことができます。
2.メモを日本語で残すことができる
余計な翻訳の手間が省け、理解度が増します。また、あとで読み返しても意味不明なメモの確率が低くなります。
3.ガイドに関する知識の習得のみに集中できる
研修はまたとない、知識を習得するための機会です。
英語勉強や英語使用は、他の場でしましょう。
でした。
研修の目的がズレてしまわないよう、参加前からその目的をはっきりさせておくことが重要です。

