
今日は「熊野古道ガイドの持ち物」と題してお話します。
「熊野古道のガイドって、一体どんな持ち物を持っているの?」と疑問に思うこともあるでしょう。
今日は私が普段常備しているものを中心にお話をします。
また、当法人、一般社団法人 和歌山地域通訳案内士会でも、ガイドとしての意識をきちんと持って臨んでもらうよう、認定試験の際には持ち物のチェックをしてその意識付けをしています。
では早速いきましょう。
地図
田辺市が発行している英語の地図です。
https://www.tb-kumano.jp/en/kumano-kodo/maps/
理由は3つ。
1.現在地の把握
自分が今、どのあたりを歩いているのかを把握するためでもありますが(中辺路についてはもう私は必要ありませんが)お客様に地図を見せて説明するためにも使います。
ちなみに私は、地図に記載している標高表を拡大コピーして、ファイルに入れて持ち歩いています。
2.お客様用
すでにお客様が持っていることもありますが、持っていないお客様もいるので、必ず人数分用意しておきます。
また、同じお客様を連日案内している時にたまに起こりますが、持っていた地図を翌朝スーツケースに入れて荷物搬送に出すお客様がいらっしゃいます。
その時のためにすでに渡しているお客様をご案内する時でも、必ず予備に1冊は用意しておきます。
地図は
田辺市観光センター
熊野古道館
世界遺産 熊野本宮館
等の主要観光施設や、宿泊施設でも用意しているところがあります。
無料です。
スタンプ帳
スペインの巡礼道、サンティアゴ・コンポステーラと熊野古道の共通巡礼手帳がありますので、地図と同じく人数分持って行きます。
スタンプ帳の入手先も、地図と同じです。
https://www.tb-kumano.jp/kumano-kodo/dual-pilgrim/
雨具
○レインウェア
ガイドとしては、透湿防水機能を備えたきちんとしたレインウェアが欲しいところです。
GORE-TEXであれば申し分ありませんが、高価ですよね。
最近私は、もっぱらWORKMANの透湿防水機能を備えた、WORKMANでも「そこそこ」の価格帯のものを使っています(それでも上下で7,000円ほどです)
WORKMANは安い割に作りがしっかりしていて、デザインもいいので、GORE-TEX購入を躊躇されている方にはお勧めです(きちんと耐久テストなどもしています)
カタログなどで透湿防水の数値などを見ると、GORE-TEXとWORKMANのレインウェアの性能の違いは歴然ですが、私が以前よく釣りをしていた時に、GORE-TEXを着ていた時と、ぶっちゃけ体感的な違いは分かりません。
また、いくら高くて性能が良いものでも、経年劣化は否めません。
5万円のレインウェアを5年使うのと、安くて機能性のそこそこある7,000円のレインウェアを毎年買い換えるのと比べてみた時に、私なら後者を選びますね。
5年も使ったら飽きますよ(笑)
https://workman.jp/shop/g/g2300067527020/
https://workman.jp/shop/c/c60/
また、お客様を案内している手前、バックパックにいちいちきれいに畳んで入れられないことも多いです。
高いレインウェアなら、なかなかそういう扱いは出来ませんよね。
まあ、これは個人の価値観の問題ですので、GORE-TEXを批判しているわけではありませんよ、念の為。
○折りたたみ傘
熊野古道は結構アップダウンが激しいところが多いですが、中には傘を差して歩くことのできるコースもあります。
また、新宮などの街歩きなどでは、レインウェアを着るよりも現実的です(さすがに神倉神社は傘差しでは危険ですが)
折りたたみ傘は、レインウェアとうまく組み合わせることによって威力を発揮します。
レインウェアを着るまでもない弱い雨の場合や、早春や晩秋、冬期に歩く時などは特に重宝します。
レインウェアだけだと手が濡れてしまい、そこから体温がどんどん冷えていきます。
以前私は3月にレインウェアだけで大雨の中歩いた事がありましたが、濡れた手から体が冷え切って低体温症寸前のところまでいきました。
気温の低い時期の降雨時などは、傘を差せば手が濡れるのを防いでくれます。
しかし、強風の時や、雷が遠くで鳴っている(もちろん近くでも)場合はもちろん使用できません。
腕時計
「時間はスマホで見ている」という方も最近は増えてきたと思いますが、ガイドをするのであれば、腕時計は必須です。
スマホは圏外に入ると、電波を探すためにかなりバッテリーを消費します。
バッテリー切れを起こせば、時間の確認はお客様まかせになってしまいます。
また、たとえ自分はスマホで時間を確認している時であっても、お客様はそうは見てくれない場合もありますので注意が必要です。
メモと筆記用具
気付いたことを書き留めることはもちろん、お客様に場所の名前を教える時や、お客様の名前のスペルを確認したりする時など、用途はたくさんあります。
できれば蛍光ペンも持っておくと便利です。
お客様とお別れする時に、翌日のバスの時刻を教えてあげる時などに、持っている時刻表に印を付けてお渡しすることができます。
ファーストエイドキット
ガイドとしては、お客様が万一怪我などの問題が起こった時のために、絶対に持っておかなくてはならないものです。
以前、和歌山県のスキルアップ研修で参加生に持っているか聞いたところ、1割程度だったことにガイドとしての意識の低さを感じました。
逆に、その前の現場研修でお伝えするべきだったのかなと反省しています。
熊野古道は雨が多いので、私は以下のものをジップロックに入れています。
絆創膏
様々なサイズが入っているセットを用意しておきます。
バックパックの中で揉まれて箱が潰れないように、私は缶入りのものを用意しています(写真は紙箱入り)
消毒液
外国人は、妙なところで潔癖なところがある人が多いようです。
よくお弁当を食べる前に自前の消毒液で手を拭いているお客様を見ます。
また、海外の水事情にも関連してくるのでしょうが、水に対して神経質な方もいます。
ペットボトルに入れた水道水を応急用処置の消毒液として使用し「その水は大丈夫か?」「水道水を消毒に使うのか」と言われたガイドもいるようなので、弁当を食べる時の消毒液を持つ必要はないとは思いますが、怪我した際のものは持っておくべきです。
しかし今後、コロナが収まってお客様が戻ってきた際には、昼食前の消毒液も用意しておく必要が出てきそうですね。
ガーゼ
止血に使います。
「大は小を兼ねる」の言葉通り大きめのものを用意しておけば、必要に応じて切ることができます。
なお、止血の際にはお客様の血に直接触れないよう、ビニール手袋か、なければビニール袋ごしに止血するようにしてください。
テーピングテープ
本来の目的のテーピングに使用することはもちろん、トレッキングポールの応急修理などにも利用できます。
テープは伸縮性のないもので代用できます。
「伸縮性のあるものとないもの、両方持つべき」という意見もありますが、伸縮性のあるものについてはこれまで使用経験がないため、あまり必要ないと思います。
幅は50mmを持っています。
幅が結構広いですが、足の捻挫などで固定をするのであれば、これくらいの幅が必要です。
「大は小を兼ねる」です。
ビニールテープ
トレッキングシューズの応急処置用です。
特に日本人のお客様に多いようですが、数年経ったトレッキングシューズを久しぶりに引っ張り出して来た方に多く見受けられるのが「ソール剥がれ」です。
一旦ソールが剥がれてしまうと、歩くことができなくなりますので、応急でビニールテープをソールと靴ごとグルグルに巻いて補修します。
ビニールテープは伸縮性があるため、曲げ伸ばしを繰り返す靴の補修にも、比較的耐えることができます。
伸縮性のないガムテープで固定してしまうと歩きにくくなるため、お勧めできません。
包帯
包帯を巻くような大怪我をされたことは今までありませんが、万一のために用意しています。
三角巾
手首を骨折した時、足首を捻挫した場合に使います。
上級救命講習では、三角巾の使い方について教えてくれます。
各市町によって開催時期が異なりますし、さほど頻繁にされていない自治体もありますが、受講されていない方は一度受講をお勧めします。
百均の三角巾サイズが小さいのでダメです。
105センチ✕150センチのものが薬局にありますので、それを用意しておくようにしましょう。
ハサミ
テーピングテープやビニールテープを切る時に使います。
手で切れなくはないですが、手がかじかんでいたときなどは困難になりますので、できれば用意しておきたいです。
予備の水
自分の荷物が重くなりますが、必ず予備に新しいペットボトルの水を入れています。
理由は2つ。
1.道中でお客様が水を飲み干した時に差し上げる
出発前に、お客様には水の確認をしますが、特に湿度の高い日などは予想以上に水を消費します。
道中で飲みきってしまうことも度々起こります。
私は普段からあまり水を飲まないので、少々水がなくても大丈夫ですが、お客様はそういうわけにはいきません。
そんな時のために、常に水を用意しています。
2.消毒用
「消毒液があるじゃないか」という声が聞こえて来そうですが、傷口に砂などが大量に付着している場合などは、消毒液では量的に足りない場合があります。
その時は新しい(封を切っていない)ペットボトルの水で傷を洗い流します。
お客様も、その水が新品であるかどうかは封を切る音で分かりますので「これは新しい水ですよ」というのをアピールするために、お客様の目の前でわざと見せながら封を切って、それが新しい水だということを分かってもらい、安心してもらうという意図もあります。
湿布
万一お客様が打ち身や捻挫をした際にお渡しします。
まずは患部を冷やすことが基本ですが、氷嚢を持って歩くわけにはいきませんので、とりあえず湿布で対応します。
可能であれば、お客様に泊まる宿に連絡を入れておいて、ビニール袋と氷を分けてもらえないか確認を取っておくといいと思います(実際にしたことが何回かありますが、だいたい快く対応してくれます)
「コールドスプレーでいいんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、あれは単なる気休めです。
ならば、鎮痛剤が入っている湿布のほうが、より効果的だと思います。
持っていればなお良いもの
必須ではないけれども、持っていればなお良いものもご紹介しておきます。
トレッキングポール
私はトレッキングポールを一切使わないですが、自分用に持っておくことも、人によっては必要でしょうね。
特に足腰に自信のない方がアップダウンの激しい熊野古道を歩く際には、トレッキングポールは大きな助けとなります。
ただし、以前の記事「トレッキングポールは安全?」にも書かせてもらいましたが、トレッキングポールへの過信は逆に危険です。
頼るのも、ほどほどにしておいたほうがいいと思います。
また、トレッキングポールを持ってきていないお客様がいて、あまりの起伏の激しさに途中で必要になる(使った方がいいと判断される)お客様もいらっしゃいます。
私はその時用に、特に人数が多い時に一本だけですが、お客様用に用意することもあります。
トレッキングポールには主にアルミ製とカーボン製があります。
カーボン製は非常に軽くて持ち運びにも便利ですが、やや高価です。
また、釣り竿のように伸縮できるタイプと、脱着するタイプがあります。
ヘッドランプ
秋を過ぎた頃からまさに読んで字のごとく「つるべ落とし」で日暮れが急にやってきます。
特に熊野古道の深い杉木立の中では、想像以上に暗くなる時間も早いです。
長距離を案内する場合で特に秋以降は、自分の分と予備を一つ持って行きます。
最終手段はスマホの明かりで対応できますが、バッテリーの消費が心配なので、やはり必要でしょう。
行動食
行動食は、特に長距離を案内する時には必ず持っていくようにしています。
行動食に関しては、お客様も結構持っておられますが、ガイドが休憩時間にあげることも重要だと思います。
私は、井村屋のえいようかん、カロリーメイト、エネルギーゼリーなどは自分用、お客様用にはチョコレートやかりんとうなどを用意しておきます。
ただし、チョコレートは気温の高い季節は溶けますので注意が必要です。
ただし、お客様にアレルギーがないか、事前に確認して用意する必要があります。
特に小麦アレルギーのお客様の場合は、慎重に選ばなくてはなりません。
ビニール袋
ゴミ入れ、止血用に用意しておきます。
ジップロック数枚
突然の雨でお客様の荷物の中に、濡れてはマズイものがあった時などに差し上げることができます。
以前、突然の雨に遭い、パスポートを守るために差し上げたことがあります。
また、道中でお弁当を食べる時に下が濡れている時などは、ジップロックを敷いて座ります。
サイズはLであれば、だいたいの用途に応用ができます。
虫除けスプレー
先程、海外のお客様は、結構潔癖な方が多いと言いましたが、虫に対しても敏感で、お客様自身で持ち歩いている方が多いです。
特に気をつけてもらいたいのがマダニです。
海外のお客様はショートパンツスタイルの方が多く、しまいにやられてしまう人が出ないかと、心配しています。
実際に高原でマダニに咬まれ、10日ほど寝込んだという話も聞いたことがありますし、私は咬まれた経験こそありませんが、桜の葉を触っていた時に、葉っぱから手の指を伝ってマダニが這ってきた姿を見ました。
本当に注意してもらいたいです。
あと、蚊には一定の効果がありますが、ブトウ(ハエを小さくしたような吸血虫)や、アブにはあまり効果がないようです。
虫除けスプレーをしていても咬まれたことがあります。
いずれにせよ、虫の季節は必須ですね。
ちなみに、上記2つの虫除けスプレーは、マダニにも効果があります。
虫刺され軟膏
今ではムカデに刺された時の軟膏も出ています。
ムヒアルファEX は、蚊はもちろんのこと、ムカデやクラゲに刺された時の痒み止めにも効果があるそうです。
・・・熊野古道にクラゲは関係ありませんが。
「ハチ刺されに効果のあるものはありますか?」と薬局の店員さんに聞きましたが、ハチ専用の塗り薬というものはないそうです。
とにかく効く、効かないによらず、虫の季節には持っておくことをお勧めします。
「あのガイドは何も手当をしてくれなかった」とならないようにしたいものです。
ポイズンリムーバー
「効果がない」という意見が大半ですが、私は一応持っています。
先程と同様、「手当をしてくれなかった」とならないようにするためでもあります。
実際には、ハチに刺されたお客様に1回だけ使ったことはありましたが、痛いものは痛いです(笑)
体内に入った毒をあれで吸い取れるかどうかも疑問ですが、手当の有無という観点から、やらないよりはマシでしょう。
以上、熊野古道ガイドの持ち物について今日はお話しました。
上記の中には使用期限があるものがありますので、定期的に期限が切れていないかを確認しておくことも忘れないようにしましょう。
