アウトプットの重要性

高野・熊野地域通訳案内士の現場研修が終わりましたが、その中で質問された「知識を得る方法」の答えの一つとして、今回はアウトプットの重要性についてお話をします。

ガイドはアウトプットできてなんぼ

当たり前ですが、ガイドはアウトプットができて初めて仕事ができるようになります。
研修などで得た知識を整理し、自分なりに口に出して言えるようにしておかなければなりません。
以前の法人内の研修で、私が説明したあるスポットについてどれだけ理解できているかをアウトプットしてもらったところ、その人はうまく言うこでができませんでした。
そこでこちらが改めて説明すると「そうです、そうです」という。
この人は、頭では理解できているけれども、それを言語化することができていなかったのです。
これでは、お客様に説明ができるわけがありません。

なので、説明を「うんうん」と聞くだけではなく、聞きながら自分なりに要点をまとめるという作業をすることによってアウトプットできるようになります。

また、言語化することにより、自分が理解できていない部分を確認することができます。
例えばそれがいつ頃起こったのかとか、話に登場するAさんとBさんの関係は何だったのかなどです。

そうすることによって、「知識の穴」が埋まっていきます。

アウトプットには大量のインプットが必要

ガイドにはアウトプットをする事が必要なのは先ほどお伝えした通りですが、インプットも重要です。

私は時間の許す限り、研修ではなるべく細かいところまで説明をするようにしています。
専門用語を理解できていない人がいればその説明をしたり、なぜそのようなことが起こったのか、その時代背景を説明したりして、より深く理解できるように心がけています。

ガイドと研修は似て非なるものです。
お客様と受講生はまったく質が違います。

お客様は楽しみにしています。
受講生は学習をしに来ています。
それを理解せず、たとえば、お客様に研修の時と同じような説明をすると飽きられてしまいます。
逆に、研修生にお客様を案内する時と同じようにすれば、受講生は物足りなく感じます。

私は、受講生から「分かりやすかった」と言われる講師は失格だと思っています。
この言葉の裏には「情報量が少ない」という意味が込められていることが多いからです。
目の前にいる人の年齢が自分の予想よりも高かった場合に、相手を配慮してよく使う「落ち着いて見えますね」と言うのと似ています。

講師の中には「受講生はまだ知識がないから、できるだけ平易に」と考え、アウトラインしか言わない人がいます。
しかし、受講生の中にはすでに知識が豊富な人がいることもあります。
それを講師が勝手に「受講生は知識がない」と決めつけて話をするのは間違っていると思います。
そう決めつけている人は、さらに上を目指している人の芽を摘み取ってしまっています。

与えた情報を入れる、入れないは受講生が決めることです。
子供ならまだしも、これまでの人生の中で様々なことを学んできている大人を相手にする時は、講師が受講生のレベルを勝手に決めないことが重要です。

大量インプットが重要なのは、聞いた話を100%再現できる人はそういないからです。
たとえば、情報量が100あるうちの50しか言わなかった場合、聞いた人が再現できるのはせいぜいその半分くらいです。
これが仮に、100伝えれば、半分とまでは行かなくても25以上は再現できます。
それをさらに、その周辺知識まで含めて120伝えると、さらに再現できる数字は上がります。

それを、50しか教えてもらえていなかった人の場合のその説明は、内容が薄っぺらいものになってしまいます。
そうならないようにするためにも、できる限り詳しく伝えることが重要です。
ただし、そうは言っても相手の反応を見て「これを今話すと混乱するな」というようなややこしいことはあえて言わないようにしています。
相手の理解度に注意しながら話すことも重要です。

数少ないチャンスをものにするには

「50の説明を聞いて、あとは自分で調べればいいじゃないか」という声が聞こえて来そうですが、それは違います。

聞いたことを記録する方法は、メモだけではありません。
メモを取ることは重要ですが、後で整理する時に自分の書いたことでさえ、何のことを書いているのか分からないことがよくあります。

一番効率がいいのは録音する方法です。

メモをする能力は所詮限界があります。
50の話を聞いてもメモの漏れは絶対にあります。
結果的に、すでに聞いた50のことでさえ調べなければいけません。
一方、録音であれば一回聞いて理解出来なかったことも、繰り返し聞くことによって理解できるようになります。
聞き逃しもありません。
そういった意味でも、なるべく詳しく説明することが重要なのです。
「人間の集中力の持続時間は金魚以下」という研究結果もあります。
研修の数時間の間、全集中することは不可能です。

こうした理由から、数少ない研修を1回でものにするには、録音が最良・最強の方法です。
この方法は時間がかかるのが難点ですが、録音したものがあれば極端な話、一度でそのコースを案内できるようになります。

もちろん、土地勘が必要なのでたくさんの下見は必要ですが。

今はまだ武漢熱の関係でゆっくりと知識を入れることができますが、この状況が収まった時にいかに早く新人ガイドを現場に送り込むことができるかが、今後の鍵になると、私は思っています。

なので、少ない研修を一発で自分のものにするためにも、録音するという方法は最良です。

ただし、録音を嫌がる人もいますので、予めお断りをしておくことは忘れないようにしてください。

アウトプットについて、こちらの本をご紹介しておきます。
興味のある方は読んでみてください。

学びを結果に変えるアウトプット大全 (サンクチュアリ出版)


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