たとえば、新宮から本宮まで車の運転をするとします。
運転をする前に
「あの横断歩道で子供が飛び出してきたらどうしよう?」
とか
「あそこで対向車線から車がはみ出して来たらどうしよう」
とか
「後ろから煽られたらどうしよう」
とか
「目的地に時間通りに着かなかったらどうしよう」
とか、いちいち考えていますか?
もちろん、起こり得ることを想定し、その対処法をあらかじめ考えておくことは重要ですが、「すべてがクリアになってから運転しよう」とは考えないものですよね。
そんなことをしていたら、いつまでたっても本宮には行けません。
車の運転は、その時の気象、体調、混雑状況などから、まったく同じコースであっても起こり得ることが違うため、こういうことを考え始めればキリがありません。
ガイドも同じで、
「お客様がケガしたらどうしよう」
とか
「大雨になった時はどうやって判断しよう」
とか
「道中でお客様がヘビに咬まれたらどうしよう」
とか
「私の答えられない質問が来たらどうしよう」
とか
「ここで急にトイレに行きたいって言われた時はどうしよう」
とか
「自分はまだまだ」
とか、考えれば考えるほど深みにハマっていきます。
ある程度考えられる問題とその解決法が準備できたなら、思い切ってガイドに出てみることです。
「百聞は一見に如かず」とよく言いますが、まさにガイドは百聞は一見に如かずです。
出て見れば
「思ったよりハードルが低かった」
とか
「楽しさの方が勝っていた」
とか思うことの方が多いです。
もちろん、中には大変な案内になる時もありますが、実に稀です。
起こりもしないことを初めからいくら考えても、時間の無駄です。
逆に、そういったことばかり考えていると「引き寄せの法則」で本当に起こってしまうかもしれません。
以前、私は結構楽天的に準備をする派なんですが、前日に旅行会社から送られてきた「アクシデントレポート」という書類に、自分が記入する想定で目を通していたことがありました。
それまで何度かその旅行会社の案件を抱えていたのに、それまでは全く目もくれていなかったものです。
そして当日、お客様を実際にご案内する時になって、何でもないところで滑ってこけて手首を骨折してしまいました。
アクシデントレポートに記入する羽目になってしまったのです。
こんなことを言ってしまうのもどうかと思いますが、あんな書類は、いざ書く段になって、記憶をたどりながら記入すれば書けるようなものです。
別に自分が記入することを想定しながら目を通す必要はありません。
悪いことを想像すると、悪いことが起こります。
想念というものは本当にあると思います。
どうせなら、いいものを引き寄せるようにしたいものです。
なので私はガイド前にはお客様と笑顔で写真を撮っているシーンや、笑顔で握手をしながらお別れする姿を想像していました。
もちろん油断はいけませんが、お客様の安全を確保しつつ、楽しくご案内するように心がけることが必要だと思っています。
禅僧という立場だからでしょうか、私は、たくさんの人からさまざまな相談を受けます。
内容は千差万別ですが、それでも大別すれば、不安や悩み、迷い・・・といったものです。
そんな話にじっくり耳を傾けてみると、気が付くことがあります。
それは、そのほとんどが、実は「妄想」や「思い込み」、「勘違い」や「取り越し苦労」に過ぎない、ということです。
「実体がない」といってもいいでしょう。
ー枡野 敏明ー 「心配事の9割は起こらない」より
経験の少ない人や、まだガイドデビューしていない人に良くある現象です。
その気持ちは分かります。
私もそうでした。
しかし、とにかくやってみないと分かりませんよ。
実際に私も自分の出来に満足はもちろんできませんでしたが、思ったよりもハードルが低かったし、何より楽しかったです。
同じ楽しみを、ぜひ一緒に味わいましょう。
