「紀州の獅子と獅子頭」に行って来ました②

講義に続いて、展示している獅子頭についての説明をしていただきました。

野上八幡宮の獅子頭

南北朝時代(14世紀)の獅子頭と獅子幕。

中世の獅子頭の特徴を色濃く残しているものだそうです。
その特徴として、目尻が上がっていること、上唇を厚く翻したところなど。
また、獅子幕にも中世の特徴があり、背中に白いフェルト生地のようなものをあしらっており、その両側に馬の毛を取り付けているところだそうで、平安末期の「年中行事絵巻」の稲荷祭にその姿が描かれています。

隣は「赤面」「青面」と呼ばれているもので、野上八幡宮の社伝には「獅子飼」と書かれているそうです。

藤白の獅子舞

熊野古道のガイドとしては古道沿いの王子などで奉納されている獅子舞にも興味が湧きます。

写真五体王子の一つ、海南の藤白神社の獅子頭です。

この獅子舞は毎年10月第2日曜日の秋祭りの日に奉納されるそうです。

なぜ頭が金色なのかはっきりした理由がわからないそうですが、この獅子舞は紀中の鬼獅子から派生したものだそうで、その獅子頭の特徴として、黒い下地に金の塗料(金箔?)をつけていたそうです。

金色の頭はその影響ではないかと言われています。

紀中の獅子頭で黒いものが多いですが、それらも元々は金色だったのではないかとも言われています。

和歌祭に登場する獅子頭は、黒漆に金箔をあしらえています。
和歌祭は1622年、徳川頼宣公によって始められた祭で、来年で400周年を迎えます。

丹生都比売神社の獅子頭


かつらぎ町天野の鎮座する世界遺産・丹生都比売神社の獅子頭。
同社には2つの頭があるそうですが、文献が残っておらず詳しいことはわからないそうです。

おそらく、神輿の渡御の際に道中を祓い浄める役割をしていたのでしょう。
ただ、この頭はめちゃくちゃ大きいので手に持ったり頭に被ったりすることは不可能ですので、肩に担いだり複数人で運んだのではないかと言われています。

頭には大きい物と少し小さい物があり、オスとメスであろうと言われています。
展示されているものは大きい方の「オス」だそうです。

古座の獅子頭

伊勢大神楽の流れを汲む古座の獅子頭は、やはりどことなく伊勢大神楽のものと似ています。
特徴的なところは、目も歯も銀色だというところです。
また、写真左に展示されているものは祭で天狗役をする女の子が被る「鳥兜」と言われるもので、これは雅楽の影響が残っていると考えれられています。

天狗が出てくるところが祭で一番盛り上がります。

岡の獅子頭

上富田町・八上神社(八上王子)で奉納される獅子舞です。

ここまで来ると、さすがに頭にも親近感が湧いてきます(笑)

紀南地方、とくに田辺からすさみあたりにかけては、この頭がスタンダードです。

岡の獅子舞は、やはり古座の流れを汲むもので、白浜町田野井の獅子舞から伝承されたものだそうです。

特徴的なものは天狗が被る洋風の帽子です。
また、展示されている着物は鷹の絵柄で天狗がまとうものだそうです。
私の記憶が確かなら、もう一方の天狗の衣装はフクロウ?で、鷹が男性、フクロウが女性だと聞いたような・・・記憶が定かではありませんが。

田辺あたりの獅子舞の特徴は、古座流にはない「道中楽」があることです。
これはおそらく、田辺は日高の獅子舞と古座流の交わるところに位置するため、お互いの特徴が習合したものだと考えられます。

三輪崎の獅子頭

新宮市・三輪崎八幡神社の獅子頭。

やはり伊勢大神楽系統の影響が強い頭という印象です。

ここでは、神明賛(で呼び名が合っていますか?)で奉納される頭はメスで、買ったばかりの美しい状態のもので奉納され、これが年月とともに傷んでくると、それを修理に出し、目には金属の板を取り付けて頭を振った時に音が鳴るようにしたり、もっと口を大きく開いたり出来るように「改造」し、オスに「性転換」し、幕をつけた荒々しい獅子に変化するそうです(笑)

黄色と黒の幕にも特徴があります。

これは和歌山県下ではここだけだそうですが、尾鷲にも同じような幕で奉納するところがあるそうなので、やはり伊勢から伝わったということがわかります。

獅子舞の伝播は街道があるかないかで随分と違ったようです。

当時伊勢から紀伊にかけては街道が整備されていました。
それを伝って獅子舞が紀南各地の特に沿岸部に広がっていきました。
また、日高でも龍神と結ぶ街道があったために獅子舞が伝播したそうです。
逆に、本宮では獅子舞がありません。
三重から本宮へは伊勢路がもちろんありましたが、道中に熊野川があり、渡し船でないと行けなかったり、集落から集落の距離が長かったりしたなど、当時本宮への道が険しかったということもあったのでしょう。

・・・もちろん、熊野古道は古くからありました。
熊野古道中辺路沿いでは野中の獅子舞が有名です。
龍神出身の方からのお話では、その方の出身の地区の獅子舞は野中から習ってきたとお聞きしたことがあります。

以上、獅子舞バカの和田がお送りしました。
私自身もかれこれ10年以上獅子舞の舞手として携わって来て、紀南各地の獅子舞を見て勉強をして来ました。
今回の講座はその世界をさらに広げてくれました。

ぜひとも第二弾を開催していただきたいですね。

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