
今回は、神社での参拝作法を分解すると題してお話をします。
神社での参拝は、一般に「二礼二拍手一礼」とされていますが、ただ単にすればいいというわけではありません。
ガイドでさえも、残念な参拝作法をよく見かけます。
日本の民間外交官である通訳案内士が、所作の崩れた参拝作法を教えることは避けたいものです。
やはり所作の美しさがなければ、相手(神様)にも誠実さが伝わらないでしょうし、内面の心の在り方が所作にも現れるのではないでしょうか。
また、普段から美しい所作を心がけることは、日常生活においても相手への敬意をきちんと表すことにもつながってきますので、ないがしろにしないように心がけたいものです。
そこで、「二礼二拍手一礼」の中から、今日は礼だけを取り出し、神社本庁などで紹介されている作法と、小笠原流礼法講座で習ったことを照らし合わせてお話しようと思います。
小笠原流とは?
小笠原流とは、礼法・弓術・弓馬術の伝統のすべてを意味するもので、約800年の歴史があります。
礼法はその一部ですが、鎌倉時代から江戸時代の武士の礼法で、弓術と弓馬術が結びついたものです。
「流鏑馬」と聞けばピンとくる方が多いのではないでしょうか。
現在は、小笠原清忠氏が三十一世(!)宗家となっています。
最敬礼とは
さて、本題です。
社本庁では、90度に体を曲げて礼をすることが正しい作法とされています。
よって、体を90度に曲げることが、最敬礼と言ってもいいでしょう。
神社本庁/参拝方法
伊勢の神宮では、動画では特に角度については言及していませんが、HPには「90度に腰を曲げ」と書かれています。
小笠原流礼法での礼の定義では、体の角度ではなく、手の置き位置によって決まります。
体は「主」であり、手は「従」、つまり、手は体の影であり、手は体と一体で動くものです。
なので、体型や腕の長さによって、その人にとって一番深い礼が決まるものであって、角度ではありません。
小笠原流礼法での一番深い礼とは、現在では指先が自分の膝頭より少し上と、私は習いました。
江戸までは膝頭の下に指先が来ることが一番深い礼とされていたそうですが、体勢維持の観点からも不自然であることから、現在は膝頭の上になったと聞いた記憶があります(違っていたらすみません)

また、参拝作法から外れますが、現在は手をおへその辺りに組んで礼をする人(そのように指導している職場)や、バランスを取るためにお尻に手を当てて礼をする人がいますが、これは不自然な礼です。
特に、腕を前に組んでの礼には強い違和感を覚えます。
いつからあんな礼になったのでしょうね。
また、個人的な考えでは、体を90度に曲げる礼も、不自然な礼に映ります。
90度に体を曲げること自体知らない人もいるでしょう。
また、仮に知っていても「周囲の目があるから恥ずかしい」と思っている人もいるかもしれません。
そのような理由からか、体を90度に曲げて参拝している人をほとんど見かけたことがありません。
礼の姿勢
礼の姿勢も重要です。
手に意識が行くあまり、体が曲がっていては美しい礼ではありません。
体を丸めた礼にならないようにないようにするためには、襟がすかないように意識をすると体が真っ直ぐになります。
よく接客マニュアルなんかで「何度に体を・・・」と言っていますが、あれはあくまでも目安であって、重要なのは手の位置だということです。
礼はあくまでも手の位置によって深さが決まるものであり、体の角度ではないというお話でした。
今日ご紹介した礼を始め、姿勢、室内出入りの作法、物の持ち方・受け渡し、訪問・来客の作法、和服の扱い、暮らしの心得、食事の心得など、小笠原流礼法の初歩を網羅しています。
本書に書かれている作法は本当に無駄がなく、体の構造に沿った非常に美しい所作です。
勉強して損はないと思います。
恥ずかしくない作法で正しく人を接していきたいものですね。
様々な作法が網羅された「入門 小笠原流礼法」はこちら↓
