
松下(幸之助)さんは有名なダム式経営の話をされた。
ダムを持たない川というのは、大雨が降れば大水が出て洪水を起こす。
一方、日照りが続けば、枯れて水不足を生じてしまう。
だから、ダムを作って水をため、天候や環境に左右されることなく、水量を常に一定に コントロールする。
それと同じように、経営も景気の良い時こそ、景気の悪い時に備えて蓄えをしておく。
そういう余裕のある経営をすべきだという話をされたのです。
それを聞いて、何百人という中小の経営者が詰めかけた会場に、不満の声がさざ波のように広がっていくのが、後方の席にいた私にはよくわかりました。
「その経営ができれば確かに理想です。しかし現実にはそれができない。どうしたらそれができるのか、その方法を教えてくれないことには話にならないじゃないですか」と、一人の男が立ち上がり、こう不満をぶつけた。
これに対し、松下さんはその温和な顔に苦笑を浮かべてしばらく黙っておられました。
それから、ポツリと「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけれども、 ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ」と、つぶやかれたのです。
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会場に失笑が広がる中、この松下さんの言葉を聞いて体に電流が走るほどの衝撃を受けた人物がいました。
稲盛和夫さんです。
この松下さんの言葉の意味が本当に分かったからです。
「まず思うこと」
思いは種であり、人生という名の庭に根を張り、幹を伸ばし、花を咲かせ、実をつけるための、もっとも最初の、そしてもっとも重要な要因なのである。と、稲盛さんは述べています。
そして、その思いをカラーでイメージできるほど強烈に強く持つことによって、その思いは実現すると述べています。
まずは思うこと、そして行動することです。
「当たり前やないか」という声が聞こえて来そうですが、ほとんどの人ができていないのです。
稲盛さんの名著はこちら。
先の大戦のことなどの考え方や、グローバル化の考え方は個人的には「ちょっとそれは違うんじゃない?」と思いましたが、現代人が忘れがちな視点と思考を思い出させてくれる非常にいい本です。
