熊野古道の神社

熊野古道沿いには王子をはじめとした神社が点在しています。

今回は、熊野古道中辺路沿いの、社殿がある神社のみに的を絞ってご紹介いたします。

王子とは?

熊野古道沿いには王子(神社)が点在しています。

王子とは、かつての上皇・法皇たちがこぞって熊野詣に来られた時に、道中の安全を祈願するお社のことを言います。

王子では奉幣、里神楽、読経、和歌会(わかえ)、相撲など、様々な催し物が開催され、それらが神前への奉納とされていました。

王子は修験者(「山伏」とも。修験道の行者)によって整備されたものです。

王子のコンセプトは、修験者の修行の道・大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)に見える「靡(なびき)」のコンセプトそのものであり、修験者は靡で読経などをしながら本宮(または吉野)を目指しますので、それを熊野古道に当てはめたと考えるのが自然ではないかと思います。

他にも、王子の役割としては、次のことが言われています。

1.道しるべ
2.熊野三山(本宮、速玉、那智)の遥拝所
3.休憩所・宿泊所

王子は道しるべ的な役割もあり、きちんと道を逸れていないことを示す役割もあったようです。

よく「王子は遥拝所だった」という話も聞きますが、そういった資料は確認できていないようです。
なので、「王子は遥拝所」という解釈は違うかもしれません。
または、当時はそう思って参詣していた人もいたかもしれませんが、記録としては残っていないのかもしれません。

王子周辺には宿があるところもあり、結果的に王子周辺で宿泊することもありました。

あとは、「休憩所であった」とも聞きますが、王子では様々な儀式をするので、その結果休憩ができたのであり、本来の目的ではなかったかと思います。

「王子」の由来

王子の由来については諸説ありはっきりしていません。

「熊野三山の御子神が祀られているから」とか、

「インドのマガタ国から飛来した王一族が仏となり、その仏が熊野の神と習合し、その子息のことを言っているから」だとか、

「修験者を守護する神、王子に祀られている神が『金剛童子』であり、その「童子」が転訛して『王子』になったから」などと言われています。

2番目の「インドのマガタ国云々・・・」という説は、1163年の長勘寛文(ちょうかんかんもん)の一部である「熊野権現垂迹縁起(くまのごんげんすいじゃくえんぎ)」に記載されているとのことですが、私はこの「熊野権現垂迹縁起」は胡散臭いと思っています。
本宮大社の成り立ち(三体の月がイチイの木に降りてきて・・・という話)についても、この熊野権現垂迹縁起からのものですが、私個人的には腹に落ちていません。

あくまでも個人的な意見ということをご理解いただいた上でですが、これらはホツマツタヱを読めば腹に落ちると思います。
はじめてのホツマツタヱ 天の巻

ホツマツタヱを読むと、新宮市の「新宮参詣曼荼羅図」で、インドから神々がやって来る姿が描かれていますが、個人的にこんなことを伝えていいのか?と疑問に思っています。

日本の神々がインドからやってきた・・・

いい加減、「今の日本があるのは海外のおかげ」という認識、やめませんか?

もちろん、海外のおかげもありましたが、それは、日本に元々あったものにうまく取り入れて発展したのであって、「日本には元々何もなく、文明的に遅れていたから海外の力が必要だった」的な解釈は、私は違うと思います。

これを語ると長くなりますので、またの機会に譲ります。

熊野御幸の転機

上皇・法皇による熊野詣(上皇・法皇の熊野詣は「御幸」と言います)は、907年の宇多法皇に始まり、1281年の亀山上皇まで、374年に渡り、約100回も行われました。

しかし、承久の変(乱)の後は後嵯峨上皇の2回、亀山上皇の1回と、急激に少なくなります。

理由は、承久の変以降は戦乱に代になったからということと、熊野御幸には莫大な費用がかかるからだと聞いたことがあります。
私は、この変を境に、朝廷と幕府の力関係が逆転し、鎌倉幕府に荘園を没収され、朝廷の財力がなくなったことに起因するものと思っています。

最後の亀山上皇の御幸の年は、元寇(弘安の役)があった年で、亀山上皇はこの国を守ってもらうための祈願を伊勢の神宮でされているそうです。

おそらく、そういった意味合いで熊野にも来られたのではないかと思っています。

上皇・法皇による熊野御幸がなくなってからは王子も廃れ、五体王子の一つでもある滝尻王子でさえもかなり荒廃が進んでいたといいます。

その後、1723年に時の紀州藩主・徳川宗直が、かつて王子があったとされる場所に緑泥片岩製の石碑を建立します。

現在、多くの王子は「跡」として残っている状態で、社のあるところは限られています。

次回は主要な王子や、熊野古道沿いにある神社をご紹介いたします。

冬の熊野古道

果無峠越 2024年2月24日

熊野古道は冬でも歩けるのか?とよくお客様に聞かれます。
結論から言って「コースによっては歩けます」なんですが、海外のエージェントでは「(中辺路でも)冬は閉めている」と言われたお客様もいました。

小辺路ではかなり雪が積もりますので、冬はやめておいた方が無難です。
私たちは2月末に果無峠越だけ歩きました。2月も終わりとなると、春の空気感が漂ってきますが、やはり峠はまだまだ冬でした。

中辺路では、近露、野中、道湯川のように寒いエリアはありますが、雪が積もって歩けないということは「あまり」ありません。
以前2月の研修で高原~近露王子まで歩いた時は、結構雪が積もっていて怖かったですが・・・

今年の冬は、本宮でも1回雪で歩けない(歩こうと思えば歩けたが・・・)時がありましたが、近露などに比べれば、本宮は比較的暖かいです。
本宮では、雪は確かに降りますが、うっすら積もることはあっても、歩けなくなるくらい積もるということはあまりありません。

ただ、紀伊田辺駅から本宮方面に行く場合、バスならまず問題なく行くことができますが、自家用車で向かう場合は、道湯川の小広峠は積雪の恐れがありますので、スタッドレスタイヤを履いておいた方が無難です。

小広峠の積雪情報は、こちらのFBページで確認することもできます。
国道311号「小広峠」の凍結情報

積雪があった場合は写真のようになる時があります(常にこういう状態ということではありません)

小広峠

そこを過ぎれば、あとはさほど雪で心配になる道路はありません。

新宮方面から本宮まで車で来る場合は、雪の心配はまずありません。

私たちガイドも、冬場は念のためにスタッドレスタイヤを履いています。
・・・活躍しない年もありますが。

冬場は、川湯温泉の「仙人風呂」など、冬にしか楽しむことができないイベントもあります。
夜の仙人風呂は幻想的でオススメですよ。

2024年12月29日追記

12月29日、滝尻王子~近露王子まで歩いてきました。
前日の28日、午後からの降雪の影響で十丈王子手前付近からうっすらと雪が積もっていました。
上多和茶屋跡(このコースの最高点で687m)の手前からは写真のような状態でした。
ちなみに、前日の28日、当日29日の田辺市の最高気温は共に9℃でした。
ただ、上多和茶屋跡を過ぎてからしばらく下りると、雪はありませんでした。

しかし最近はチャイニーズが増えましたね。

大辺路がオススメ

道路、古道で雪の心配をほとんどしなくてもいいのは大辺路です。

大辺路は大部分が海岸線沿いに面していますので、雪もあまり降りませんし、積もるということはまずありません。

富田坂、仏坂、長井坂、八郎峠~湯川駅あたりがオススメです。
熊野古道大辺路

熊野古道は中辺路だけではありません。

この冬は大辺路を歩いてみてはいかがでしょうか?

熊野古道のクマ騒動と相手を知ることの大切さ

最近、熊野古道でクマの目撃例があります。
熊野古道伊勢路ツヅラト峠では70代の女性が熊に襲われ大けがをしたそうです。
【注意】熊野古道で熊の出没がありましたのでご注意ください

熊野市や尾鷲市内でも目撃情報がありますので十分ご注意ください。

また、中辺路でも目撃情報がありますのでご注意を。
詳しい情報はこちら

ただ、中には誤認では?というものもあります。

今年(2024年)の5月に、滝尻~高原間の胎内くぐりあたりで目撃されたものは、地元の人が飼っていた黒い大型犬が逃げ出して、その辺りをウロウロしていたものを、外国人が見つけて熊と誤認したという話を聞きました。

祓殿王子手前で目撃されたものはカモシカではないか?という見方が強いとのことです。

いずれも目撃者は外国人。

以前聞いた話では、タヌキの子供を見て「クマだ!」と騒いでいた外国人もいたとか。

ツキノワグマがどういったものかを知らないので、特に外国人が多い中辺路では、目撃例の中には誤認も含まれているものが結構あるのかもしれません。

私自身も、はっきりと間近で見たことなかったので、三重県大紀町にある大内山動物園に行ってわざわざ見てきました。

https://photos.app.goo.gl/3bnknwPpKGB7hEmk9

ツキノワグマはさほど大型のクマではないので、他の動物と見間違えることがあるのでしょう。

とにかく、何でもそうなのですが、まずは相手がどういったものかを知ることが、過度な恐れを抱かずにすむ一番の方法です。

昆虫のアブひとつをとっても、それが吸血をするものなのか、花の蜜を吸うものなのかを知らないと、すべてのアブが怖くなると思います。

「あ、これは花の蜜を吸うやつやから大丈夫」と知っていれば、それだけ「怖い」と思う回数も減ります。

もう一つ例に挙げると、秋になれば、ホシホウジャクやオオスカシバという、スズメガの仲間が頻繁に飛びます。
これらは、オレンジや黄色や赤の服を着ていると花と間違えて人に寄って来て周りをホバリングしながら飛んで回ることがあります。

これを知らない人はハチと勘違いして「わぁぁ!」と言って騒ぎ始めます。

ホシホウジャク
オオスカシバ

こいつらは高速飛行する蛾であり、何ら危害を加えるものではありません。

以前の記事「熊野の危険な生き物たち(ヘビ編)」でもお伝えしている通り、どんなヘビが毒を持っていて、どんなヘビが無毒なのかだけでも知っていれば、さほど恐れる必要はなくなります。
「生理的に受け付けない」という人は別ですが・・・。

クマが出没するようになった要因

こちらも以前の記事でお伝えしていますが、その一つとして、古道で食べ物やゴミを捨てる人が増えて来たというものが挙げられると思います。

餌付けの問題

つい最近も、発心門王子~本宮大社間のある地点で、おにぎり3つとおはぎ2つが捨てられていました。

イノシシやシカ、サルは雑食です。

こういったものもエサに十分なり得ます。

また、人間が食べないものでも、ヤツらにとっては十分にエサになるものもあります。

例えばバナナの皮とか、リンゴの芯とか。

特にイノシシは腐って液状になった果物でも食べます。

古道に動物を呼ばないためにも、絶対に食べ物は捨てないよう、お願いいたします。

クマ鈴は効果があるのか?

クマ鈴って効果があるのか?という議論が結構あります。
私も試したことはありませんのではっきりとは言えないですが、結論から言ってあるようです。

日本人に多い(というか、日本人しか見ない)ですが、クマ鈴を絶えず「チリンチリン」と鳴らしながら歩いている方を見かけます。

ただ、ガイドが絶えずお客様の前で「チリンチリン」鳴らすのは考えものです。

いくらクマよけだと言っても、お客様にとっては「騒音」に聞こえる場合もあります。
せっかく都会の喧騒から離れて静かで自然豊かな場所に来られている方にとっては、それを台無しにしてしまう可能性もあります。

なので、ストッパー付きの鈴を用意しておき、必要と思われる場所、特に、クマの目撃情報があった場所や注意喚起の看板がある場所の付近や、単独で歩くときなどは鳴らすといいと思います。

ストッパー付きのベルはこちら

東京ベル(Tokyo Bell) (TOKYO BELL) TB-K1 BEAR BELL 森の鈴 ゴールド

ただ、「これを付けているから安全」というような過信をせずに、周囲の状況に注意を払うことが重要かと思います。

ハイカーが捨てたゴミが間接的な餌付けになり、「人間が捨てたゴミ→人間はエサ」という認識に発展し、北海道では実際に人間が襲われたケース(この場合はヒグマですが)が発生しています。

熊鈴って効果あるの?と専門家に聞いてわかった登山者がすべき本当のクマ対策

登山者の最大のクマ対策は遭わないこと|熊鈴の有効性と知っておくべき前提【クマとの共存。vol.1】

こういった場合は、クマ鈴の音が逆にクマを呼び寄せることになる場合があるとのことですので、やはり過信は禁物です。

クマは本来、警戒心が強く、特にツキノワグマは人間の姿を見れば逃げて行きます。
私も一度、渓流釣りで山深く入った時に、逃げているツキノワグマらしきものを見かけました。
すでにはるか遠くを走っていたので何も起こりませんでしたが、やはり気持ち悪くなったので釣りをやめて帰りました。

今回のツヅラト峠での女性が、どんな状況で襲われたのかは分かりません。
本当にお気の毒ですが、この理由が、人間が捨てたものに味をしめて来るようになったのではないと祈りたいものです。

もし単独で歩かれる場合で不安な方は、ガイドと一緒に歩きましょう。
お問い合わせはこちらから

一般社団法人 和歌山地域通訳案内士会

熊野古道 駐車場

熊野古道は周回するスタイルではなく、「行きっぱなし」になりますので、車で来られた時の駐車場に困ることがあると思います。

特に車1台で古道歩きをしたい場合には、駐車場所に困ると思います。

今回は、コースごとにどこに駐車可能な場所や、どこに置けば効率がいいのか(スムーズに帰ることができるのか)をご紹介します。

藤白坂(海南駅~加茂郷駅)

基本的に、駐車は終了地点付近に置くのが理想ですが、このコースについては加茂郷駅周辺には理想的な駐車場が見当たりませんので、海南駅の近くに駐車することになります。

加茂郷駅まで行けば、電車はだいたい30分に1本は動いていますので、帰りはさほど困らないと思います。

海南駅東口には、1日250円~300円程度で停められる駐車場が結構あります。
車を置いて海南駅までは徒歩1、2分です。

料金は前払いなのでご注意を。
支払った際に発行される駐車券をダッシュボードに上に置いて駐車します。

中には30分無料であとは30分ごとに100円(だったかな?)かかるところがありますので、よーく料金表を確認してから駐車してください。

紀伊宮原駅~湯浅 切目駅~南部駅

湯浅駅前に駐車場は1日最大300円程度で駐車できますので、ここに置いておき、電車でスタート地点の紀伊宮原駅まで行く方法が便利です。

切目駅~南部駅も、終点の南部駅に町営の駐車場があります。
こちらも1日最大300円程度で駐車できます。

なお、紀伊宮原駅、切目駅とも特急は止まりませんのでご注意を。

滝尻王子~高原

中辺路でも、基本的に終点に停めておくのがいいのですが、このコースについては滝尻の駐車場に停めておく人が多いです。

なお、トイレのある方の駐車場は、長時間の駐車はご遠慮ください。

滝尻の駐車場(熊野古道館駐車場)に置いて歩き始め、終点の高原から、栗栖川バス停まで歩いて下りて行き、バスに乗って滝尻に戻るという方法です。

一番便利なのは、霧の里高原(たかはら)休憩所に駐車しておき、栗栖川バス停まで歩いて下りて行き、バスに乗って滝尻まで戻る方法です。

いずれにしても、高原から栗栖川までは歩いて下りなければなりません。
所要時間は約30分です。

なお、タクシーを呼ぶにも30~40分はかかりますので、私はそういった方法を使ったことはありません。

中辺路ルートのバスはそう頻繁にありません。
下手をすると1時間~1時間半待ちということになりかねませんので、朝のバスに時間を合わせた方が、帰りの時間を気にすることなく古道歩きを楽しむことができます。

熊野古道館駐車場、霧の里高原休憩所の駐車場とも、駐車料金は無料です。

高原~近露王子

近露王子公園駐車場(無料)が便利です。

駐車場内にバス停がありますので、車を停めてすぐにバスに乗ることができます。

降車の停留所は「栗栖川(くりすがわ)」です。

ただし、栗栖川から高原までは、歩いて約30~40分(約1.8km)を上らなければなりません。

霧の里高原休憩所駐車場に先に停めておくことも可能ですが、いずれにしてもこの坂を上ることは避けて通れません。
また、この場合は帰りのバスの時間を合わせないといけなくなります。

発心門王子~本宮大社

熊野本宮館駐車場が便利です。

こちらも駐車場内にバス停がありますので、ここから発心門王子行きのバスに乗車できます。
終点の本宮大社にお参りをし、参道を降りれば、道路を挟んだ向かいがこの駐車場です。

ただし、週末などは満車になる可能性があります。

その場合は、熊野本宮館裏手の河川敷の臨時駐車場に置くことができます。

臨時駐車場へは、案内看板もありますので、難しくはないです。

小雲取越

請川から入る場合は、小和瀬(渡し場跡)の駐車場(無料)に置いておき、バスで出発地点の「下地橋(しもじばし)」に向かうといいです。
時刻表には「請川(うけがわ)」しか記載がありませんが、下地橋は請川の一つ手前です。
小雲取越の入口は、請川よりも下地橋の方が近いです。
ただ、歩く前に何かを買いたい場合は、請川で降りればコンビニと、道を挟んだ向かいに小さなお店があります。
コンビニは毎週水曜が定休日で、その他の日も臨時休業している場合がありますので要注意です。
時刻表

小和瀬から入る場合は、下地橋バス停付近に数台駐車可能なところがあります(無料)
ただし、他の利用者の妨げにならないように端の方に停めてください。

大雲取越

小口から入る場合は、JR新宮駅近くの新宮市営駐車場に停めておき、7:10新宮駅発のバスに乗車し、神丸(かんまる)で乗り換え、小口(こぐち)8:06着に乗る必要があります。

大雲取越は中辺路の中でも最高級の難易度のコースなので、7~10時間を見ておいたほうがいいでしょう。

時刻表は小雲取越のものと同じです。

駐車料金は1日最大700円です。
ただし、24時間以降は1時間につき100円かかりますので要注意。
新宮駅東市営駐車場「はまゆう」

那智から入る場合は、那智山バス停の駐車場(混雑時は有料になる場合あり)、または那智駅(無料)に駐車し、路線バスで那智山バス停まで向かうことも可能ですが、小口で一泊することをお勧めします。
時刻表

終点の小口から那智に戻るには、神丸→新宮駅(または新宮高校前)→那智駅で乗り換えが必要なので日帰りはやめておいたほうが無難です。

小口からの日帰りは、バスの便数が限られていますので、何か起こって乗り遅れれば悲惨な状態になります。

大雲取越、小雲取越を2日かけて歩くのが通例です。

以上、ご参考になれば幸いです。

雨の熊野古道歩き 服装

熊野は雨がつきものです。

新宮市など、特に紀伊半島の東側では年間3,000mm程度降りますので、当日雨が降っていなくても雨対策は必須です。

今回は、雨の時の服装についてお話をします。

レインウェア

レインウェアを用意することはもちろんですが、ゴアテックスなどの透湿機能の兼ねたものが理想です。

一度騙されたと思って試してみてください。

全然違いますから。

ただ、ゴアテックスのレインウェアは価格もそれなりにしますので、費用を押さえてつつ、そこそこの機能を備えてしるものなら、ワークマンのレインウェアがオススメです。

買う時は、耐水圧、透湿性という項目に注目して買うといいと思います。
耐水圧、透湿性については、こちらをご参照ください。

単純に、その値が高ければそれだけ機能性が増すと考えてもらえたらいいと思います。

これくらいのものであれば、目に見えてゴアテックスとの違いが分からないレベルだと思います(あくまでも個人的な見解です)
イナレム ストレッチレインスーツ

いくらワークマンのものが低価格でいいとは言っても、耐水圧と透湿性が低いものは避けた方が無難です。

蒸れます(笑)

ちなみに、海外の方は上こそレインウェアを着ますが、下はショートパンツといういでたちの人がほとんどです。

・・・靴下を通して靴の中が濡れるけど?

折り畳み傘があれば便利です。

片手が使えなくなるので危ないという意見もありますが、必要のないところでトレッキングポールを持って歩く人と同列だと私は思いますがね。

特に、冬から春先、晩秋といった、気温が低い時期などは、手から濡れて体温が下がってしまう可能性があります。

傘をさせば、手が濡れずに済みますので、私は手の保護のために使っています。

以前、3月の大雨の日に歩いた時に、手から水が入り、その水が肘、脇まで水が浸入し、低体温症の一歩手前になったことがありました。

休憩中、濡れた状態で冷たくなったおにぎりを食べてさらに体温が下がり、震え始めました。

この時は仲間の方がカップヌードルを分けてくれたのですが、これで復活しました。

この苦い経験から、私は傘をさして歩くことが多くなりました。

ただ、雷が遠くで鳴っている場合や、強風の時はNGです。

できれば石畳の下り坂も使用しない方が無難でしょう。

もちろん、傘だけでは服がかなり濡れますので、上下のレインウェアを着た状態で傘をさしてくださいね。

熊野古道を歩く場合はスニーカーでも構いませんが、滑りやすいという点で、やはりトレッキングシューズに敵うものはありません。

私たちが熊野古道のガイドの研修を受けた時は、トレッキングシューズの固いソールで木の根を踏むと傷んでしまい、木を枯らしてしまうので、スニーカーにした方がいいと教わりました。

もちろん、木の保護という点ではいいと思いますが、雨の場合はそうはいっていられません。

これも手の場合と同じく、足が濡れるとそこから冷えてくる可能性があります。

これは今のところゴアテックスに敵うものはありませんので、ここはケチらずにいいものを買いましょう。

本当に快適ですよ。

メーカーは、熊野古道であれば価格もリーズナブルなモンベルで十分です(ゴアテックスを選んでくださいね)

モンベルのトレッキングシューズは、本当に滑りにくいという点でもオススメです。

以前、嫁が新品のコ〇ンビアのトレッキングシューズを履き、私がモンベルを履いて一緒に小辺路を歩いたのですが、嫁の方は何度も滑っていました。

「新品やけど、背に腹は代えられんで」と、思い切ってモンベルに交換をさせたところ、以後滑りにくくなりました。

トレッキングシューズ選びは重要ですよ。

雨の熊野古道もいいものですよ

雨が降ったらどうしようとか、やめようかなどと考えている方もいるかもしれません。

しかし、少しの雨であれば、かえって霧がかった神秘的な熊野古道は、晴れた日では見ることができない景色です。

どうやって「少しの雨」という判断をするのか、難しいところですが、和歌山地域通訳案内士会では「1時間に10mm以上の雨」を「大雨」と一応定義をしています。

1時間に10mmの雨は感覚的にも「歩きたくないな」というくらいの雨量です。

ネットの天気予報などと照らし合わせて判断されてください。

あくまでも、無理は禁物ですよ。

雨で歩けなくなった場合は、本宮エリアや勝浦エリアの温泉に浸かるのもいいのではないでしょうか?

熊野古道 モデルコース

熊野古道のモデルコースは、主に中辺路に集中しています。

まずは中辺路のモデルコースをご紹介いたします。

1泊2日

1日目 紀伊田辺駅~本宮へ移動
2日目 発心門王子~本宮大社

大阪からであれば、紀伊田辺にお昼前に到着し、そこから路線バスを使って本宮エリアで宿泊、翌日発心門王子~本宮大社を歩いて路線バスで紀伊田辺駅に戻る行程です。

大阪からのアクセスは、
新大阪8:58発、紀伊田辺駅着11:23の便
新大阪10:13発、紀伊田辺駅12:34着の便
が便利です。
JRおでかけネット

紀伊田辺駅から本宮エリアへのバスは
11:35と12:50発の便があります。
紀伊田辺駅、白浜→熊野本宮大社

本宮までは2時間ほどかかりますので、12:50の便に乗ればちょうどチェックインの時間くらいに到着します。
11:23に紀伊田辺駅に到着し、駅周辺でランチを食べて12:50の便に乗れば一番いいと思います。

和歌山地域通訳案内士会では、ガイドの自家用車で本宮までの道中をご案内するプランがあります。

ただ単にバスに乗って移動をするより、道中の滝尻王子や継桜王子などに立ち寄りながら本宮に向かいますので、より密度の濃い熊野体験ができます。

2泊3日 ①

1日目 鮎川王子~滝尻王子
2日目 発心門王子~本宮大社

1日目は紀伊田辺駅からバスに乗って「鮎川新橋」で降車すれば、鮎川王子跡があります。
その向かいの橋(鮎川新橋)を渡ってウォーキングスタート。
2016年に世界遺産に追加登録された北郡越(ほくそぎごえ)を含んだ、変化に富んだコースです(先出のバス時刻表参照)

2泊3日 ②

1日目 牛馬童子口~継桜王子
2日目 発心門王子~本宮大社

1日目は、中辺路のシンボル・牛馬童子像、展望台から見下ろす近露(ちかつゆ)の景色や、樹齢800年と言われる野中の一方杉などを見ることができます。
こちらへのアクセスも、紀伊田辺駅から出発し、「牛馬童子口」バス停で降車です。

宿泊は
民宿つぎざくら
GUEST HOUSE MUI
熊野古道 古民家宿 HAGI
農家民宿さーどぷれいす熊野古道
熊野古道 いろり庵
などが便利です。

3泊4日 ①

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子
3日目 発心門王子~本宮大社

1日目の滝尻王子~高原は、始めに1kmの急坂を上ります。
ゆっくり歩けば大丈夫ですが、喘息を持たれている方は注意が必要です。

2日目の高原~近露王子は、本格的な熊野古道を味わえるコースです。
距離は約9kmですが、結構こちらも起伏がありますので、無理をせずに歩いてください。

1日目の宿は
霧の里 高原
けやき
すずしろ
民宿 古道の杜 あんちゃん
あかつき
星空の宿
里山暮らしを遊ぶ宿 のこのこ
Guest House Kiyohime
お宿 日々樹

2日目の宿は
民宿ちかつゆ
熊野古道ちかつゆ 櫻の園
熊野古道の宿 近露そら
ゲストハウス あがえ
ゲストハウス 豊舟
などがあります。

3泊4日 ②

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子
3日目 道湯川橋~本宮大社(健脚向け)

3日目のコースは、峠越え2つを含み、距離は約17kmの健脚向けです。

4泊5日 ①

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子
3日目 発心門王子~本宮大社
4日目 川舟下り~速玉大社→大門坂~那智の滝

4日目は少し過密になりますが、1日で十分回ることができます。
お泊りは那智勝浦エリアの宿がオススメです。

4泊5日 ②

ガッツリ歩きたい方はこちらです。

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子(または継桜王子)
3日目 道湯川橋~本宮大社
4日目 川舟下り~速玉大社→大門坂~那智の滝

5泊6日 ①

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子
3日目 発心門王子~本宮大社
4日目 川舟下り~速玉大社~神倉神社
5日目 大門坂~那智の滝

4日目に神倉神社を加えたプラン。
無理なくゆっくりと楽しみたい方向けです。

5泊6日 ②

1日目 滝尻王子~高原
2日目 高原~近露王子
3日目 道湯川橋~本宮大社
4日目 小雲取越
5日目 大雲取越

中辺路最大の難所・大雲取越を含んだ健脚向けです。
3日目は、体力と脚力に自信のある方なら、近露~本宮大社(約25km)を歩くことも可能です(この場合は遅くとも7時半には出発しましょう)

他のルート

現在は中辺路中心となっていますが、当時の巡礼気分を味わいたい方には、紀伊路と組み合わせるプランもいいかと思います。

日本人であれば、まとまった日数を取ることは難しいと思いますので、分割して歩かれるといいと思います。

紀伊路であれば、下記を先ほどの中辺路と組み合わせれば、さらに熊野古道を楽しむことができます。
紀伊路は基本的に駅から駅まで歩くことができますので、アクセスは中辺路よりも断然便利です。

1日目 藤白坂(海南駅~加茂郷駅)
2日目 紀伊宮原駅~湯浅
3日目 切目駅~南部駅

また、大辺路にも長井坂や八郎峠など、魅力的なコースがあります。
ただ、アクセスが悪いので、ガイドや和歌山地域通訳案内士会が車両でお送りする形にてご対応させていただきます。

詳しいお問い合わせは、和歌山地域通訳案内士会まで。

アクセスについては、こちらもご参照ください。
熊野古道 大阪からのアクセス

 

熊野古道 大阪からのアクセス

熊野古道といっても、どのコースを歩くかによってアクセスも違ってきます。

今回は、コース別のアクセスについてご紹介します。

オススメコースを北から順に行ってみましょう。

藤白坂(海南駅~加茂郷駅)

藤白坂は、「熊野の入口」とされていた海南市に位置する熊野古道です。
国の史跡に指定されている藤白神社(藤白王子)や、鈴木家が日本に広まったきっかけになった鈴木屋敷などがあり、紀伊路では珍しく古道らしさを残した美しいコースです。

新大阪から特急くろしおに乗車し、海南駅で降車してください。
または快速に乗車して和歌山駅で乗り換え、海南駅で降車。

終点ですが、健脚の方は紀伊宮原駅まで歩くことが可能です。

健脚度にもよりますが、紀伊宮原駅までは7時間くらい見ておいたほうがいいでしょう。

橘本土橋(きつもとどばし)からは、加茂郷駅まで歩くか、タクシーを呼んで加茂郷駅まで行くかになります。
タクシーはこちら(有交タクシー)
073-471-3333
加茂郷駅に1台常駐していますので、タクシーがあれば10分程度、出払っていてタクシーがない場合は海南駅から配車をしてくれます(20分程度で来ます)

加茂郷駅まで歩けば約1時間、タクシーを呼べば約10分で1500円くらいです。

加茂郷駅は普通電車しか止まりませんので、海南駅で特急に乗り換えか、和歌山駅で紀州路快速に乗り換える必要があります。
普通電車は1時間に2本は運行されています。
加茂郷時刻表

紀伊宮原駅~湯浅

醤油発祥のまち、湯浅へ至るコース。
途中には糸我峠があり、そこからは眺めのいい景色を見ることができます。
また、古道からは外れますが、雲雀山を通って糸我峠に至るルートも、健脚の方にはオススメです。
湯浅に着いたら、重伝建地区の湯浅のまち歩きを楽しむのもいいですね。

紀伊宮原駅までは、和歌山駅から約35分です。

湯浅駅では特急が止まります。

滝尻~高原(たかはら)

ここからは中辺路ルートです。

紀伊路はJRの駅から駅に歩けるので、さほど難易度は高くないですが、中辺路はバスの利用も入ってくるため、少々複雑になります。

このルートは、紀伊田辺駅で降車したあと、発心門王子行き、または道の駅奥熊野本宮行き、あるいは新宮行きのバスに乗車し、「滝尻」で降りればすぐ滝尻王子ですので、さほど注意すべき点はありません。
紀伊田辺駅から滝尻方面バス時刻表

ただし、高原で終了した場合、高原にはバス停がありませんので、お帰りになる場合は30分かけて栗栖川バス停まで歩いて下りなければなりません。
栗栖川~紀伊田辺駅バス時刻表

高原で宿を取って、翌日続きを歩くのが一番便利ですが、もし当日に高原から歩きたいのであれば、栗栖川でバスを降りて高原まで歩いて上るか、紀伊田辺駅からタクシーを利用するしかありません。

近露~本宮大社

この辺りになると、大阪から公共交通機関を使っての日帰りは難しくなります。

外国のお客様は、だいたい近露で宿を取り、翌日はバスに乗って道湯川橋まで移動し、そこから古道に入って本宮に至るコースを取ることがほとんどです。

近露から本宮大社まで、一気に歩くのであれば、25km、8~10時間を見ておかないといけませんので、ご自身の体力や日没時間と相談して、無理のない計画を立てましょう。

近露で宿を取って道湯川橋から歩く場合、朝7:23のバスに乗車する必要があります。

道湯川橋までは約10分です。

あるいは、9:07のバスに乗車し、小広峠で降車、道湯川橋まで歩いて古道に入るという方法もあります。
小広峠からは国道311号線を5分ほど歩きますので、車には十分気をつけてください。

道湯川橋から本宮大社までは約17kmあります。
途中には2つの峠越えがありますので、体力に自信のない方は、朝早くに出発することをお勧めします。

発心門王子で終了する方法もありますが、バスがあまり来ないので時間を合わせるのが難しいです。
発心門王子~紀伊田辺駅バス時刻表
タクシーも呼べなくはないですが、本宮には1台しか常駐しておらず、その1台が出払っていれば新宮からの配車になりますので1時間程度かかります。

赤木越

赤木越は、本宮を周回するコースの一部で、大日越と発心門王子~本宮大社につながっています。

湯の峰温泉、または発心門王子のいずれかからでも出発はできますが、赤木越だけを歩くのであれば、発心門王子から出発し、湯の峰温泉で終了することになります。

湯の峰温泉に宿泊されているのであれば、8:00または8:56発、発心門王子行きがありますので、それに乗車します。
車で来られている方でも、湯の峰温泉駐車場(無料)に駐車しておけますので、そこから同じバスに乗ることができます。
奈良交通(バスナンバー302)の11時台のバスに乗車し、一旦本宮大社前で乗り換えて午後から歩くことも可能です(平日と土日祝・年末では時刻が違いますのでご注意ください)
赤木越バス時刻表

大日越

大日越は、本宮と湯の峰温泉を結ぶルートで、距離は約2km。

本宮から出発しても、湯の峰温泉から出発しても、どちらでも構いません。

もし、午後に本宮に到着され、翌日すぐに別のコースに行く場合や、すぐにお帰りになる予定の場合は、この日に大日越の古道歩きに、本宮のお参りを前後に入れることもできます。

バスは本宮大社前、湯の峰温泉のいずれからも出ていますので、ご自身のスケジュールに合わせてどちらからスタートをするのか決めるといいかと思います。
大日越バス時刻表

小雲取越・大雲取越

この2つのルートは、2日かけて歩くのが通例です。

外国の方は小雲取越→大雲取越の順、日本人は大雲取越→小雲取越の順に歩くことが多いです。

小雲取越→大雲取越の場合は、請川、または下地橋(しもじばし)でバスを降りれば、小雲取越の入口付近です。
小雲取越バス時刻表

宿泊は小口(こぐち)エリアになりますが、宿が限られているため、小口に泊まれない場合は新宮市高田に宿泊する場合もあります。
高田グリーンランド

大雲取越→小雲取越の場合は、那智勝浦からのスタートになります。

紀伊勝浦駅からバスまたはタクシーに乗車をして、那智大社から歩き始めます。
バスの場合は那智大社の参道を歩いて行かなければなりません(約15分)
タクシーの場合は、青岸渡寺の防災道路を通行できますので、大雲取越の入口付近まで送ってもらえます。
大雲取越バス時刻表

那智大社付近では美滝山荘で宿泊すれば、参道を歩くことにはなりますが、紀伊勝浦駅からの移動の手間は省けます。

紀伊勝浦駅から那智山バス停までは約30分かかります。

大雲取越は中辺路最大の難所ですので、時間には余裕をもって計画を立ててください。

大雲取越単独で歩く場合

あまりこういったケースはないかもしれませんが、大雲取越だけを歩く場合のアクセスもご紹介いたします。

本宮方面からであれば、本宮大社前からバスは出ていますが、湯の峰温泉や川湯温泉は通りませんのでこの便はあまり使えません。
湯の峰温泉や川湯温泉からであれば、6:35本宮大社前発の便であれば乗車可能です。
ただし、神丸(かんまる)で乗り換えに約40分待たなくてはなりませんので、かなり不便です。
現実的にはタクシーを予約しておりて直接小口を目指す形になります。

新宮方面からであれば、新宮駅発7:10の便に乗車すれば、小口に8:06着です。
時刻表

熊野古道 歩行時間の目安

初心者の方は特に、熊野古道の歩行時間が気になるところかと思います。

今回は歩行時間の目安をお伝えいたします。

結論から言うと、健脚の方で1kmを15分~20分、あまり歩きなれていない方や初心者の方は20分~30分見ておけばいいかと思います。

私たちガイドは、途中でお話をしながら歩きますので、1kmの目安は30分です。

中辺路の場合、アップダウンが結構ありますので、当然平坦な場所と上り坂では1kmあたりの所要時間は変わってきます。

下記にコースごとのだいたいの目安(あくまでも目安です)を記載しておきますのでご参考にされてください。

コース距離(km)所要時間
滝尻~高原3.92.5~3
高原~近露王子9.44~5
近露王子~熊野本宮大社258~10
継桜王子~熊野本宮大社227~9
道湯川橋~熊野本宮大社176~8
大日越21~2
赤木越83~5
小雲取越135~7
大雲取越14.57~10
大門坂~熊野那智大社~那智の滝2.52.5~3

上記は本当に目安ですので、己を過信せずに、計画は余裕を持って立ててください。
一応、最大の時間まで記載をしていますが、「例外」もあります。
私がご案内したお客様の中では、例えば滝尻~高原に4時間、高原~近露王子まで8時間かかってしまった方もいます。
ご自身の体力とも相談して計画を立ててください。

また、秋から冬にかけては、山の中は夕暮れが早いです。
なるべく16時には山から出られるようにしましょう。

こちらの地図が非常に詳しいです。
https://www.tb-kumano.jp/kumano-kodo/maps/

熊野古道は何県にある?

北郡越(ほくそぎごえ)

熊野古道について、素朴な疑問にお答えいたします。

今回は、熊野古道は何県にあるのか?という疑問です。

よく見かける記事では、まず「そもそも論」から入って結論は後・・・というものが多いですが、私は結論からいきます(笑)

熊野古道は和歌山県、大阪府、奈良県、三重県の4県にまたがっています。

大阪の窪津を起点とし、山中渓を経て和歌山県に入ります。

和歌山県では、田辺市でさらに中辺路と大辺路に分かれ、中辺路は紀伊半島を横切る形で、大辺路は紀伊半島の海岸線を通ります。

中辺路を通ればまず本宮大社に、大辺路を通れば那智大社に到着します。

一方、真言密教の聖地・高野山に端を発し、奈良県を通って熊野本宮大社に至るルート、小辺路があります。

出発と終点は和歌山県ですが、小辺路の大部分は実は奈良県を通っています。

小辺路は1000m級の峠越えを3回しなければならない、熊野古道の中では厳しいルートです。

次に、伊勢の神宮から三重県の主に海岸線を通る伊勢路があります。

伊勢路は三重県熊野市有馬で、本宮大社に向かうルートと、速玉大社に向かうルートに分かれます。

本宮大社に向かう道を「本宮道」と呼びますが、これまでの海を眺めながらの景色とは一変し、山中を歩くようになります。

そしてもう一つ、奈良の吉野から、熊野本宮大社に至る道、大峰奥駈道があります。

この道は修験者の修行の道であり、そもそも熊野古道を拓いたのはこの修験者であったとされています。

この大峰奥駈道が最も厳しいルートです(私はまだ歩いたことがありませんが・・・何か気が乗らないんですよね)

奈良の吉野は桜で有名ですが、これは修験道の開祖・役行者が最初に蔵王権現を感得した時に桜でそれを彫ったということにちなんで、桜が修験道のご神木となったためです。

以後、信者が桜を次々に植え、現在のような桜の名所になったそうです。

ちなみに、本宮大社の旧社地・大斎原(おおゆのはら)から、山中に大峰奥駈道を見ることができますが、一番分かりやすいのは桜の開花時季です。

ここにもたくさんの桜が植えられています。

このころになると、山がピンクに染まるので一目でわかります。

そもそも、「熊野古道」という呼称も昭和になってからのもので、以前は「熊野道」とか「熊野街道」などと呼ばれていました。

大辺路などでよく見かける道標地蔵には「右 くまのみち 左 やまみち」などと刻まれています。

考えてみれば、当時の人にとっては「古道」ではなく「現役の道」なわけで、「古道」という発想は生まれなくて当然と言われれば納得します。

また、大阪では「熊野古道」よりも「小栗街道」と言ったほうがピンと来る方が多いようです。

小栗とは小栗判官のことで、照手姫と結婚をしたまではよかったのですが、それを照手姫の父に無断でしたことにより父の怒りを買い、毒殺されてしまった人物のことです。

しかし、小栗判官は閻魔大王によって餓鬼阿弥となりこの世に生き返らされ、本宮の湯の峰温泉で見事に復活し、照手姫とも再開し、めでたし、めでたしというお話(かいつまみすぎ)によるものです。

その小栗判官が引き車に引かれて通った道が熊野古道とリンクしている部分があり、それを「小栗街道」と呼んでいます。

小栗判官と照手姫の物語や、小栗街道については、またの機会に詳しくお話をしようと思います。

ということで、熊野古道は和歌山県、大阪府、奈良県、三重県にありますというお話でした。

熊野古道 初心者にオススメのコース

初心者でも歩ける熊野古道のコースってどこがあるでしょうか?

一口に熊野古道と言っても、紀伊路、中辺路、大辺路、小辺路、伊勢路とあり、和歌山県はもちろん、大阪から奈良県、三重県広範囲にわたります。

おそらく、現在は「熊野古道」と言えば中辺路をイメージする方が多いと思います。

しかし、中辺路は結構起伏が激しく、初心者でも歩けるコースというものが少ないルートでもあります。

ただ、厳しい道だから現在まで古道らしい道が残ったとも言えます。

「そうは言っても歩きたい」という方のために、その中でも比較的易しいコースをご紹介いたします。

牛馬童子口~継桜王子

1つ目は、牛馬童子口~継桜王子です。

中辺路のシンボル・牛馬童子像、近露の集落を見渡す美しい景色、最後には野中の一方杉と野中の清水と、変化に富んだ景色を楽しみながら歩くことができます。

野中の集落に上る楠山坂は少々キツいかもしれませんが、比較的なだらかで歩きやすいコースです。

詳しくはこちら

継桜王子では、毎年11月3日の午後2時頃から、和歌山県無形民俗文化財の「野中の獅子舞」が奉納されます。

発心門王子~本宮大社

2つ目は発心門王子~本宮大社です。

熊野古道には「王子」と呼ばれる神社があり、かつての上皇・法皇、貴族たちは道中の王子で旅の安全を祈願しながら熊野三山を目指しました。

その王子の数は102とも言われており、「九十九王子」と称されています。

その九十九王子の中でも最も格式の高い王子社として崇められているのが「五体王子」です。

その五体王子の一つである発心門王子を出発し、熊野三山のひとつ、熊野本宮大社を目指すコース。

厳しいアップダウンはほとんどなく、また、集落を歩いたり、森の中を歩いたりと、こちらも変化に富んだ景色を見ながら歩くことができます。

道中の「森のベッド」は森林浴にはうってつけの場所です。

本宮大社の旧社地・大斎原では、日本一の大鳥居があり、見る者を圧倒します。

詳しくはこちら

高野坂

新宮市内にある熊野古道。

距離は非常に短いですが、古道らしい雰囲気と、中辺路では珍しく海を見ながら、潮騒を聞きながら歩くことができるコースです。

ちょっと寄り道をすれば、「鯨山見跡」からは太平洋を一望することができます。

こちらでは熊野速玉大社から歩くようになっていますが、路線バスで「広角(高野坂)」で降りて少し歩けば高野坂の入口に行くことができます。

お帰りは、JR三輪崎駅、または三輪崎駅前バス停から新宮・勝浦方面に行くことができます。

大門坂~那智の滝

約650mに渡って石畳が敷設されている大門坂から、熊野三山のひとつ、熊野那智大社、そして那智の滝にいたるコース。

大門坂から那智大社までは約1.3km。
ほとんどが上りですので、少々きついかもしれません。
また、那智大社から那智の滝までも同じくらいの距離を今度は下りますので、足にくるかもしれませんが、大門坂沿いの杉の巨木と石畳が醸し出す雰囲気と那智の滝は、訪れる価値のあるところです。

これらのコースを自分たちで歩くこともできますが、ガイドと一緒に歩くと、もっと深く熊野について知ることが出来ますよ。

お問い合わせは和歌山地域通訳案内士会まで。