多様な文化的背景の違いを理解する25

ハチ刺され

那智の大門坂から那智大社に向いて歩いていた時でした。
大門坂を上りきり、熊野交通のお土産物屋さんがある所に差し掛かった時、突然お客様が叫び声を上げました。

「ハチに刺された!」

飛び去るハチを見ましたが、キイロスズメバチでした。
このキイロスズメバチ、私も上高地の河童橋を歩いている時に、歩いているだけで刺された経験があります。

ハチに限らず、虫に刺されるケースがたまに発生します。

蚊やアブなら虫刺されの薬を塗れば事足りますが、ハチにいたっては「特効薬」なるものが存在しないので対処に困ります。
ポイズンリムーバーは持っていましたが、効果のほどは定かではなく「効かない」という見解もありますが、何もしなければ「あのガイドは何もしてくれなかった」とクレームの対象になる可能性があります。

そこでポイズンリムーバーで「パフォーマンス」をし、虫刺されの薬を塗って対処しましたが、はっきり言って、そんなことをやっても効かないでしょうね。

薬局で聞いてみたところやはりハチ刺され専用の塗り薬というものはないということでした。
とりあえず、一番効果が期待できるものを持つようにしています。

【指定第2類医薬品】ムヒアルファEX 15g ※セルフメディケーション税制対象商品

ガイドの持ち物については、こちらを参照してください。

https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2020/05/09/%e7%86%8a%e9%87%8e%e5%8f%a4%e9%81%93%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%81%ae%e6%8c%81%e3%81%a1%e7%89%a9/

多様な文化的背景の違いを理解する24

身内の死

ツアー中に、お客様の弟さんが亡くなったという知らせが入りました。
そのお客様はツアー3日目に急遽帰国することになりました。

男湯、女湯間違い

男湯、女湯で違う趣を楽しんでいただくため、ある一定の時間で男湯と女湯を入れ替える宿があります。

なので、たとえば前日に入った男湯が、翌日の朝には女湯に変わっています。
宿に到着した時、宿からはその説明があるのですが、おそらくこのお客様(男性)はきちんと聞いていなかったのでしょう。
朝、そのお客様がお風呂からあがり、脱衣場で女性客とばったり鉢合わせになったそうです。

この日はそのお客様たちと宿で待ち合わせということになっていたので、自宅から車を走らせていたる時に電話がありました。

「メンバーの一人が間違って女湯に入り、女性客と出くわしてしまった。これ以上ここにいるわけにはいかないので帰国することにした。今日と明日の歩きはキャンセルにしたい。すまないが紀伊田辺駅までタクシーを呼んでくれないか」という内容でした。

この知らせを聞いて正直、驚いたと同時にホッとしました。
なぜなら、この記事を含む直近2つのトラブルは、同じお客様だったからです(笑)

https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2021/02/05/%e5%a4%9a%e6%a7%98%e3%81%aa%e6%96%87%e5%8c%96%e7%9a%84%e8%83%8c%e6%99%af%e3%81%ae%e9%81%95%e3%81%84%e3%82%92%e7%90%86%e8%a7%a3%e3%81%99%e3%82%8b%ef%bc%92%ef%bc%92/
https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2021/02/08/%e5%a4%9a%e6%a7%98%e3%81%aa%e6%96%87%e5%8c%96%e7%9a%84%e8%83%8c%e6%99%af%e3%81%ae%e9%81%95%e3%81%84%e3%82%92%e7%90%86%e8%a7%a3%e3%81%99%e3%82%8b%ef%bc%92%ef%bc%93/

タクシーの予約をし、私は最後のお別れをするため紀伊田辺駅で待つことにしました。

本当にすまなかったと侘びてくれ、「まだ歩いていないところがあるから、まだ絶対に戻ってくる」と言い残し、彼らは田辺駅を後にしました。

正直、この人たちを二度と案内したくありません(笑)

この他にも、ツアー初日の午前中(この日は午後から会う予定)に、「昼まで時間がたくさんあるから、今から田辺市内を案内してくれないか」と言われたり、宿は個室にしてくれとか、継桜から本宮大社までの翌日の出発時間に異議を申し立てられたりと、ツアー中は散々振り回されました。

こういったお客様の傾向として、初日から面倒なことを言ってくることが多いです。
なので、お客様がどういった感じの人たちなのかは初日でだいたい判断がつきます。

「あ、今回は面倒なことが起こりそうだな」と身構えると、少しはダメージが楽になりますよ(笑)

多様な文化的背景の違いを理解する23

二日酔い

朝、約束の時間に宿に行くと、「相談がある」と言われました。

話を聞くと「昨日酒を飲みすぎて二日酔いで歩けない。でもスタンプは欲しいので誰かスタンプを押す人を雇ってくれないか」と言われ唖然としました。

人間、予想もしないようなことが起こると咄嗟の判断ができなくなる時があります。

このお客様たち、いや、コイツらはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを歩いており、「次は熊野古道」ということで、共通巡礼証をもらいに来ていました。
なので、熊野古道の達成条件をクリアするためにどうしてもスタンプが欲しい、しかし歩けないという、何とも甘えた奴らでした。

私はここで大きな後悔をすることになります。

スタンプを押す人間などその日に急に言われて雇えるわけもなく、結局わたし一人が歩いてそのコースのスタンプを押し、彼らには本宮大社で待ってもらうことにしました。

何であの時そのような判断をしたのか、自分でもよく分かりません。

きっぱりと突っぱねて叱りつけてやるべきでした。

そして、「ズル」をしてコイツらは巡礼を達成するのかと思うと腹が立って仕方がありませんでした。

本宮大社で神妙な面持ちで太鼓を叩いている奴らの姿を見て、何とも情けない気持ちになりました。

いくら楽しみに来ているとは言え、旅であっても、ましてや熊野古道を歩くのですから、健康管理を自身の責任ですることは当たり前のことです。
それが出来ていない人は、歩く資格はありません。
子供ではないのですから、それくらいのことはわかっていて当然です。

多様な文化的背景の違いを理解する22

薬切れ

来日の10日前に、お尻の手術を受けたお客様がいました。
よせばいいのに、まだ傷口がきちんとふさがっていない状態で、抗生物質の投与をしながら日本に来てしまいました。

話を聞くと、彼は5人グループのオーガナイザーで、行程管理は彼が握っていたのでどうしても来なければいけなかったらしいです。
ちなみに、このグループは彼以外すべて大会社を経営する社長さんたちでした。

ツアーは5日間でしたが、2日目くらいから彼のお尻が痛みだしたようで、継桜に到着するや「マッサージはないか?」と聞いて来ました。

「あるわけ無いやろ」といいたかったですが、「一生懸命探している」というパフォーマンスはしなければならないので、宿の人に聞いたりしていました。

それはさておき、3日目にいよいよその抗生物質が切れたらしく、かなり痛がっていました。「薬局に連れて行ってくれ」と言われたので本宮の薬局にお連れしたのですが、抗生物質は医師の処方箋がないと出せないと言われ、その旨を伝えると今度は「病院に連れて行ってくれ」と言われました。

しかし、この日はあいにく土曜日。
本宮のクリニックが開いているはずもなく、私もどこが一番近いかを聞くために消防署に尋ねたところ、新宮か田辺だという回答でした。

新宮へは車で45分、田辺は1時間以上かかります。

新宮の当番の病院に電話をすると、あいにく対応できる医師が帰ったところでした。
そうなれば、車で1時間以上かけて田辺に行くしかありません。

そのことを彼に伝えると「ここは日本だろ!コロンビアではない!」と激怒し始めました。

そんなことを言われても、ここは田舎。
仕方ないものは仕方ありません。
どうも彼は、日本ならどこでも気軽に抗生物質を手に入れることができると思っていたらしいのです。

明日なら新宮の◯◯という病院が開いている。それまで我慢できるか、と聞いたところ「我慢できる」と観念したため、翌日お連れをしましたが、手術を施した担当医とチャットでやり取りをしていたところ、その医師から「帰国命令」が出て敢えなく帰る羽目になってしまいました。

せめて日本滞在期間分の薬は持って来い!(笑)

多様な文化的背景の違いを理解する21

リタイヤ

今まで約600回案内してきた中で4回しか経験がありませんのであまり例がありませんが、たくさんガイドをしていると遭遇するトラブルがリタイヤです。

7泊8日のツアーの4日目、継桜~本宮大社で起きました。

このお客様は、2ヶ月前に足の小指を骨折していましたがほぼ治っており、ツアー3日目までは問題なく歩いていました。
むしろ早い方のグループに混じって歩いていました。

4日目、岩上峠を歩いている時、「今までリタイヤしたお客さんはいるか?」という質問を受けました。
なんかおかしいなと思いながら「いいえ、幸運にも今までありません」と答えると突然泣き出し「やめたいかも」と言い出しました。

やめると言っても山の中です。

今なら1kmほど歩けばバス停がありますが、土地勘のないお客様だけで行かせることはできません。
また、そのお客様をお連れしても歩き組を放っておくことになり、どうしようもありません。
こんな時、ガイドが一人だと何も出来ないのです。

このグループは8人。
中辺路ルートをガッツリ歩く行程です。
旅行会社さん、こんな時は絶対に2人ガイドが必要です。

岩上峠を上りきったところでお客様の両足のふくらはぎが痛み出しました。
なんとかごまかしてお客様を励まし、発心門王子のバス停まで歩いてもらうしかありませんでした。

お客様もよく頑張りました。
ようやくの思いで発心門王子に到着し、バスの時刻を伝え、本宮大社前で待ち合わせる約束をし、電話番号を聞いてお別れしました。
途中、不安なので連絡をします。
もちろん国際電話になりますので費用はバカ高くなります。

このお客様とは別にもうひとり、向こう脛の横に筋肉に違和感を訴えるお客様がいたので、翌日の5日目にクリニックにお連れしたところ「歩き過ぎによる炎症」と診断されました。
話を聞くと、どうやらこのツアーの前に大阪で一日20kmほど歩き回っていたそうです。
それがここに来て発症してしまったようです。

結局、この2人が6日目から離脱。
別行動をしていただきました。

もう一つの例は、滝尻~高原間で起きました。

事前にお客様の一人が喘息持ちという情報がありました。

いざ出発すると、吸引器を取り出して歩き始めました。
嫌な予感が的中、とうとう不寝王子跡で私がリタイヤを進言しました。
このグループは5人。
地図でルートを説明をして残りのお客様を彼ら自身で歩いてもらい、掘割(ほりわり)で待ち合わせをすることにし、私はお客様を連れてもと来た道を歩いて下りました。

下山し、宿に連絡をして迎えに来てもらい、お客様を送り届けたあと、宿の方に再び掘割まで送ってもらいました。
まだお客様が見えていなかった(私がいなくても絶対にここで待つように言っていました)ので、掘割から滝尻方面に向かって歩いていると、お客様と無事会うことができました。

あとの例は、過去に記事がありますので、そちらをご参照ください。

https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2018/12/03/guideexperience-emergency/
https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2020/12/06/%e4%bb%8a%e5%9b%9e%e3%81%ae%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%81%ae%e5%8f%8d%e7%9c%81%e3%81%a8%e8%aa%b2%e9%a1%8c/

普段は楽しいガイドですが、一度リタイヤが出ると対応に追われ楽しい気分が吹き飛んでしまいます。
リタイヤしたお客様は気持ちも沈んでしまいます。
そのお客様をどうやって最小限のダメージで抑えるか、また、いかに残ったお客様を楽しませるか、不安にさせないかがガイドの力量を問われるところだと思います。

多様な文化的背景の違いを理解する⑳

道間違い

熊野古道で案内をしていると、大なり小なりおそらく誰もが経験することだと思います。
道を間違うことは本来あってはならないことですが、所詮人間なので間違うこともあります。

肝心なのは、間違った時にどのように対処するかです。

道を間違ったなら、正直に間違ったことを伝えれば、お客様は許してくれます。

ここで嘘を言ってごまかすということは止めておいたほうがいいでしょう。

また、道間違いではないですが、自分が歩いたことのない道を案内することはやめておきましょう。

骨折・打ち身・転倒

熊野古道を歩いていると、避けては通れない事故です。

私の経験でいうと、バスツアーで瀞峡の案内をしている最中で起こりました。

・・・この文言だけでは「は?」となりますが、骨折は期せずして起こることがあります。

ツアー中、船から下りて途中休憩するポイントがあります。
そこでトイレをしたり、写真を撮ったりして約15分過ごしますが、その休憩中に事故は起こりました。

行かなくてもいい階段を上り、下りてくる途中で滑って転倒し手首を傷めてしまったのです。
この時、悪いことは重なるものです。
私の携帯は、この休憩中に落として画面を割っており、使い物にならなくなっていました。
そこで、ジェット船の運転手さんに携帯を借りました。

下り坂、特に石畳や小石が多い所では要注意です。
別の事例になりますが、この時お客様とおしゃべりをしながら石畳を下っていて事故が起きました。
この日はちょうど前日からの雨で路面がまだ濡れており、滑りやすい状態だったのです。
今なら、下りの前にはお客様に十分注意を促しますが、その頃の私はまだ駆け出しの頃で、その注意喚起をすっかり失念していました。
そんな時に限って事故じゃ起こるものです。

お客様は肘を強打し、その肘が腫れてきました。
しかし、現場は山中で周りには何もない所でした。
アイシングするにもそんな道具は持っておらず、沢の水にハンカチを浸して患部に当てることくらいしかできませんでした。

以後、私は下り坂ではおしゃべりをしないようにしています。

しかし昨年、その緊張が解けた時に、再び事故が起きました。
気を許してついおしゃべりをしてしまったことによって、お客様も気が緩んだのでしょう。
転倒した時に足を捻って骨折してしまいました。

事故というものはだいたい、気の緩みから起こります。

逆に、注意をしている時はあまり起こった経験がありません。

オーストラリアのお客様をお連れしている時、お客様がどうしても16時に本宮大社に到着したいとの申し出がありましたが、このままでは無理だということをお伝えすると、「じゃあ、走ろう」とお客様から言われました。
よせばいいのに「では行きましょう」と言った私が馬鹿でした。

道中、お客様が木の根に引っかかって前のめりに転倒し、そこにあった石に口をぶつけてひどい出血が始まりました。

しかし、不幸中の幸い?で、このお客様が医師だったこともあり、「自分で手当をする」と言って、ガーゼと新しいペットボトル入りの水をお渡しすると、自分で処置をしてくれました。

「I was stupid.」と言っていましたが、お客様を走らせたことによって怪我をさせた私の方が愚かでした。

あと、私の団体のガイドの案内中に、お客様が木の根に引っかかって転倒し、その際に手を突っ張って骨折したケースもあります。

また、木の根は雨が降ると滑りやすくなりますので、さらなる注意が必要です。

多様な文化的背景の違いを理解する⑲

食べ物(食事制限のメニューが出される)

欧米のお客様は食事制限のある方が多いです。
単なる好き嫌いもありますが、中には重篤な症状を引き起こすことがある場合がありますので特に注意が必要です。

お昼のお弁当は、おにぎりといった簡単なものが多いのであまりないですが、スルーガイドなどで宿で出される夕食ではたまにお客様がダメなものが出されるという事があります。

これには2つの理由が考えられます。
まずは旅行会社から宿に情報をお伝えしているにも関わらず、宿が失念してしまっている場合です。
お客様がダメなメニューが出てきてしまった場合は、宿の方にお伝えはしますが、だいたいの場合は代わりの物が用意できず、そのお客様は普通のお客様よりも少ない品数で・・・ということがほとんどです。
こうなってしまうと、せっかく旅のひとつの楽しみでもある食事の時間が台無しになってしまいます。
自分が食べる物が少なくなって怒るお客様はいなかったですが、やはり心の中は穏やかではないはずです。

もう一つの理由は、お客様自体が旅行会社にすら伝えていなかった場合です。
たまたまガイド中に食事の話になり「私はこれがダメなの」と、そこで初めて分かる時があります。
依頼書を確認してもそういったことは書かれていません。
当日のメニューがどんなのもか分かっていたので、すぐに旅行会社に電話をして宿に連絡を取ってもらいました。

あと、紛らわしい料理も出さない方が賢明かもしれません。

以前、グルテンフリーのお客様の食事に、米粉で揚げた天ぷらが出てきたことがありました。
それを見たお客様は「これ、小麦でしょ!」と、少し興奮気味でした。
宿のスタッフからは米粉という説明が事前にあったのですが、結局そのお客様は天ぷらをを食べませんでした。

多様な文化的背景の違いを理解する⑱

バス停間違い

バス停間違いは、私がお客様をお連れしている時に間違ったこともありますし、お客様とお別れして、お客様自身で移動する際に起こったりしました。

大きな理由は2つです。

一つは、紛らわしい名前のバス停があったということです。

今は随分と改善されていますが、以前は名前が紛らわしいバス停がいくつかあり、日本人でさえも間違うほどでした。

例えば、「熊野本宮」と「本宮大社前」、「発心門」と「発心門王子」、「大門坂」と「大門坂駐車場」、「那智駅」と「那智駅前」など、たとえ「発心門王子」と旅会社から渡された行程表に書かれていても、バス車内のアナウンスで「発心門」と聞けば降りてしまうでしょう。

また、乗り換えをするのに、降りた場所が同じで違うバス停から

お客様と本宮大社前でお別れし、お客様が那智まで自身で向かうことになっていたので、そこまでのバスをご案内したのですが、うっかり

以前、香港のお客様でしたが、「大門坂駐車場」待ち合わせなのに約束の時間に現れず「もしや」と思い「大門坂」バス停まで歩いて行くと向こうから歩いてくるお客様とお会いしました。
漢字が読める香港のお客様でもこうです。
こういったことが以前はよく起こっていまいた。

ちなみに、現在は「熊野本宮」が「大日越登り口」に、「発心門」が「発心門口」に、「大門坂」と「那智駅前」はなくなりました。
ただ、「発心門口」「発心門王子」は外国人には発音の区別が難しいため、いまだに間違って降りようとする人が跡を絶ちません。
名前を変える前に、うちに相談してくれればよかったのに(笑)

もう一つの理由は、同じ名前のバス停でも、乗り換えの際の降車のバス停と、乗車のバス停が違うということです。

大雲取越の登り口の集落・小口(こぐち)に向かう際、神丸(かんまる)というバス停で降りて乗り換えをしなければなりません。
ここがイレギュラーなバス停で、本宮方面から来て神丸で降りたら、50mほど離れた別の「神丸」から乗り換えなければならない場合があります。
これがややこしいのですが、同じ本宮方面から来ても、朝の便は降りたバス停と同じ所から乗車します。

この、約50m離れたバス停は、新宮方面から来たバス専用です。
まだ駆け出しの頃、本宮方面から来た私たちは、おしゃべりにも夢中になったこともあり、そんなバス停の存在をすっかり忘れ、ただひたすらバスが来るのを待っていました。

完全な思い込みです。

しかし、到着時間が来ても一向にバスは来ません。
5分、10分・・・
「はっ!」と思った時はすでに遅し、新宮方面から来たバスはとっくに走り去ってしまった後でした。

藁をもすがる思いで宿に電話をかけると迎えに来てくれたのでなんとかその場は収まりましたが、夕方の忙しい時間帯に宿の方に余計な仕事をさせてしまい、反省しきりでした。

もう一つの事例は、お客様夫婦が自身で本宮大社前から那智山の宿まで路線バスで移動しなければならない行程の時、別れ際に乗り換えのバス停をご案内したのですが、うっかり「降りたバス停と乗るバス停が違う」ということをお伝えするのを忘れてしまいました。

翌日お会いした時、奥様が「昨日の話をしてあげて」と、ご主人に含み笑いで話し「じつは昨日・・・」と前日に起こったことを話してくれました。
乗り換えるべき「那智駅前」で降りたまでは良かったのですが、那智山方面に行くには同じ敷地内の「那智駅」から乗らなければなりません。
お客様は、降りた「那智駅前」でバスを待ち、やってきた「紀伊勝浦駅行き」に乗って勝浦駅まで行ってしまったそうです。

結局、そこからは那智山方面のバスが出ていますので、チェックイン時間には間に合ったそうですが、申し訳無いことをしてしまいました。

多様な文化的背景の違いを理解する⑰

荷物搬送

熊野古道を歩く際に便利なサービスとして荷物搬送があります。
海外のお客様は特に大きな荷物を持たれて旅をする方が圧倒的に多いです。
そんな荷物を、宿から宿へ当日中に運ぶサービスです。

海外でも、スペインのカミノを歩いた際にはありましたが、あまりお客様には馴染みがないせいか、「ちゃんと宿に届くよね?」と半信半疑のお客様もちらほらいました。
海外では「バゲージロスト」が結構起きているため、不安になるのでしょうね。

そんな荷物搬送でよくあるのが「荷物の増加」です。
まあ、これはトラブルとは言えないですが、旅をしているとどうしても荷物が増えていきます。
荷物搬送は、1個あたりに料金がかかるところがほとんどです。
お客様と会ってからガイドをしている時に、旅行会社から「3個口ですが、4個あるので、追加料金をお客様から現金で預かってもらえませんか」という電話が入ったりします。

あとは「預けるべきところに預けなかった」ということも起こります。
これは特に初日に起こります。

こんな例がありました。

お客様はこの日、自身で大阪から電車で来て、紀伊田辺駅からバスに乗り本宮に移動し、私たちは熊野本宮館でお会いする予定でした。

荷物は電車を下りた紀伊田辺駅近くの店舗に預ける予定でした。

きちんとガイド依頼書にもそのことが書かれていましたので、当然私もそのことは把握していました。

本宮館で待っていると、それとおぼしき3人組が歩いていました。
しかし、荷物を引きずっていたので「これは違う」と思っていましたが、その3人組がお客様だったのです。

事情を聞くと、どうやら熊野本宮館に預けると勘違いしていたようで、紀伊田辺駅近くの店舗に預けずにバスに乗り込んだらしいのです。

当たり前ですが、大きなスーツケースを引きずって熊野古道を歩くことなんてできませんので、紀伊田辺駅からの分はキャンセル(搬送料はお客様都合によるものなので返金なし)で、追加料金を支払って熊野本宮館から湯の峰温泉の宿まで搬送という形になりました。

どちらが悪いとかそういう問題以前に、すでにこの時点でお客様の機嫌は最悪状態でした。

こういった状態からガイドを始めるのは、一旦沈んでしまったテンションを上げて行かなければならないため、その分ハードルが高くなります。
最初はどうなることかと思いましたが、最終的には楽しんでいただけたようでホッとしました。

ちょっと話はそれますが、ある京都のホテルの総支配人さんから聞いたお話でも似たような例がありました。

詳細は忘れてしまいましたが、このようなお話でした。

お客様が京都駅に到着、ホテルまでバスに乗ろうにもどのバスに乗っていいのか分からない。
タクシーに乗ろうにも行列ができていてなかなか乗れない、などのちいさなイライラが募っていたところ、フロントのチェックインではまた行列、そしてついにその怒りがホテルで爆発・・・。
もっとこのお客様をイライラさせる原因があったと思いますが、詳しいことは忘れてしまいました。

この場合、ホテル側にはお客様を待たせてしまったことにも原因がありますが、それより前に「前兆」があったということです。
この場合は、お客様が爆発したことにより、ホテル側が親身になってお客様の話を逐一聞いてあげることによって原因がわかったそうです。
ガイドをする時、お客様とお会いした時点でもし機嫌が悪い感じがするなら、それとなく聞いてみるのもいいのかもしれません。

ただ単に愛想が悪いだけかもしれませんが(笑)

多様な文化的背景の違いを理解する⑯

お客様とのイメージのミスマッチ

これは当法人のガイドから聞いたもので、トラブルと言っていいのかどうか分かりませんが、取り上げました。

「今からこのアスファルトの道を歩くのか?」

フランスのお客様でしたが、このお客様は「熊野古道イコール自然豊かなところをトレッキングする」というイメージがあったようです。
熊野古道のガイドであればそういったところばかりではないという事は知っていますが、中にはこういったお客様がいることも事実です。

このお客様は当日は発心門王子から本宮大社までのコースの予定でしたが、その日のガイドが機転を利かせて急遽すべて自然の中を歩く赤木越に変更をして難を逃れたそうです。

私も「私がイメージしていたものと違う」という話を聞いた事があります。
私たちの認識とお客様との想像にギャップがあることは完全に避けられないですが、ある程度だいたいのイメージが想像できるように事前にお伝えしておく必要はあります。

滑落

お客様の滑落、私の経験で2回あります。

それも同じところで。

石畳などはよく注意をしますが、小石もなかなかの曲者です。
現場は小石がたくさん落ちている下り坂ですが、つづら折れになっているので、落ちたお客様を下から受けたり、木に引っかかって山の下まで落ちるということがなかったことが不幸中の幸いでした。

また、トレッキングシューズによって滑りやすいものがあります。
同じ所で他の人が滑っていないのに自分だけが滑るというようなことがあれば、思い切ってその靴は見切りをつけましょう。
「買ったばっかりなのに」と思われるかもしれませんが、怪我をして痛い思いをして治療代を払うことを思えばかえって安上がりになると思います。

あと、聞いた話では傘を差しながらおしゃべりに夢中になって歩いていた時に、風に煽られて落ちたお客様がいたそうです。
傘差しやおしゃべりは否定しませんが、歩くことがおろそかにならない程度にしておかなければなりません。