お賽銭、小銭はやめましょう

今日は、なぜタイトルのようなことになるのかをお話します。

竹田恒泰さんのYou Tube動画で、ゆうちょ銀行がついにATMへ硬貨で入金するのに、手数料がかかるという内容のものがありました。
おっしゃる通りだと思ったので、その大まかな内容をシェアさせていただきます(最後の部分はわたしの意見?です)

最後の砦、ゆうちょ銀行

他行はすでに硬貨入金に対する手数料を取っていましたが、ゆうちょ銀行が最後の砦でした。
しかし、1月17日から「硬貨1枚につき110円(ATM)」という、とんでもない額を負担しなければいけないことになります。

1円硬貨1枚をATMに預けるだけで110円かかるようになります。
ちょっとひどくないですか?

理由は、たいていのゆうちょ銀行では、ATMは1台しか設置しておらず、硬貨の入金によって時間がかかり、他のお客様の迷惑になるからとか、輸送費、他のコインなどの混入でATMが故障し、その修繕費用がかかるから・・・なのだそうですが、大企業の中で一番儲かっているのが銀行です。

その額はグループごとで1兆円あり、その中の数億円かかるからというのは、おかしな話です。

困惑する事業者

このルールが適用されて一番困るのが、駄菓子屋さん、慈善団体など、小銭を主体として取引をしている事業者です。
その中でも神社は特に打撃を受けるのではないでしょうか。
集まったお賽銭を銀行に預けようものなら、利益が出なくなります。
仮に5円玉をATMに51枚持って行けば、5,355円の赤字です。
窓口は51枚から有料になり、51枚だと手数料が550円かかります。
なので、窓口に預けても295円の赤字です。

5円はご縁?

5円をお賽銭に使う理由でよく言われているのが「ご縁」と「5円」をかけて「ご縁がありますように」というものですが、あれはただのダジャレです。
神社への参拝は、神様のご自宅に訪問するようなものです。
神社は本来、厳密に言えばお願い事をするところではありませんが、お願い事をする人も多いでしょう。
その際に「供物」を持っていきます。
友達の家に行くのにも、手ぶらで行く人はあまりいないでしょう。
何か手土産を持っていきますが、1,000円のものでもちょっとショボいですよね。
そのことを考えると、神様にお願い事をするのに5円って、それは虫が良すぎませんか?

ということで、硬貨の入金は手数料がかかるので、お賽銭はお札にしましょう。

わたしは最近、氏神さんなどにお参りする際は、たいていお札を入れています。
正直、「ちょっと痛いな」と思うこともありますが、不思議とそれが原因で金運が下がるということはなく、むしろお金の回りが良くなったような気がします。
ただ、「これくらい奮発したのだから、これくらいの見返りがあるだろう」という打算が入るとなぜかダメです。
わたしの経験ですが、この打算が入ると後で余計に出費がかさんだりします。
神様はちゃんと人の心はお見通しのようです。
「神社の運営のために」という素直な気持ちで入れたいものです。





ヤマビル来襲

先日、道湯川橋~発心門王子の間で現場研修を行いました。

当初は小広峠からの予定でしたが、折からの大雨と雷で予定を急遽変更し、午前中は座学、午後からはコースを短縮をしました。

岩上峠を上っている最中、「事件」は起きました。

一人の参加者の上着にヤマビルがついていました。

肌に吸い付く前だったので難を逃れましたが、参加した全員がその後襲われ、パニックになる参加者も。

ガイドとしてはこれくらいのことでうろたえることはご法度ですが、あの容姿では無理もないか(笑)

よく「枝の上で獲物が来るのを待っていて、近づいたら落下する」と聞きますが、この日はそれもあったでしょうが、メインは地面からでした。
地面をよく見ると、「ピン」と立ってあたりを探している様子を見ました。

厄介なのは、靴をズボンの裾で覆っていても、その隙間から侵入してくることです。
私は以前それでやられたことがあります。
その時は、姿を確認できませんでしたが、今回は何度も確認することができましたので間違いありません。

以前の記事はこちら↓

https://7875937fbfc6f01c.main.jp/2018/09/26/%e3%83%a4%e3%83%9e%e3%83%93%e3%83%ab%ef%bc%9f%ef%bc%9f%ef%bc%9f/

仮に噛まれたら、その時は痛みは全くありません。
やつらは血が固まらないように「ヒルジン」なる物質を出しながら吸血します。
「満腹」になれば自然に離れて落ちてしまいますが、そのあともしばらく血が止まらないので、結構血まみれになります。

その後、数日間激しいかゆみに襲われます。
これがしつこくて厄介でした。

ただ、唯一の救いは感染症がないということです。
蚊であればジカ熱、デング熱、日本脳炎などの感染症を引き起こす可能性がありますが、ヒルはそういった感染症の報告例がありません。
まれに傷口の細菌から感染症を発症するようですが、ヤマビル由来ではありません。

これまでは、お客様には「熊野古道にはヒルはほとんどいません」と言っていましたが、今後はその説明も変わってきますね。
特にこの区間での降雨時には注意が必要です。わたしが以前やられた区間もここです。
やつらは普段は落ち葉の下などに身を潜めていますが、湿度が上がると活性が上がるようです。

ヤマビル対策

吸い付かれたときの対策としては、アルコール、火気、塩などが有効とのこと。
ただし、塩をふりかけた時、それがトレッキングシューズにかかった場合は傷む可能性があるので、なるべく早い段階で塩を洗っておく必要があります。

予防としては、虫よけスプレーなども有効ですが、2~3時間で効果が消えるらしいので、こまめに散布する必要があります。

こちらのサイトが詳しいのでご参考に。
ヤマビルにご注意を

熊野古道のガイドは「肉体労働+精神労働」

梅の収穫もいよいよ終わりが近づいてきました

5月中旬の小梅の収穫から始まった梅の収穫も、ようやく終わりが見えてきました。
すでに収穫自体は終わっており、後は梅を拾う時に敷いていたネットを上げる作業を残すのみとなりました。

ただ、ネット上げは悪天候だと捗らないので、この2日間はお休みです。
あと1日で終わりそうなのですが・・・

耕作放棄地を何とかしたい

この紀南地方でも梅畑の耕作放棄地が増えています。毎年軽トラックが止まっていた畑に、今年はトラックが止まっていないことに気づき、農家さんに聞くと「あそこは今年からやめた」ということでした。

今行っている畑の隣の畑は、5年ほど前にやめて今は荒れ放題です。そこがイノシシの住処になっています。そこまで荒れてしまうと再起はまず不可能だそうです。
耕作放棄地は害獣・害虫の温床にもなり、他の健全な畑に害を及ぼしますので、なんとかしたいですね。

紀南の主要農作物のひとつである梅にも、後継者問題が大きくのしかかっています。

熊野古道のガイドは「肉体労働+精神労働」

さて、梅の収穫は一番わかりやすい「肉体労働」です。
特に20kg入りのコンテナを提げる作業はけっこうキツいです。
また、拾う作業自体も中腰や、時には這いつくばって拾うことが多いため、これも結構キツいです。
一気に疲労は来ませんが、休日がほとんどない状態ですので蓄積されていきます。
今年は不精をしてしゃがみ歩きを多用したため、両足の靭帯を痛めてしまいました。
ときには腫れて膝が曲がらないくらいまで悪化しましたが、この2日間の休日でかなり回復しました。

これとは対象的に、頭を使う「精神労働」があります。
これはこれで今度は頭をかなり使いますので、肉体労働とは違った疲労感があります。
頭にも「体力」がありますので、例えばその日にあまりにも判断することが多いとすぐに脳が疲れて判断力が落ちます。
ちなみに、「今日はどんな服を着ていこう」と悩むだけでも判断力を使っています。
こうした事態を避けるため、わたしは「私服の制服化」をしています。
朝に「どれを着ていこうか」と悩むことを避けるためです。
同じ服であれば悩むことはありません。
これはスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどもやっていて、多くの人が取り入れていますよね。

さて、熊野古道のガイドはこの「肉体労働」と「精神労働」の両方を使う、結構特殊な領域の職種だと考えています。

熊野古道を歩くことで体力をもちろん使いますし、道中での説明やお客様からの質問に対する応答や危機管理で精神(頭)も使います。
体力もただ「歩くだけの体力」があればいいというわけではなく、「そのコースを余裕を持って歩くだけの体力」が必要です。
いっぱいいっぱいの体力しか持ち合わせていない人は自分のことで精一杯になりますので、お客様の安全やペース配分などに配慮する余裕が生まれません。

たとえばペース配分で言えば、速く歩く分にはほぼ問題ありません。
お客様にとってそのペースが速ければ遅れてくるからです。
そんな時はこまめにお客様の様子を伺いながら余裕を持って歩くことができます。

問題は逆の場合です。
自分では限界のペースであっても、お客様は「もっと早く歩きたいのに」と思っているかもしれません。
極端な話、滝尻王子から剣の山まで通常1時間かかるところを30分弱で上ったことがあります(これはやりすぎですが)

しかし、これとは逆に、話すポイントでもないのに自分は上りが苦手だからといって必要以上に一息つきまくりながら歩けば、お客様は余計に疲れてしまいます。

体力はあるに越したことはありません。

現在、ガイドの仕事がほとんどない中ですが、ここで何もせずに過ごすのではなく、この期間に体力を上げておく必要があると思います。
また、今まであやふやだったところを徹底的に研究するのもいいと思います。

今だからこそできることがあります。
それを自分なりに見つけて、常に刀を研いでおくといいと思います。

多様な文化的背景の違いを理解する31

日本語も教えましょう

私達も海外に行くと現地の言葉を少し学びたいと思うように、海外からのお客様も日本語に興味を持たれる方が多いです。

あるお客様をお連れしている時に日本人が見えた時、ご主人が奥さんに「日本語で『こんにちは』って何だったっけ?」とヒソヒソ話をしているのを聞いたことがあります。

熊野古道を歩く時には、道中にたくさんお話をする機会がありますので、日本語の話題を入れると盛り上がる時があります。

簡単な挨拶程度の日本語や、文法の違いなど

話題としては、簡単な挨拶程度の言葉や文法の違いなどです。

例えば、日本語は文末決定型であるとか、和語と漢語と外来語のミックスだとか、名詞の特徴とか、難解な数詞の話などが挙げられます。

和語(大和言葉)は、文脈によって色々な意味に取れるため、契約書には向きません。
一方、漢語は意味が限定されるため、お互いに認識のズレがない漢語で書かれているため、難解な堅い内容になってしまいます。
日本の名詞は性別なし、単複同形という世界で稀に見る言語です。
数詞では「いち、に、さん」という漢語由来の数え方と「ひ、ふ、み」という大和言葉での数え方の両方があり、場面によって使い分けているなどをお話しています。
「ビールひとつ」に対し「1個、2個、3個・・」というなど。

あとは「温泉」「俳句」「柿(スペインなど)」「将軍」など、日本語がそのまま英語になっているものもあります。

英語の単語の羅列で覚えてもらうことも

あと、外国語は、聞き取りや発音が難しいため、母語に似た発音で紹介すると、よく覚えてもらえます。

私が「これはいいな」というのをあるツアーリーダーさんから聞いた中で「いただきます」を「Eat a duck I must」というものがあります。
この発想は、純粋な日本人であればなかなかできないでしょう。

質問に答える

日本を旅していると、よく耳にする言葉を覚えてしまうことがあります。
その中で疑問に思われることがある日本語の代表例として「ありがとうございます」と「ありがとうございました」があります。

英語などでは日本語の「ありがとうございます」「ありがとうございました」のような使い分けをしません。
例えばレストランに入店した時は「ご来店ありがとうございます」といい、食事が終わり、店を後にする際には「ありがとうございました」というのは日本人であれば理解できます。
英語ではともに「Thank you.」です。
この違いが外国人には理解不能のようです。

場面によって使い分けていることを、上記のような例を出せばよく分かってくれます。

日本語では疑問形の場合語尾を上げるのか?とか、漢字は全部でどれくらいあるのか?とか、日本ではアルファベットのような文字は何文字あるのか?とか、「ございます」はどのような時に使うのか?など、これまでたくさんの質問を受けてきました。
その多くは、日本人にとってあまり気にしたことがないようなことであり、初めて質問を受けた時に「?」となることも多いです。

しかし、こうして外から日本語を見ることにより、改めて日本語の面白さに気付かされることも多いです。

みなさんも日本語を外国語として見る習慣をつけると、新たな発見があったり、お客様に説明できる引き出しが増えると思いますよ。

さて、これまで31回に渡り「多様な文化的背景の違いを理解する」についてお話させたいただきましたが、いかがだったでしょうか?

ぜひ今後のガイドにお役に立てていただければと思います。

ありがとうございました。

多様な文化的背景の違いを理解する30

お役立ちフレーズ③

I will have been

お客様から一番受ける質問の中に「How long have you been a guide?」というものがあります。
単に「5 years」と答えてもいいですが、「I will have been a guide for 5 years this November.」のように、未来完了で答えることもできます。

at the very end of

「一番向こうの山」と言いたい時などに便利です。
「at the very end of the mountain.」のような言い方ができます。

at the bottom of

「at the very end of」と用法は同じです。
「at the bottom of that mountain.」で、「あの山のふもと」となります。

it takes about

「あとどれくらいかかる」と具体的に言う場合に使います。
「some more」ばかり言っていると「あなたは『some more』ばかりだ」と言われてしまいます。

it took us about

it takes about に似ていますが、こちらは「私達はこれくらいの時間がかかった」という場合に使います。
It took us about 3 hours for 7 km. Considering the pace, we will be arriving at Hongu Taisha at around 5. のように使います。

Just around the corner

「すぐそこ」という時に使います。
本当にそこならいいですが、「some more」同様、多用は禁物です。

Have you ever heard of ~

「~について聞いたことがありますか?」は日本文化などを説明する際などによく使います。
「聞いたことがある」となれば、簡単な説明で済ませることができます。

We have another ~

「あと何分ある」という時に使います。
「We have another 15 minutes for the next bus.」など。

Let’s let them pass.

熊野古道を歩いていると、時折別の人たちが抜いて行く場合がよくあります。
広い場所であれば難なく抜くことができますが、狭い場所であれば意識的にこちらが譲ってあげなければ抜くことができないために、こう言って一旦止まって道う譲るように促します。

Could you make way for ~

これも「道を譲る」という意味で使いますが、この表現は自分のお客様にも使えますし、自分たちが別の人たちを抜く時にも使えます。

It was nice meeting you.

お別れの際の挨拶です。

Enjoy the rest of your trip.

欧米のお客様は、10日~2週間かけて日本を回ることが多いです。
熊野古道の次に高野山に行ったり、京都に行ったり、直島に行ったり、宮島に行ったり、東京に行ったり・・・と結構てんこ盛りに回ります。

私は、お客様が無事に回れるようにとの念を込めて最後の挨拶に添えています。

以上、簡単な表現ばかりで恐縮ですが、熊野古道のガイドをしていてよく使う表現を中心に挙げさせていただきました。

多様な文化的背景の違いを理解する29

お役立ち単語・フレーズ②

熊野古道やトレッキングなどでよく使う単語を集めてみました。

viewpoint

見晴台。
熊野古道にも所々あります。

saddle

鞍部(あんぶ)です。
鞍部とは、稜線が窪んでたわんでいる所を指します。

gazebo

あづまやです。
「ガズィーボ」と発音します。

top と bottom

これらの単語も良く使います。
歩いている時、あるいは、山の稜線を指しながら説明をする時など。

cedar と cypress

スギとヒノキです。
熊野ではこれらの木の植林が多いので多用します。
スギですが、厳密に言うと日本固有種なのでcedarではなく「cryptomeria」ですが、ネイティブでも知らない人が多いため、分かりやすくするためにあえて近似種の「cedar」と言っています。
今まで「これはcryptomeriaではないの?」と言われたお客様は4回ほどしかありません。
この単語が出てくること自体、滅多にありません。

giant hornet

オオスズメバチです。
以前、仲間のガイドから「wasp」という単語を聞いたことがあります。
もちろん当たってはいますが、種の範囲が広い(アシナガバチなどもwasp)ので、ピンポイントでオオスズメバチを指す場合は「giant hornet」です。

pit viper

マムシです。
viperだけでも通じます。
私は子供の頃、これに噛まれて死にかかった経験があります(笑)

仲間のガイドは、間違って「vapor(粒子、蒸気)」と言ってしまい、ポカンとされたことがあったそうです(笑)

他にももっとありますが、マニアックな単語なので、一緒に歩く機会があればご紹介しますね。


多様な文化的背景の違いを理解する28

お役立ちフレーズ①

決まりきった予定は現在進行型で

「~する予定です」の場合、「be going to」や「will」などを使いがちです。
もちろん、行程に変更が生じる場合などは問題ない表現ですが、決まりきった行程の場合は現在進行形を使います。

以前、小雲取越を歩いている時、長い上り坂を歩き終えたあと、お客様から「Are we walking the uphills like this later on?」のように聞かれ、その質問の意味を理解できなかったことがありました。

坂道は状況によってなくなったりするものではなく、順当に歩いていれば必ず訪れます。
なのでここは「We are walking 3 more.」のような返答になります。

コース説明をする場合などは、現在進行形を使うようにしましょう。

「maybe」「some more」の多様は禁物

もうご存知だと思いますが、「maybe」は日本語で「多分」です。
日本語での「多分」は、その確率が30%でも80%でも「多分」ですが、英語の場合の「maybe」は確率が低い時に使うため、あまり使用すると「この人は頼りない」と思われてしまいます。
普段の付き合いでもそうですが、特にこれが「お客様とガイド」の関係となると問題です。
日本語の感覚で「maybe」を多用しないようにしましょう。

あと、「some more」ですが、これはお客様から「あとどのくらい歩くの?」という質問が出た時に「some more」を多用して「君は『some more』ばかり使うが、全然終わりが見えないじゃないか」と言われたガイドがいます。

このような質問があった場合は、「あと10分です」など、具体的に数字で示してあげることが重要です。
お客様は歩いたことがないコースを歩いているわけですので、当然距離感が分かりません。
それが精神的な不安に繋がりますので、具体的な数字で示してあげるという配慮が必要です。
それには、やはり現場のことを熟知しておく必要があることは言うまでもありません。
距離が分かれば、同時に距離を示してあげるとなおいいです。

私は先輩の語り部さんからの「現場100回」という言葉が、深く胸に刺さっています。
それくらい、現場の知識(この場合、距離や所要時間、どこに何があるを知っておくことなど)は非常に重要です。

「15」か「50」か

「finteen」と「fifty」の発音が非常に似ているため、ネイティブ同士でも確認することがあるそうです。
私もよく「15」か「50」かを聞かれました。
15分と50分では随分違いますので、この確認は重要ですよね。

あまりにもこの手の質問を受けるので、私は「fifteen」と言ったあとに「one five」、「fifty」の後に「five zero」を付け足して説明するようにしています。

和製英語はもちろん通じない

日本語でよく使う「アバウトな」はもちろん通じません。
人について、その人がアバウトな人であると言いたい場合は「He is not fuzzy about anything.」、事・物については「ambiguous」などを使います。

また、意味が同じでも発音がまったく違う語もあります。
「アレルギー」や「ココア」などです。
あえてカタカナに直せば「アレジー」「コゥコゥ」のような発音になります。

あとは地名や固有名詞なども、日本での発音と大きな違いがある語があり、初めて耳にした場合理解出来ない場合があります。

「北京」「ウィーン」「習近平」など。
あと、最近では「武漢」も聞き取ることができず、聞き直してしまいました。

実際には、お客様が自分のレベルに合わせてくれることがほとんど

我々日本人が外国人と日本語で話をする場合、相手の日本語運用能力が低いと感じれば、こちらの日本語のレベルを落として話すように、お客様もこちらの英語の能力を見て下げてくれることがほとんどです。
特に、外国語を学んだことのある方であれば、そのあたりの配慮はしてくれます。

外国語習得がいかに難しいか、身にしみてわかっているからです。

反対に、若い人はそういった感覚があまりないようで、逆に「何で私の言っているこれくらいのことが理解できないのだ」とか、それ以前に「私の言っていることはすべてわかってくれている」という前提で容赦なく話してくる傾向があります。

もし、これを読んでくださっている方の中で、外国語に対する自身がない方がいらっしゃたら、臆せずコミュニケーションを取るように心がけてもらえればいいと思います。
中にはうまくできずに困ってしまうことがあるかもしれませんが、そういった経験がまた、あなたの外国語運用能力を高めるきっかけにもなります。

私は海外経験がまったくありません。
しかし、この仕事を6年しているおかげて、かなり英語力が鍛えられました。
ガイドとなると、1日3時間から多い時で10時間、あるいはそれ以上、日本語が許されない状態が続くわけです。
家で机に向かって1時間勉強するよりもずっと効率的で早く身につきます(もちろん、家で勉強する時間は必要ですが)

私はこれを「駅前留学」ならぬ「熊野古道留学」と言っていました。


多様な文化的背景の違いを理解する27

トラブル発生時の心構え

次に、トラブルが発生した時の心構えについてです。
いくら気をつけていてもトラブルは起こります。
その時にどうすれば適切に対処ができるのかをお話します。

慌てない・冷静さを保つ

当たり前ですが、一番大切なのは慌てないことです。
トラブルが起こった時というのはどうしても気持ちが動転し、慌てがちになり適切な判断が難しくなります。
特にお客様が怪我や転落といった事象が起こると冷静さを保つ事が難しくなります。

もちろん、普通ではないことが起こるわけですから、お客様もガイドも冷静でいられるわけがありません。
しかし、グループのリーダーであるガイドが正気を失ってしまえば、お客様に(同行者がいれば同行者にも)その気持が伝染してしまうとお客様までパニックになります。
内心は落ち着いていなくても、外見だけは「落ち着いている」という表情を見せることが重要です。
また、お客様に「大丈夫ですよ」と言うことによって自分にも「大丈夫」と言い聞かせることになりますので、双方の気持ち落ち着ける効果があります。

また、運悪くトラブルに遭ったお客様が離脱しなければならなくなった時は、そのお客様への配慮はもちろん、残ったお客様も少なからず精神的にダメージを負っています。
そのお客様たちを落ち込ませないためにも、ガイドは気持ちを上げていかなくてはなりません。

・・・実際にはなかなか難しいですがね(笑)

想定されるトラブルを予想しておく

あまり考えたくはないのですが、「ここでこういったことが起こればどう対処しようか」と考えておくことも有効です。
特に危険が予測されるところでは効果があります。

トラブルというのはどこで起こるか分かりませんので、これには限界がありますが、しないよりはマシです。

経験によるデータベース化と共有

そうは言っても、一番効果的なのはやはり経験です。

ガイドは車の運転と似たところがあります。

例えば、「今から行くあの交差点ではこういう事故が想定されるから、対処法としてこうして」などと運転前にいちいち予想する人はいませんよね。
ある意味「出たとこ勝負」で、実際に運転していてヒヤッとした事や、起こってしまったことを経験値としてデータベース化してしまう方が効率がずっと良いです。

そうすることにより、「あ、ここは見通しが悪いからスピードを落とさないと」という心理が反射的に働くようになります。

実際に起こるかどうか分からないことで頭を悩ませる時間を過ごすより、ガイドに出てしまった方がずっと効率的です。

時には「あの時こうすればよかった」という反省をする時もありますが、その経験は必ず次のガイドから活かされます。

その経験を積み紙を重ねるように一枚ずつ重ねることにより、ガイドとしての「厚み」が増していき、経験したトラブルについては落ち着いて対処できるようになっています。

また、起こったことやヒヤッとした事などは、仲間のガイドと共有することにより、その仲間のガイドもデータベース化ができ、いざトラブルが起こっても対処できるようになります。
対処法を知っているのとそうでないのとでは、雲泥の差があることは想像に難くありませんよね。

こうして個人だけではなく、仲間と一緒に全体でレベルを上げていくようにすればお客様からの信頼も得られ、「あのガイド団体は素晴らしい」という噂が広がり、結果的にあなたに仕事がたくさん入って来るようになるのだと思います。

仲間との連携は大切です。

多様な文化的背景の違いを理解する26

携帯水没

事件は小雲取越が終わった後に起こりました。
小口は自然豊かで美しい川があり、夏場などはよくお客様を川にお連れして一緒に泳いだりしていました。

・・・もう想像できますよね?(笑)

嬉しさのあまり?携帯をポケットに入れたままダイブ。
携帯がご臨終になりました。

宿に戻ると、生米の中に携帯をいれていました。
「復活することがある」のだそう。
しかし、残念ながら今回に限っては?復活することはありませんでした。

忘れ物

人間は忘れる動物です。
人種、民族は関係なく忘れ物は必ずします。

こんなケースがありました。

近露王子で説明がてら、お客様はベンチに座って携帯で写真を撮っていました。
休憩も終わり近露王子を出発、楠山坂を上りきったところで、お客様の携帯がないことに気づきました。

「多分、近露王子だ。あそこならだれかいるかも知れない」ということで、仲間のお客様がその携帯に電話をしました。

すると、その携帯に応答が!

しかも電話口に出たのは外国人で、泊まる宿も同じだということがわかりました。

やはり、写真を撮ったあと、携帯をベンチに置いてきてしまっていたようです。

日本では最近、都市部でも水道水はきれいというイメージが定着しつつありますが、外国ではまだまだ水事情はよろしくないところが多いようです。

これは、私ではなく、仲間のガイドのお話です。

香港からのお客様で、小雲取越を歩いている時に転倒してしまい、頭を怪我してしまいました。
そこで、ガイドが消毒のためにペットボトルの水を出して来た時、お客様から「それは何の水なの?」と質問されたそうです。

「水道水」ですよ。というと、お客様が「水道水を消毒に使うの?」とおっしゃったそうです。
「日本では水道水はきれいなんですよ」ということで納得してくれたようですが、日本人の水道水の感覚と、外国人のその感覚が違うということを頭の片隅に入れておく必要があります。

ちなみに、頭を怪我すると結構血が出ます。
消毒液では追いつかないので、水で洗い流すというこのガイドの判断は正しかったと思います。
ただ、ペットボトルの水は新品で、お客様の目の前で封を切って「新品ですよ」とアピールすると良いと思います。

私も、お客様が転倒して口を切った時にはそのようにして水を出しました。

アウトプットの重要性

高野・熊野地域通訳案内士の現場研修が終わりましたが、その中で質問された「知識を得る方法」の答えの一つとして、今回はアウトプットの重要性についてお話をします。

ガイドはアウトプットできてなんぼ

当たり前ですが、ガイドはアウトプットができて初めて仕事ができるようになります。
研修などで得た知識を整理し、自分なりに口に出して言えるようにしておかなければなりません。
以前の法人内の研修で、私が説明したあるスポットについてどれだけ理解できているかをアウトプットしてもらったところ、その人はうまく言うこでができませんでした。
そこでこちらが改めて説明すると「そうです、そうです」という。
この人は、頭では理解できているけれども、それを言語化することができていなかったのです。
これでは、お客様に説明ができるわけがありません。

なので、説明を「うんうん」と聞くだけではなく、聞きながら自分なりに要点をまとめるという作業をすることによってアウトプットできるようになります。

また、言語化することにより、自分が理解できていない部分を確認することができます。
例えばそれがいつ頃起こったのかとか、話に登場するAさんとBさんの関係は何だったのかなどです。

そうすることによって、「知識の穴」が埋まっていきます。

アウトプットには大量のインプットが必要

ガイドにはアウトプットをする事が必要なのは先ほどお伝えした通りですが、インプットも重要です。

私は時間の許す限り、研修ではなるべく細かいところまで説明をするようにしています。
専門用語を理解できていない人がいればその説明をしたり、なぜそのようなことが起こったのか、その時代背景を説明したりして、より深く理解できるように心がけています。

ガイドと研修は似て非なるものです。
お客様と受講生はまったく質が違います。

お客様は楽しみにしています。
受講生は学習をしに来ています。
それを理解せず、たとえば、お客様に研修の時と同じような説明をすると飽きられてしまいます。
逆に、研修生にお客様を案内する時と同じようにすれば、受講生は物足りなく感じます。

私は、受講生から「分かりやすかった」と言われる講師は失格だと思っています。
この言葉の裏には「情報量が少ない」という意味が込められていることが多いからです。
目の前にいる人の年齢が自分の予想よりも高かった場合に、相手を配慮してよく使う「落ち着いて見えますね」と言うのと似ています。

講師の中には「受講生はまだ知識がないから、できるだけ平易に」と考え、アウトラインしか言わない人がいます。
しかし、受講生の中にはすでに知識が豊富な人がいることもあります。
それを講師が勝手に「受講生は知識がない」と決めつけて話をするのは間違っていると思います。
そう決めつけている人は、さらに上を目指している人の芽を摘み取ってしまっています。

与えた情報を入れる、入れないは受講生が決めることです。
子供ならまだしも、これまでの人生の中で様々なことを学んできている大人を相手にする時は、講師が受講生のレベルを勝手に決めないことが重要です。

大量インプットが重要なのは、聞いた話を100%再現できる人はそういないからです。
たとえば、情報量が100あるうちの50しか言わなかった場合、聞いた人が再現できるのはせいぜいその半分くらいです。
これが仮に、100伝えれば、半分とまでは行かなくても25以上は再現できます。
それをさらに、その周辺知識まで含めて120伝えると、さらに再現できる数字は上がります。

それを、50しか教えてもらえていなかった人の場合のその説明は、内容が薄っぺらいものになってしまいます。
そうならないようにするためにも、できる限り詳しく伝えることが重要です。
ただし、そうは言っても相手の反応を見て「これを今話すと混乱するな」というようなややこしいことはあえて言わないようにしています。
相手の理解度に注意しながら話すことも重要です。

数少ないチャンスをものにするには

「50の説明を聞いて、あとは自分で調べればいいじゃないか」という声が聞こえて来そうですが、それは違います。

聞いたことを記録する方法は、メモだけではありません。
メモを取ることは重要ですが、後で整理する時に自分の書いたことでさえ、何のことを書いているのか分からないことがよくあります。

一番効率がいいのは録音する方法です。

メモをする能力は所詮限界があります。
50の話を聞いてもメモの漏れは絶対にあります。
結果的に、すでに聞いた50のことでさえ調べなければいけません。
一方、録音であれば一回聞いて理解出来なかったことも、繰り返し聞くことによって理解できるようになります。
聞き逃しもありません。
そういった意味でも、なるべく詳しく説明することが重要なのです。
「人間の集中力の持続時間は金魚以下」という研究結果もあります。
研修の数時間の間、全集中することは不可能です。

こうした理由から、数少ない研修を1回でものにするには、録音が最良・最強の方法です。
この方法は時間がかかるのが難点ですが、録音したものがあれば極端な話、一度でそのコースを案内できるようになります。

もちろん、土地勘が必要なのでたくさんの下見は必要ですが。

今はまだ武漢熱の関係でゆっくりと知識を入れることができますが、この状況が収まった時にいかに早く新人ガイドを現場に送り込むことができるかが、今後の鍵になると、私は思っています。

なので、少ない研修を一発で自分のものにするためにも、録音するという方法は最良です。

ただし、録音を嫌がる人もいますので、予めお断りをしておくことは忘れないようにしてください。

アウトプットについて、こちらの本をご紹介しておきます。
興味のある方は読んでみてください。

学びを結果に変えるアウトプット大全 (サンクチュアリ出版)