ガイド日誌2016年1月29日

今日は、ガイドの度につけているガイド日誌(ガイド報告書)を転載します。
ガイド報告書の重要性については、前の記事でお伝えしましたが、習慣付いていない方は、これを機に是非日誌をつけることをお勧めします。

後から見返した時に、自分がその時どういう対応をしたのか、どのように感じたのかを確認することができ、将来必ず役に立ちます。

なお、この記事の公開は2020年5月31日までの期間限定です。
以後はパスワード保護をかけます。
また、お客様名は仮名、あるいは伏せています。
ご了承ください。

2016年1月29日

コース:発心門王子~本宮大社
天気:雨
年齢:60代
国籍:イタリア

ツアー前に、エージェントから奥さまは英語がほとんど話せないとの情報をいただいていたので、どのような対応するかををあらかじめ想定することが出来、大変助かりました。
前日の晴天とは打って変わってこの日は一日雨でした。
お客様は雨具を一切お持ちでないと前日のガイドから聞いていましたので、用意しておいたポンチョを差し上げ、宿でお借りした傘とのコンビネーションで歩いていただきました。
奥さまは写真撮影がご趣味のようで、しきりに写真を撮っておられましたが、傘とポンチョでカメラが濡れないので良いと言っていただきました。

反省点としては、本宮大社到着後、天候のこともあり大半の時間を本宮館で過ごすことになってしまい、バスの時間までお客様に退屈な思いをさせてしまったのではないかということです。
雨天でのバスまでの時間の過ごし方をもっと工夫しなければいけないと感じました。

大斎原は前日に訪れたとのとこだったのでカットさせていただきました。

【スケジュール】
8:00 やまね
8:16 発心門王子行きバス乗車
8:50 発心門王子・ウォーキングスタート
10:50 伏拝王子跡
11:30 三軒茶屋・昼食
13:40 本宮大社~本宮館
15:20 勝浦行きバス乗車

時間つなぎは熊野本宮館

今回の内容のように、お客様の足取りが軽く、予定よりも早く本宮大社に到着することがあります。
また、雨の日は、お客様をなるべく長時間に渡り濡らさないように、結構足早にご案内する時もあります。

その時にお世話になっているのが熊野本宮館です。

本宮館は北棟と南棟に分かれていて、北棟には高野山、熊野古道、和歌山県の観光について、それぞれ20分程度の情報を放映しています。
もちろん英語の字幕つきなので、お客様が疲れている場合などは、休憩がてら見てもらったりしています。
また、体力に余裕があるお客様や、もっと情報を知りたいという「ツワモノ」のお客様には、館内に展示している資料の説明をしています。

特に南棟には北棟に展示している情報について、さらに突っ込んだ内容のものを展示しています。
私はどちらかというと、こちらの説明の方が好きです。

ただし、総体的にあまり長居はできません。
今回のように1時間以上も本宮館で過ごすことは、かえってお客様を退屈にさせてしまいます。
もし、カフェが開いているならカフェで残りの時間を過ごすことを提案してみるものいいですし、天気が良ければ大斎原の近くの川にお連れするのもいいと思います(特にオーストラリア人は川が好きです)

15:20本宮大社前発は勝浦直行(停留所注意)

熊野古道歩きのあと、お客様が勝浦に移動されることがあります。
その時に便利なのが、15:20発・紀伊勝浦駅行きです。

普通は新宮で乗り換えしなければいけませんが、この1本に限っては、乗り換え無しで勝浦に直行します。

ただし、マイナーなバス停は停車しませんのでご注意を。
もし、「神倉神社に直接行きたい」というお客様がいるなら裁判所前には止まりません。

また機会を見てアップロードします。

そこ、撮影禁止です!

お客様には楽しんでいただきたい・・・
これはガイドとしては当然の心理だと思います。
日本はもちろん、海外から来られるお客様は、多くのお金と時間をかけて来られています。
こちらでできるだけのことはしてあげたいと思うのが心情です。

先日、和歌山県の高野・熊野地域通訳案内士の現場研修で講師をさせていただきました。

さて、突然ですがここで問題です。

本宮大社の本殿は撮影禁止ですか?OKですか?





結論からいうとOKです。

ただし「個人的に撮影する場合」という条件がつきますが。

本宮大社の説明をしたあと「事件」が起きました。

一緒に来ていた県の方から「本殿の撮影は禁止だとみなさんに言ってください」と言われました。
自分はついつい、いつもの感じで案内していたのがここで仇となりました。
「あ、あそこは個人的な撮影はOKのはずですが」

この言葉が県の方の地雷を踏んでしまいました。

「和歌山県の事業でやっているので、そういうことを言ってもらったら困ります!」
「どこまでが良くてどこまでが悪いということを言われたらされては収集がつかなくなる」
「あとでバスの中で全員に伝えてください!」

と強く叱られました。

県の立場としてはごもっともなんでしょうが、煮え切らない気持ちで研修生の方にはお伝えしました。

後日、ひょっとして私が聞いた話が間違っているかもしれないと思い、本宮大社の社務所に問い合わせをしたところ、やはり私が聞いた話と同じ回答でした。

ガイドの皆さん、本宮大社の本殿は、個人的な撮影はOKです。

あ、もし、正式参拝で瑞垣の中に入れるような機会があった場合、本殿の撮影はNGです。瑞垣の外から撮る分には大丈夫ということです。念のため。
楼門の入り口に「撮影禁止」という看板があるので、あれがそもそもこういった問題を引き起こしているのでしょうね。

冒頭でもお伝えしたように、お客様は多くの時間とお金を使って来てくれています。
二度と来れないかもしれません。というか、海外のお客様などは二度と来れない(来ない)でしょう。
それを、「看板に書いているから禁止」というのはガイドとしてはいかがなものかと思います。
逆に「知らなかった」「県が言っているから」では困ります。
「ああ書いていますが、実はOKなんですよ」とお伝えすることによって「ガイドをお願いするメリット」が生まれ「ガイドをお願いしてよかった」ということにもつながるのではないでしょうか?

せっかく来てもらっているのですから、ぜひお客様には写真を撮ってもらってください。
お客様やガイドの立場からではなく、県の立場として「撮影禁止」と、事実ではないことを研修生の皆さんにお伝えしなければならなかったことが非常に残念でしたし、観光の振興に力を入れている県の観光交流課が、このような考え方であることが残念でなりません。
「観光気分で写真を撮られると収集がつかなくなる」という言い分もあるかもしれませんが、それならそれで「本来個人的な撮影はOKですが、今日は研修なので撮影はやめてください」と研修生にあらかじめ伝えておけば事足りるはずです。
研修生も大人ですから、それくらいのことは守ってくれるでしょう。

あ、他の神社仏閣では撮影禁止のところがありますので、自信がない場合は確認を取ってくださいね。
ちなみに、熊野で言えば、青岸渡寺の本地仏が安置されているお寺内部の中央部分は禁止です。
他の部分(鐘とか梁とか)は大丈夫です。
ご参考に。

ガイド体験談(救急隊編)

シンガポールからお越しのお客様で、滝尻~高原をご案内していた時のこと。

田辺駅でミートをし、車中は楽しくお話をしながら滝尻に到着。古道館で熊野古道について説明をしたあと、いざ出発。

いつものように最初の急坂を説明がてら休憩を入れながらご案内していました。

不寝王子(ねずおうじ)を過ぎ、道標1番を過ぎたあたりから、ご主人のペースが急に落ち始めました。

本人は「大丈夫」とおっしゃっていましたが、さらに歩くペースは落ち、しまいには木につかまりながらよちよち歩くようになったので、歩くのを止めさせました。

冷や汗とともに、胸が締め付けられるような感じがするとおっしゃってました。さらにはご主人が喘息持ちだと分かり、症状から心筋梗塞の疑いもあるのでこれ以上歩かせるのは不可能と判断。

救急隊を呼ぶことにしました。

以前の研修で、田辺市消防本部でどのような対応をしているのかを見ることができていたので、慌てずに落ち着いて呼ぶことができました。

電話では、どのあたりにいるのか、古道から外れたところにいないか、傷病者の症状、何か薬は処方したか、通報者(わたし)の名前と携帯の充電はまだ十分にあるかなどを聞かれました。

電話で話をしている間に、すでに近くの消防から出動したらしく、サイレンの音が聞こえてきました。

消防との通話が終わってから間もなく、救急隊の方から電話が入り、さらに傷病者の状態(意識に有無など)を聞かれました。

それから待つこと30分。ついに救急隊の方々が到着。6人~7人はいたでしょうか。それからいよいよ下山開始。

しかし、ここは急坂の続く古道上でも1、2を争う難所。ボートのような形をした特殊な担架にお客様を乗せ、担架の上部と木をロープでつなぎ、地面を滑らせながら下りて行きます。慎重を要する救出のため、かなりの時間を要しました。

今度は奥様の方が、このままでは古道で日暮れを迎えてしまうかもしれないと心配されていたので、そのことを救急隊の方に告げ、わたしたちだけ先に下山させていただくことにしました。

ふもとのあんちゃんの店で待っていると間もなく、ご主人が無事に下山。

症状はすでに落ち着いていましたが、念のため病院に搬送してもらうことに。

病院での通訳をお願いされましたが、あいにくわたしの車は高原に置いています。そこで、消防の車に乗せてもらって車を高原まで取りにいき、そのまま病院に直行しました。

幸い、深刻な症状もなく、ゆっくり休んでもらえば翌日からは大丈夫という診察結果だったので安心しました。

そのあとはタクシーを呼んで当日宿泊予定の宿まで送ってもらうようにお願いしました。

宿に着いた頃を見計らってもう一度大丈夫か電話をし、少し本人さんとお話をして、長い一日が終わりました。

お客様には大変な一日で気の毒でしたが、わたし自身も大変貴重な体験をさせていただきました。

お世話になった救急隊の方々、この場を借りてお礼申し上げます。

本当に助かりました。

クルーズ船、新宮に寄港

先日9月28日、クルーズ船「スターレジェンド」乗船のお客様のオプショナルバスツアーをご案内させていただきました。
このクルーズ船は最大でも200人程度の収容人数ですので規模としては中型あるいは小型に分類されるのかもしれません。
当団体からは岸壁対応、駅前案内ブースを含め、総勢10人態勢で臨みました。
今回わたしのお客様は16名、欧米豪からのお客様でした。
バスツアーにしてはこじんまりとした雰囲気だったので非常にやりやすく、会話形式でお客様をご案内することができました。
船によっては1000人規模、35名のバスツアーをご案内することもありますが、やはりそうなると会話形式ということが難しくなり一方的なガイドになるので、こちらとしても打っても響かないということが起こってしまいがちになりますが、今回はそんなこともなく和やかな雰囲気でご案内することができました。
基本的には熊野古道をお客を案内するお客様とやり方は同じですが、大自然の中を歩くということをことがないので、そういった意味でバスの車中でいかに1日お客さんを飽きさせずに楽しませるかというところにツアーの成否がかかってくると思います。
また、古道歩きのお客様と比べて足腰が弱い方が多く、少しの階段でも神経を使わなければいけません。
古道歩きのツアーと大きく違うところはバスへの再集合時間と場所をはっきりと降りる前にお伝えしなければならないところです。
これを逃してしまうと、お客様を取り残してしまったり迷子になったりという事件が発生し大変なことになってしまいます。
今回は本宮大社そして那智大社、那智の滝とご案内させていただきました。
合計で7時間半の長丁場でしたが、一人も迷う迷う人なく無事に事故もなく怪我する人もなく終えることができました。
台風接近中にもかかわらずこの日は終日快晴に恵まれ、お客様もご満足されたようでした。
来月もう1回同じ船が来ますが、私は次回ご案内できないのが残念です。
しかし、うちのメンバーがしっかりとやってくれるということを期待しております。

ヤマビル???

先日の話です。

お客様と7時過ぎに継桜王子を出発し、伏拝王子で足首に違和感があることに気づきました。

そこでズボンの裾をめくってみるとズボンが血まみれになっていてびっくりしました。傷口を見ると、どうやらまだ出血をしているらしく、傷口から血が流れ出ている状態でした。

ただ、ズボンはすでに血が固まっておりカピカピの状態になっていたので、出血が始まってから相当時間が経っていたようです。

最初は何が起こったのかわかりませんでしたが、後で調べてみるとどうやらヤマビルの仕業だったようです。

彼らは傷口の神経を麻痺させる唾液のようなものを入れながら吸血をするらしく、また血を凝固させない物質も一緒に注入するため、噛まれている間はそのことに気づかないようです。

奴らは血をいっぱい吸った後自然に落ちるそうなので、私が気づいた時にはすでに血を吸って落ちた後だったんでしょうね。

吸血を開始して吸い終わるまで約1時間。どうやら草鞋峠~三越峠の間で噛まれたようです。

ちなみに、草鞋峠は別名ヒル降り峠と言われており、藤原定家の日記にもヤマビルの群れに襲われたと書いています。

今まで何十回とそのコースは歩いていますが、今回のようなことが起こったのは今回が初めてです。

ヤマビルはもはやいないと思っていましたが、このコースを歩く際は皆さん気をつけてください。

はちなみに足首までのトレッキングブーツ、そしてトレッキングパンツをその上から被せて歩いていましたが、それでもその間から侵入して噛まれたようです。

その侵入を防ぐためには靴下を塩漬けしたものを履くとか、塩漬けにしたハンカチを足首に巻くとか、首筋に巻くという方法があるらしいですが、なかなかそれをするのは大変ですよね。

むしろ塩分で痒くなりそうです。

あと、塩分濃度20%の塩水をトレッキングシューズにかけるという方法もあるそうですが、その方法だとトレッキングシューズの金具が錆びる恐れがあるので、ウォーキング終了後すぐに洗わないと金具が錆びてしまうそうです。

ですのでこれといった対処法はないですが どうしてもヤマビルを避けたいと言うのであればその方法もおすすめかもしれません。

ただ、他の吸血昆虫などに比べて伝染病とか寄生虫の報告はないそうなので、別に噛まれてもそんなに深刻に落ち込むと言うか心配する必要はないように思います。

ちなみに私の傷口は今、結構な痒みに襲われております。

※2022年追記
昨年2021年の現場研修中は、ヤマビルがいっぱい現れてパニックになる人もいました。
コースは小広峠~発心門王子の間です。
どうやら、ヤマビルの「餌」となるシカやイノシシの数が増え、それに伴ってヤマビルが増えたというのが理由のようです。
小広峠~発心門王子の他、小雲取越でも確認しています。
熊野古道を歩く時は十分気をつけてください。特に止まって休憩している時ですね。

※2024年追記
ヤマビルの目撃・被害エリアが拡大しつつあり、最近では野中エリアにも注意喚起のサインを見かけるようになりました。