そこ、撮影禁止です!

お客様には楽しんでいただきたい・・・
これはガイドとしては当然の心理だと思います。
日本はもちろん、海外から来られるお客様は、多くのお金と時間をかけて来られています。
こちらでできるだけのことはしてあげたいと思うのが心情です。

先日、和歌山県の高野・熊野地域通訳案内士の現場研修で講師をさせていただきました。

さて、突然ですがここで問題です。

本宮大社の本殿は撮影禁止ですか?OKですか?





結論からいうとOKです。

ただし「個人的に撮影する場合」という条件がつきますが。

本宮大社の説明をしたあと「事件」が起きました。

一緒に来ていた県の方から「本殿の撮影は禁止だとみなさんに言ってください」と言われました。
自分はついつい、いつもの感じで案内していたのがここで仇となりました。
「あ、あそこは個人的な撮影はOKのはずですが」

この言葉が県の方の地雷を踏んでしまいました。

「和歌山県の事業でやっているので、そういうことを言ってもらったら困ります!」
「どこまでが良くてどこまでが悪いということを言われたらされては収集がつかなくなる」
「あとでバスの中で全員に伝えてください!」

と強く叱られました。

県の立場としてはごもっともなんでしょうが、煮え切らない気持ちで研修生の方にはお伝えしました。

後日、ひょっとして私が聞いた話が間違っているかもしれないと思い、本宮大社の社務所に問い合わせをしたところ、やはり私が聞いた話と同じ回答でした。

ガイドの皆さん、本宮大社の本殿は、個人的な撮影はOKです。

あ、もし、正式参拝で瑞垣の中に入れるような機会があった場合、本殿の撮影はNGです。瑞垣の外から撮る分には大丈夫ということです。念のため。
楼門の入り口に「撮影禁止」という看板があるので、あれがそもそもこういった問題を引き起こしているのでしょうね。

冒頭でもお伝えしたように、お客様は多くの時間とお金を使って来てくれています。
二度と来れないかもしれません。というか、海外のお客様などは二度と来れない(来ない)でしょう。
それを、「看板に書いているから禁止」というのはガイドとしてはいかがなものかと思います。
逆に「知らなかった」「県が言っているから」では困ります。
「ああ書いていますが、実はOKなんですよ」とお伝えすることによって「ガイドをお願いするメリット」が生まれ「ガイドをお願いしてよかった」ということにもつながるのではないでしょうか?

せっかく来てもらっているのですから、ぜひお客様には写真を撮ってもらってください。
お客様やガイドの立場からではなく、県の立場として「撮影禁止」と、事実ではないことを研修生の皆さんにお伝えしなければならなかったことが非常に残念でしたし、観光の振興に力を入れている県の観光交流課が、このような考え方であることが残念でなりません。
「観光気分で写真を撮られると収集がつかなくなる」という言い分もあるかもしれませんが、それならそれで「本来個人的な撮影はOKですが、今日は研修なので撮影はやめてください」と研修生にあらかじめ伝えておけば事足りるはずです。
研修生も大人ですから、それくらいのことは守ってくれるでしょう。

あ、他の神社仏閣では撮影禁止のところがありますので、自信がない場合は確認を取ってくださいね。
ちなみに、熊野で言えば、青岸渡寺の本地仏が安置されているお寺内部の中央部分は禁止です。
他の部分(鐘とか梁とか)は大丈夫です。
ご参考に。

鎌鹿隆美さんの「ホスピタリティー&リスクマネージメント研修」に参加してきました

和歌山県観光連盟が主催する、令和元年度の語り部研修にこのほど参加しました。
今年は「ホスピタリティー&リスクマネージメントを考える」
講師は北海道在住のフィールドアドバイザー、鎌鹿隆美(かまかたかよし)さん。
ホスピタリティーとリスクマネージメント・・・一見関連性のない二つに思えますが、お釣りを渡す際にお客様がお釣りを落とさないように両手を添えるのがホスピタリティー、お釣りを落とすことがリスクという例を出してホスピタリティーとリスクは表裏一体だということを教えていただきました。

その中で、個人的に刺さった言葉を以下にご紹介します。

「ガイドはホスト役だが、リーダーなのでその立ち位置を間違えてはならない」

以前、仕事を一緒にさせてもらった方はまさにそれで、完全に「お客様の下僕」になっていました。
これでは相手のコントロールの下に入ってしまう形になり、ガイドとしてもはや機能はしなくなります。
お客様の意見に沿うことは大事ですが、時として毅然と「No」と言えるようにしておきたいものです。
「寄り添う」は、言いなりになることではありません。

「犯した失敗の責任はすべて引き受け、潔く謝れ」

たとえその責任が自分になくても、それを自分の責任にして謝ったほうが、意外と後から問題にならない・・・というようなことをおっしゃっていました。
私が読んだ本「成長マインドセット」の中で「100%当事者意識を持て」「他責にしないは100%」と書いていましたが、お話いただいた内容はまさにその内容と同じでした。
時間通りに到着できなくても、それを例えば同行していた添乗員のせいにすることなく、すべて自分の責任にすべきというような内容でした。
もちろん、「後の賠償責任等一切を引き受けます」という話ではありませんが、たとえ添乗員が同行していても100%自分が引っ張るという意識を持つことが大切だということです。
そうすることによって、想定されるリスクを回避できるからです。
しかし、あくまでも行程管理は添乗員の業務ですので、添乗員を差し置いて勝手に行程を考えてお客様を引っ張って行けという話ではありません。念のため。

「弁護士並の給料はもらいたいね」

また、山岳ガイドの収入面のお話が私には刺さりました。
理想とする年収のお話やそれに対する現実をお話され、「うちも一緒だ」と共感しました。
お話によると、専業でされている山岳ガイドさんで年間120~130日だそうです。
「弁護士並の給料はもらいたいね」という話をよくガイド仲間の方とされているそうですが、「弁護士の給料が1000万とすると1回のガイド料は〇〇円だから、難しい。けど、年間の出動回数はそれくらいが限界」のような内容でした。

ちなみに、2019年のわたしの出動日数は112日でした。
今年は代表の仕事をしたいがために意識的に抑えていましたが、それでも普通は年間平均120~150日程度です。

それ以上アップダウンの激しい熊野古道を歩くとどうなるか・・・・

熊野の繁忙期はだいたい4月5月、10月11月です。
その間は月間20日程度ガイドに出ていますが、だいたい5月と11月に体が悲鳴を上げ始めます(笑)
この状態が年中続くと正直、気力体力ともに持たないです。
他の通訳案内士さんのことを悪くいうつもりは毛頭ありませんが、いわゆる街歩きや観光バスツアーと、古道歩きでは通常必要とされる歴史や文化の知識に加え、体力、コースの知識なども必要になり「だれでもできる」というわけではありませんので、そのあたりの付加価値に対する報酬というのはいただくべきだと考えています。

後半では、用意されたイラストを見て予想されるリスクを考える練習をしました。
2枚それぞれのイラストに10個のリスクが隠されていましたが、私は全部言い当てることができませんでした(汗)
あの場で言い当てることができなかったというのは収穫であり、現場ではなかったことが幸運でした。

最後に、実際に起った登山での事故についてお話をしていただきました。
このお話は有名なので、以前あるテレビ番組でも特集を組まれていて大まかな話は聞いたことがありましたが、改めて「現場100回」、下見の重要性を思い起こさせてくれた内容でした。
山岳ガイド3人とシェルパがいたにも関わらず、そのコースを知っている(歩いたことのある)ガイドはたった1人。
うち一人は有名なベテランガイドだったそうですが、それでも山はそう甘くはないということを思い知らされた事件でしょうね(このベテランガイドさんも亡くなっています)
熊野古道はそんな本格的な登山ではありませんが、やはり山の中に入り、お客様の命を預かるわけですからわたしは、私は歩いたことがないところにはお連れすることはできません。

「現場100回」

ベテラン語り部さんから教えていただいたことが、ずっと私の中に生き続けています。

ファイルの重要性

めっきり冬らしくなってきました。体調管理には十分気をつけたいところですね。

さて、今日は「ファイルの重要性」についてお話したいと思います。

なぜ必要か?

私たちガイドは、日本語でも説明が難しいことを、他国の言語を使って説明しなければなりません。前の記事に書いた通り、記憶の定着と理解度を深めるには、図や写真の使用が重要になってきます。

たとえその説明が「立て板に水」であっても、あまりにもスラスラと説明されると、理解を通り越して「すごい流暢だな」という印象ばかりが残ってしまい、肝心の説明がお客様の頭に残っていない可能性大です。

さらに、あまりにも流暢に話されると、聞いている方の理解が追いつかず、結局「ガイドの自己満足」になる可能性もあるわけです。

ですので、流暢に説明できる場合であっても、やはり図や写真は使うべきです。

先日、和歌山県主催のスキルアップ研修に講師として行ってきました。

スキルアップ研修についてご存じない方のために簡単にご説明すると、ガイドのライセンス保持者が、ネイティブのモニター(お客様に見立てた参加者)を案内し、最後に彼らからのフィードバックをいただくというものです。

最後のフィードバックで、一人のモニターから「高野山で案内を受けた時は写真を使ってくれていたので非常に分かりやすかったが、今回はそれがないことが残念だった」という意見がありました。

ファイルには何を入れているのか?

ではファイルを使っているガイドが一体何を入れているのか、千差万別だと思いますが「和田」という例を使ってご紹介します。

①写真

言葉で説明しにくいもの、単語はわかるけれども、それが一体どういったものなのか、説明の補助として用意しています。具体的にいうと、タヌキ、ハチ、蛇、カケス、川下りの筏・・・などです。

ハチ、蛇はどれが毒を持っているものかを説明します。

これは言葉では絶対に説明できないことです。

②図

国内林業の年代別経緯を入れています。

③時刻表・運賃表

熊野でのご案内はバスの利用が欠かせません。慣れてくれば大体の時間や運賃は覚えてしまいますが、やはり確認のために必要です。

④地図

地図は日本地図、紀伊半島の拡大地図(熊野古道が記載されているもの)、宿や観光スポット周辺のもの、古道の高低表です。

お客様はよく、今どのあたりに自分達がいて、どこに向かっているのかを知りたがるかたがたくさんいらっしゃいます。そこで紀伊半島の地図を使って説明をしています。

特に古道の高低表は、お客様に今どこにいて、あとどれくらいあるのかを説明するには最強の道具です。高低表は、田辺市発行の英語版の地図を拡大コピーしています。

また、宿周辺の地図は、案内が終わってお客様がご自身で宿まで行かれる時に、該当する地域の地図をお渡ししています。

翌日のバスの時刻を聞かれる場合もたまにありますので、ファイルに入れている時刻表をお渡しする場合があります。

⑤ウェルカムボード

お客様の名前を書いたものを入れておきます。

以前はファイルとウェルカムボードを別々に持っていましたが煩わしいので一つにまとめました。

ウェルカムボードで注意しなければならない点は「呼び捨てにしない」です。必ず「Mr.」「Ms.」などをつけましょう。

中には性別のわからないお客様もいらっしゃいます。そんな場合は名前の後ろに「-sama」をつけています。

ファイル使用時の注意点

どのページでも瞬時に開くことができるように、インデックスは必ず貼っておきます。

せっかく写真や図を用意したのに、それを探すのに時間がかかっていてはプロとは言えません。

タブレットで代用は可能か?

タブレットの利点としては

①多くのデータを入れることができる

②ついでに検索もできる

③比較的雨にも強い

欠点としては

①少々重い

②データの呼び出しに時間がかかる

③落とせば壊れる可能性大

④高価

また、タブレットではお客様に地図や時刻表をお渡しできません。

・・・中にはタブレットの画面越しに携帯で写真を撮るお客様もいらっしゃるようですが(笑)

ファイルの欠点

いい事ずくめのファイル使用ですが、やはり欠点はあります。

①団体バスでお見せするには小さすぎる

②持ち運びがたいそう

上記以外ではファイルの欠点が見当たりません。

使う、使わないは自由ですが、自分なりに工夫をしてお客様により喜んでもらえるようにしていただけたらと思います。

図と絵の使用は、理解度を深める

樺沢紫苑氏「アウトプット大全」によると、「言葉で説明」よりも「言葉+絵」で説明したほうが理解しやすく、何倍も記憶に残りやすくなるそうです。

ある事柄を説明して、72時間後にどれくらい覚えていたかを調べた結果、「言葉だけ」が10%だったのに対し、「言葉+絵」の場合は65%も覚えていたそうです。

これは何を意味するのかというと、「案内中にも同じことが言える」ということです。

例を挙げてみましょう。

「タヌキ」とはどんな姿かを言葉だけで説明してください。

アメリカ出身の方なら、「アライグマに似ている」といえばそれで片付くかもしれませんが、他の国の方はアライグマの印象も人それぞれ違うはずですし、アライグマを知らないお客様の場合だって実際にいます。

では、その方たちへの説明はどうしますか?

「これです」

と写真を見せれば一発でわかってもらえるはずです。

なにも「ずんぐりした体型をしていて、毛の色がグレーから茶色で、顔には目から頬にかけて黒く・・・」

なんて回りくどい説明は不要です。

また、「和歌山県」がどのあたりかを、口頭だけで土地勘のないお客様にどうやって説明したらいいですか?

答えは同じです。

地図を見せれば一発解決です。

わざわざ「日本の中心部の紀伊半島に位置し・・・」なんて説明するガイドはいないでしょう。

特にお客様は「いま自分たちが日本のどのあたりにいて、これからどこに向かっていくのか」ということに大変興味を持たれている方が多いです。

こうして理解度が深まれば、当然記憶にも残りやすくなります。

記憶に残りやすくなるということは、その後の説明も容易にしてくれます。

その後の説明が容易になれば、そこからさらに深い説明ができるようになります。

こうしてお客様は「予想以上の情報」を簡単に得ることができ「正の循環」が生まれ、「このガイドで良かった」となるわけです。

もちろん、今はお客様がある程度の情報を求めて来ている場合でお話をしていますので、すべてのお客様に対して同じ型にはめることは当然できません。

しかし、そうはいっても、「必要最低限お伝えしなければならない情報」というのはあります。これさえ説明しないのであれば逆に、何のためにガイドを雇っているのか意味をなさなくなりますし、お客様も満足はされないでしょう。

また、お客様からどのような質問が飛んでくるか、時々予想もしなかった質問が飛んでくることがありますので、「知識の引き出し」「知識の武装」は必要です。

ガイドとは「自分の知識を売る仕事でもあり、自分の知識をひけらかす仕事でもないが、お客様の興味を見極めて話題を選び、加えて、お客様が知らなかったことに気づいてもらい、新たな興味を持ってもらう」に尽きると思います。

今はあくまで知識(情報)伝達のみについてお話をしていますので、総合的なお話ではありません。ご了承を。

樺沢氏はこう締めくくっています。

文字情報で伝えるよりも、視覚情報を併用したほうが、情報伝達をする上で圧倒的に有利です。人に納得してもらうのに図と絵を描いてビジュアル的に説明するのは必須の方法といえます。

最近「ファイルを使って説明するのは、独りよがりの自己満足だ」という言葉を耳にしました。また「お客様に寄り添って、お客様の好みに合わせて説明をするのが本当のガイド」のようなことも耳にしましたが、はたしてファイルを使って説明するのと、そうでないのとでは「どちらがお客様に寄り添っているか」上記の説明でお分かりになろうかと思います。

何でもお客様の言うことを聞き、下僕のようになっていることを果たして「寄り添っている」といえるのか、私にはわかりませんが。

何もわたしは、知識をひけらかすためにファイルを持ち歩いているわけではありません。

ということで、次回は「ファイルの重要性」についてお話をさせていただきます。

旅程管理研修に行ってきました

高野・熊野地域通訳案内士のライセンスを取る際に一度習いましたが、当時はあまりその重要度を認識しておらず、何となく聞いていたせいもあってほとんど頭に入っていなかったので、もう一度受けようと思い受講してきました。

内容は普段やっていることのおさらい・確認ももちろんありましたが、新たな発見(ただ単に覚えていなかっただけ?)もありました。

わたしの少ない記憶力の中で、特に印象に残ったことを取り上げて、備忘録として残しておきます。

■旅程管理とは、添乗員が行う業務のことで、旅行サービスを確実・円滑に提供することをいう

主な添乗員の業務とは

①予定通りのサービスが受けられるかどうか(食事・交通・宿などの予約の再確認を事前に行う)

②チェックイン・代金の支払い

③代替案の提案

④グループの案内(集合時間などの確認)

※個人・企業からの依頼については、旅程管理の資格は必要ない

■受注型・募集型で、確認する対象が変わる (スケジュールや人数等)

①受注型=主に幹事に確認

②募集型=個別に(名簿などで人数を確認、全員にまんべんなく行程の説明)

■添乗員の立場として、ガイドに求めるもの

行程のズレに合わせて説明時間などを調整してくれるガイド

これはわたしもよく経験がありますが、出発時間の遅れや交通渋滞などで、待ち合わせの時間を大幅に遅れることがよくあります。わたしはよく、「この時間であれば〇〇と☓☓の説明をして、△△は割愛しよう」とか、「○○を先に回って☓☓を後回しにすれば時間を短縮できるな」とか、待っている間に色々考えておきます。ただ、これを全てに当てはめることは、やはり無理な場合があります。

■Go show

No showはたまに聞きますし、わたしも実際に経験をしたのでわかりましたが、その逆、「こちらが把握していたお客様以外の方が見えた」ということがあるそうです。わたしは今までそのような経験はありませんが、その場合は、ツアー名や日程、お客様の行程表などを見せてもらい確認します。

万一、こちらの手違いで名簿に記載されていなかった場合は

①名前がなかったことをお詫び

②担当に連絡をして指示を仰ぐ

③補助席しか空いていなかった場合は謝る

④食事・宿など追加の手配

をする。

■医療行為はできない

医者まがいの行為はもちろん、薬をお客様に渡すことも含まれているので注意が必要です。

ただし、塗り薬なら可とのことでした。

他にもありましたが、まだまとめきれていません。

今後、加筆・修正大いにありです。

あと、「いくら経験を積んでも、振り返りがないと成長がない」という言葉が一番刺さったかも(笑)ガイド業務が立て込んできたり、ある程度パターンが決まったコースなんかでは、最近振り返りをしていないことが多いです。「ガイド報告書」で一応振り返りも兼ねてはいますが、それだけでは不十分です。やはり「どこがうまくでき、どこがマズかったのか」など、報告書には書かない内容の反省が必要です。詳しくは以前の記事「ガイド報告書」をご覧ください。

大辺路研修【八郎峠】

大辺路刈り開き隊隊長・上野さんのご案内で、今回は八郎峠を歩いてきました。

以前に同会のイベントで参加したこともあり、自身でも歩いたことはありましたが、個人的にはこのコースは大辺路の中でも特に好きで、何回でも歩きたくなるコースです。

大辺路は多くの部分が国道になっていたり、JRによって破壊または分断されていますが、古道が残っている箇所では自然林が多く、中辺路と違って鳥のさえずりがよく聞こえ(時にはうるさいくらいに聞こえ)ます。

今回は前回の続きの佐部からの出発だったので、すぐに峠への登り口に入りました。

所々急な箇所もありましたが、きれに残っている自然林に癒やされ、楽しんで登ることができました。

途中で急に景色が開け、海が見える場所に出ました。そこからは、私達が目指す八郎山が見えています。

おふき地蔵から八郎山へと少し「コースアウト」をして上ります。

山頂まではかなり急で、途中からはロープが張られている箇所を登らなければなりませんが、そこを過ぎると、山頂には絶景が広がっています。

大雲取山、色川、阿弥陀寺の卍、宇久井の街、大島、法師山、大塔山などが一望でき、まさに360°のパノラマを楽しむことができます。そこで食べるお弁当は最高でした。

八郎山からはひたすら下ります。途中には道幅が狭くなっている箇所や倒木があり、上野さんはその木を持参してきたノコギリで切りながら進んでいました。なかには手に負えないようなスダジイの大木が倒れていましたが、案外その根は浅く、あまり広くも張っていません。

「杉・ヒノキの根だけが浅く、他の木の根は深く張るという認識は間違い」と上野さんがおっしゃっていました。

ふもとまで下りると、道路が拡張され新しくなっていました。災害発生時の迂回路として使われるそうで、八郎峠の下にトンネルを作って道を通す計画らしい。ただし、この土地の地盤が泥岩で脆いので、トンネル工事中は八郎峠の通行を禁止にするのだそう。

この日の目的地、大泰寺までの約3.4kmは、舗装された道を歩きます。

そこには広大な田んぼが広がり圧巻の光景でしたが、休耕田も多かったのが少し残念でした。

今回も貴重なお話をたくさんしていただき、改めてガイドの説明を聞きながら歩くことが、その面白さを何倍にもしてくれるということを実感しました。

今回もありがとうございました。

本業という名の盾

お久しぶりです。ブログの設定で間違ったことをしてしまい、復旧に膨大な時間がかかってしまい、今に至りました。

また暇をみて更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

さて、わたしが主宰するガイド団体Mi-Kumanoは、今年7月をもって一般社団法人和歌山地域通訳案内士会となりました。

少し(?)長い名前ですが、引き続きよろしくお願いいたします。

法人立ち上げにあたって紆余曲折がありましたが、その中で、まず組織の仕組みを変えました。

現在会員は30名在籍していますが、当時はすべての会員に総会での議決権がありました。

これを「運営に携わりたい会員」を正会員とし「ガイド業務だけでいい」という会員を準会員とに区別して、会員から希望を募りました。

会員制度を二つに分けた理由は2つあります。

一つは、総会には出席はすれど意見を何も発言せずただ座っているだけで、早く帰りたいそぶりを見せる会員や、毎回欠席する会員などがいたためで「全員が組織の運営に関わりたいというものではないんだ」ということがわかったからです。

もうひとつは、会員の増加で意見を取りまとめることが大変になり、組織が速く前進するには大きな足かせとなることが予想されたからです。

会員を二分したことで、正会員数は約半分になりました。

言い方は悪いですが、「組織のために動いてくれる本気の会員が洗い出された」と思っていました。

しかし、いざ動いてみると、同じ正会員でも個人間で「熱量の違い」があることに気付きました。

現在在籍している正会員の中でも、本当に組織のために動いてくれている会員は、わたしから言わせてもらえれば2人だけです。

一人は本業を当法人のガイドだけで頑張っている会員、もう一人は現理事。

・・・頭が痛いです(笑)

会員が「動けない」「協力できない」とされる理由のなかで、わたしの一番嫌いな理由が「本業が」と言いだす会員。

それを言われればこちらとしては身も蓋もない。

たしかに本業は大事だが、たとえ副業でもしかるべきものはこちらとしてはきちんとお支払いしているわけで、「本業が」と言われると「こっち(ガイド)はどうでもいい」というニュアンスを含む。そんなことは言わなくてもこちらは重々承知している。こちらとしてはできる範囲でお願いしているので、「本業が」と言われると本当に残念な気持ちになる。

さらに「本業が」という言動は、こちらを本業としているわたしに対して、失礼な言い方だと思う。

「○○時にレッスンがあるので、それまでには帰らないといけません」のような、具体的な理由を述べるなら分かる。

しかし、それを「本業が」と言われると本当にカチンとくる。

要は言い方の問題。

もうひとつ、本業を盾に自分の自信のないコースの依頼を断ることができること。

また、「わたしは本気でやっている」いう会員もいる。

たしかに、本気でやってはくれているのだろうけど、では聞きたい。

「複数の組織に所属していれば、その本気度はどうなりますか?」

たとえば、当法人以外に他のガイド団体に所属していれば、本気度の割合は「当法人50」「他の団体50」あるいは「当法人30」「他の団体70」かもしれない。絶対に「100と100」にはなりえない。ましてや、それこそ本業を持ちながら複数の団体に所属していればなおさらだろう。でも、本人は本気だという。

所属する団体が増えれば増えるほど、当法人への「本気度の割合」が「25」にもなり「10」にもなりえる。

それはこちらが求めている「本気」ではない。

また、facebookに投稿する時間はあっても、こちらからの電話には出ず、かけ直しもしてこない会員に「本気」と言われても説得力がない。

いったい何を以って「本気」と言っているのか、神経を疑う。

法人化にあたって、株式会社にするのか、組合とするのか、一般社団法人とするのかで相当悩みましたが、会員制度を取っていて、会員が組織を動かすには一般社団法人が一番妥当だという結論にいたって法人を立ち上げたのに、これでは本末転倒です。

そんな理由から、「彼らに真剣さを求めてはいけない」と最近思い始めています。

今考えている案がまとまれば、そちらに動いていこうと考えています。

久々の更新が愚痴(笑)すみません。

スペインに行ってきました

久しぶりの更新です。

最近は、一般社団法人の立ち上げで奔走しており、なかなかブログを触ることができませんでしたが、ようやく登記も完了の目処がついてひと段落です。

・・・明日からは5日間のツアーが始まりますが。

さて、6月末から7月上旬にかけて、スペインの巡礼道・サンティアゴ・デ・コンポステーラに行ってきました。

わたしは別にクリスチャンでもありませんが、あまりにも「カミノ(スペインの巡礼道)に行ってきた」というお客様が多く、「Yoshiは行ったことがあるの?」とやたら聞かれたので、そこがどんなものなのかを確認するためです。

一言でいうと「場所はよかったが、人はイマイチだった」ですかね。

言い方が悪いですね。

人はいいんですが、店での接客がなってなかったです。

長年客商売に携わってきたせいか、店員の態度をチェックしてしまうクセがついてしまっているんですね。

点数をつけると3点ですね。あ、100点満点でですよ。

それぐらい悪かったです。

まあ、こんなマイナスな話はさておき、私たちは城壁の街・ルーゴからの約100kmを、5日かけて歩きました。

一日約20km平均ですね。

熊野古道を歩かれた方は「一日20km」と聞くと驚かれるかもしれませんが、カミノでは何てことないです。

写真は城壁の上からです。城壁の上を周回できるので、いいランニングコースになっているようでした。

城壁の向こうに写っているのは、ルーゴの大聖堂です。

ルーゴでは、知り合いの友達夫婦に2日間にわたってお世話になりました。

おいしいレストランやカフェでのお話は非常に楽しかったです。

さて、「カミノを歩いた」をいうお客様が、熊野古道に来られると、90%くらいの方が「熊野古道の方がきつい」とおっしゃいます。

それぐらいカミノは歩きやすかったです。

木の根も張り出ていなければ、狭い道もない。おまけにほぼ平坦。

わたしにとっては「上り」と言える箇所があまりなく、快適に歩くことができました。

コースによっては険しいところもあるみたいなので、一概には言えませんが、わたしが歩いたコースの印象はこんな感じです。

しかし、歩きやすいコース故、足元を気にすることなく、景色を楽しみながら歩くことができた点はよかったと思います。

大聖堂は人・人・人・・・

最後にカミノ達成の証明書をもらいにいきましたが、そのスタッフの対応が最悪でした。カウンターの手前で待たされ、一人ずつ呼び出しがかかり入室しますが、カウンターには10人ぐらい座っていて、いったい誰に頼めばいいのか分からないのでうろうろしていても一切「こちらです」の声かけもなし。

「ここでいいのか?」と聞くと「コクっ」とうなずくだけ。

まるで入国の審査をされているような印象でした。

あ、クリアファイルは持っていった方がいいですよ。

なければ卒業証書を入れるような筒を3ユーロ払って買う羽目になります。

翌日はもう少し羽を伸ばして、「地球の果て」と呼ばれているフィステーラに行きました。

個人的にはここが一番のツボでした。

・・・カミノじゃねーのかよ(笑)

そんなこんなで、スペインでの約10日の日程は、あっと言う間に過ぎました。

「一度カミノに行けばハマる」と聞いたことがありますが、わたしはもういいかな(笑)

ただ、バスでフィステーラからサンティアゴに向かう途中で、すばらしくきれいな場所がありました。

今度行くなら、そこでゆっくり滞在したいですね。

日本(東京)に帰ってきてまず思ったことが、「店員の教育がよくできている」「みんな細い」でした。

気持ちのいい接客は、来る人を幸せな気持ちにしてくれますね。

やはり日本がいいです。

これって英語でどういえばいいの?

先日、認定試験前の研修で表現や単語に関する質問が出たので、覚えている範囲でおさらいも兼ねてお伝えしようと思います。

シイタケの菌糸:spore

これは、オーストラリアのお客様に教えていただいた単語です。

厳密にいえば違うかもしれませんが、おおまかな部分では当たっているので、もちろんこれで通じます。シイタケを栽培しているところがありますので、案内で遣ってみてください。

発音はご自身で調べてくださいね。

スズメバチ:(giant) hornet

waspでも誤りではないと思いますが、アシナガバチを指す場合もあるので、特にオオスズメバチを指す場合はgiant hornetを使う方がいいと思います。

上皇:Abdicated Emperor

「退位した」「譲位した」という意味です。

よく「retired」を使う方がいますが、retiredは「定年制度がある」というイメージを持たれることが多いので、abdicatedを使う方がしっくりくるようです。

これもお客様に教えていただいた単語です。

ちなみに、名詞形はabdicationです。

また、今年平成31年で今上天皇が退位されますので、海外の方にもよくわかると思います。天皇については関心を持たれているお客様が多く、よく質問を受けるので、今回の譲位でより多くの外国人に理解してもらえると思います。

法皇はMonk Emperorですが、これは私はあまり使いませんね。

いちばん向こうの:at the very end of

「一番向こうの山」って何ていうんやろ?という受験生からの質問に答えたものです。

これもお客様に教えていただいたものです(笑)

ちなみに、「一番下の」はat the bottom of です。

それでは、「山のふたつの稜線の間の、一番下の開けた場所」は何と言えばいいでしょうか?

すこし考えてみてください。

ヒントは、日本語に惑わされないことです。

わかりましたか?

わたしは「an opened area at the bottom of the V shape」と言っています。

これを言えば一発で分かってくれます。

「え?どこ?」と聞きなおされたことはこれまで一度もありません。

これがどこのことなのか、分かる方は熊野古道通ですね(笑)

見晴らし台:viewpoint

lookout platform とか、scenic overlook とか、辞書を調べれば出て来ますが、viewpoint で十分通じます。

ある時、アメリカのお客様を歩いている時、古道が霧で煙って景色が見えない日がありました。

普通は、景色のいいところに来たとしても、霧で何も見えないときは何も言わずに通るのですが、トレッキングに慣れたお客様はだいたいの見当がつくようで、「Mmm, imagination viewpoint!」と言いながらみんなの笑いを誘っていました。

ちなみに、見晴らし台にあづまやがある場合は「gazebo」を使うほうが、お客様はイメージしやすくなります。もちろん、「展望台」という意味もありますので、これは便利な単語です。

尾根の鞍部:saddle

尾根のくぼんだ部分です。ちょっとマニアックな単語かもしれませんね。でも、もちろん通じますので、そういう場所を見つけたときは使ってみてください。

関所:checkpoint / checking station

わたしは「checkpoint」を使っています。

分岐点:junction

分かれ道や合流点ですね。

他にも色々出たのですが、また思い出したら更新しますね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

認定試験とガイドデビュー

先日、発心門王子~本宮大社を歩いている時に、ウグイスの鳴き声を聞きました。

いやぁ、春ですねぇ。

・・・花粉がなければ最高なんですが。

さて、当団体では、認定試験というものを行っています。

認定試験とは、主に新人会員がガイドになるための知識や注意点などを見るためのもので、実際に試験官を現地で案内し、その内容についてチェック・採点をし、合否を決定するというものです。

もちろん、いきなり試験をするわけではなく、新人研修・事前研修を踏まえた上で行います。

その研修の際に、ガイドとして注意すべき点などをお伝えしています。

ざっくりとしたチェック項目は

説明

知識

ガイド姿勢

服装

危機管理

時間管理

応急手当

などです。

ちなみに、その試験にオブザーバーとして一般のみなさんも参加できますので、興味のある方はご連絡ください。

認定試験オブザーバー募集

今回8人が受験しますが、この試験に合格してはじめて、ガイドとして本格的にデビューできる仕組みになっています。

受験者は昨年8月に入会して、早ければ4月デビューなので、それまで8ヵ月ほどかかっていることになります。

ガイドのライセンスを取ってからうちに入会される方が圧倒的に多いのですが、本音を言わせてもらうなら、ライセンスを取ろうとする年から入会していただき、ガイド勉強と受験勉強を並行すれば、その分デビューは早くなるのになぁと思っています。

早くデビューしたい方はぜひご検討ください。

入会希望はこちら

この認定試験制度、実は当団体の前身・NPO法人時代(2014年~2016年2月まで)からありました。

ただ、当時のシステムは受験料が高いうえ、コースごとに試験があったので、受験料がバカ高く、当然会員の不満がありました。

「受けておいてよかったと思うときが絶対に来るから、わたしたちについて来てください」とはよく言ったものです。

その後、NPO法人は解散してしまったんですから(笑)

当時わたしは入会して間もないころだったので、「これが当たり前なんや」と思って正直に全コースを受けましたが、今から思うと、何であんなスタイルにしたのか、理解に苦しみますね。

1コースにつき、2万円×5コース、計10万円ほど支払いました。

また、採点方法も大雑把かつ曖昧で、試験官によって大きな振り幅が出る傾向があったので、どういうところを見てどう判断したのか、分からないことがありました。

そこで今回、受験要領と採点方法を一新し、受験料も見直し、全く新しい形で始めることにしました。

まだまだ完成形ではなく、これから修正を加えていかなければならないことが出てくると思いますが、一応いい形ができたと思ってます。

これからどんどん中身の整備を進めていき、たくさんのすばらしいガイドが生まれるように、また、ガイドが働きやすいようにしていきたいと思っています。