今日は篠原常一郎さんのお話です。
戦略と戦術
戦術とは、目の前の敵と戦う時に使う兵器や部隊のことを指し、戦略というのは相手の国の領土(相手が支配している資源が多い植民地や統治地域)を直接攻撃する、もっといえば長距離爆撃や核ミサイル攻撃をするということです。
この、長距離爆撃や核攻撃をする軍隊を戦略軍といいます。
そのアメリカの戦略軍第11代司令官のチャールズ・A・リチャードによって書かれた論文が「鍛え直すべき21世紀の戦略的抑止力」です。
「戦略的抑止力」とは「核抑止力」のことです。
恐怖の均衡
今の核抑止力とは、もし相手が核兵器を持っているならば、こちらも報復できる核兵器をきちんと備えて報復力を作り、その報復力の「恐怖の均衡」の上で核戦争を抑止するというものです。
しかし、リチャード提督は、そのバランスが今崩れそうであり、バランスが崩れると核戦争が起きると提言しています。
チャイナの核の脅威
今、アメリカは冷戦が終結して30年間、小さな紛争(イラク、アフガニスタン、スーダン、シリアなど)に対応している間に、チャイナはGDPを増幅させ、軍備を著しく増強させました。
チャイナの国防費は日本円にして25兆円。これは、「日本の防衛費が増えた」といって騒いて出いますが、その日本の防衛費の5倍です。
世界全体の国防費は約70兆円なので、その3分の1はチャイナなのです。
そして、この10年で増えたのがチャイナの核ミサイルです。
冷戦時代に核をたくさん持ちすぎた米ソ両国およびNATOは、当時各数千発持っていた核兵器を、お互いの話し合いで数百発規模にまで縮小しました。
これは、当時の核戦争回避へ大きく貢献しました。
それを尻目に、チャイナは独自に各開発をし、アメリカとロシアが知らない間にこの10年で2倍以上にまで核ミサイルを増やしました。
こんなに核戦略が増えた国というのはありません。
私たちはよく「北朝鮮の脅威」といいますが、本当の脅威はチャイナです。
あまり知られていませんが、2005年からアメリカでは太平洋地域の大型再編が行われており、沖縄の海兵隊が沖縄からグアムやオーストラリアに下がった本当の理由は、チャイナのミサイルが沖縄に届く数がものすごく増えたからなのです。
チャイナのミサイルが届く範囲内に、アメリカの戦力を集中して置かないという理由で再編が行われたというのです。
このチャイナの核戦略に対して、適切な対処をしてこなかったというのが一つです。
ロシアと西側諸国
もう一つは、旧ソ連の国境付近の情勢が悪化しているということです。
2014年にロシアがクリミア半島を併合してからというもの、アメリカやEU諸国、日本までもが経済制裁を課しました。
その時にプーチン大統領は「今世界は核戦争の危機に直面している。我々も核戦争を覚悟しなければならない」と言明しました。
「これ以上、ロシアの存続が脅かされるのであれば、核兵器使用も考えなければならない」という、一種の脅しを世界に向けて発しました。
そういったことが現実味を帯びてきたため、今までは配備をしていればそれが抑止力になったが、今回リチャード氏は、より具体的に、核戦争になればこうやって戦うという内容を詳細に詰めて核戦争態勢を取らない限りより危機が深まるんだということを言っています。
日本の役割
我々日本人が考えなければならない点は、アメリカと核を以て戦う国は、ヨーロッパは別にして、チャイナ、ロシア、北朝鮮と、「隣国」ばかりです。しかも日本にはアメリカ軍の基地もあります。
この基地はなくせばいいのかというとそうではなく、それが抑止力を構成しているのです。
それを踏まえた上で、日本としてはどう振る舞っていくのか、どう提言をするのかということです。


